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第二章 アイドル地下国

百四話 私の想い人

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レン達はサナム区のファーストステージ、紫織達はペセル区のセカンドステージに着いた。リノアはファーストステージにある学園に体験入学し、レン達は気になっていたレーヌ城に向かった。見すぎてちょっとバレそうになったレン達は帰ろうと思った先に門番にバレて裏道から逃げた。だが裏道に回っていたレーヌ城の女王に遭遇した為、危険察知し、煙幕で逃げた

宿屋まで逃げて窓から様子を見ると、手下達が探し回っていた。そして指名手配にもされていたレン達は変装して外を歩き回る事にした。災難だと言うフェアリは地雷を踏んだ。レンはその発言に更に精神が不安定になり、一人で外へ出かけた。

「…………寒いな」

ぼそりと呟く

ここは少し肌寒い所である、ただただ歩き続けているレンは店に反射して自分の顔を見る。ハイライトがない事に気付く、そしてハイライトが無い目を怖がっている住民も居る。レンは変装しているので指名手配犯とは気付いていないみたいだ。だがレンは怖がっているのを何も感じていない、ただ無表情で人を見たり、店を見たり、アイドルの授業を見たりしていた。この日は一日中帰ってこないレン

フェアリside

フェアリの失言により、精神が不安定になり、単独行動になったレン。それに後悔をしているフェアリ、後悔をしながら宿屋で帰りを待つフェアリだが、中々帰ってこない。やってしまったと言っている

すると

「ただいま」

「あ、リノアさん~」

とてつもなく元気が無い声でリノアを迎え入れる。

「あれ?レンは?」

下を向きながら、リノアに事情を説明した。説明した瞬間、リノアはそれを聞いて外へ走り出した。私が居るじゃんと言って、レンを探し始める。レンは災難という言葉を聞いて再び一人になろうとしたのだろう、2度とあの災難には逢いたくないと思ったのか、レンがまた不安定になる理由が分かったリノアとフェアリ。

リノアだけに探させる訳にはいかない為、フェアリもレンの事を探し始めた。

リノアside

体験入学から帰ってきたリノアは宿屋に戻ったのだが、フェアリが元気ない事に気付き、それと同時にレンが居ない事に気付く。そしてフェアリから事情を聞いたリノアはすぐにレンを探し出した

「何処行ったの、レン」

探しても探しても見つからない、何処に行ってるのかも分からない。レンは指名手配犯にされている為、顔も分からない。情報が無い中どう探すことも出来ない

探し回っていると雰囲気がレンと似ている人物を見つけた、その人に声を掛けると驚いた。

「っ………」

リノアの顔を見て驚いたのか、いきなり走り出した

「レン!」

追いかける

ずっと追いかけ回す、ストーカーとか思うかもしれないが、今はこれが得策だろう。追いかけ回す事、20分。2人とも体力が尽きた、地べたに座る。リノアは手を握ってこう言った

「やっと捕まえた」

鬼ごっこでは基本、だが鬼ごっことは違う。この捕まえたは心の底から逃げ出すレンを捕まえたのこと、もう逃がさないと言わんばかりに強く手を握る。リノアの顔を見て何故逃げ出したのか、血迷って逃げ出したのか、リノアはその理由じゃなく、こう言葉をレンにかけてあげた

「大丈夫、私が居る。だから一人で抱え込まないで」

ちゃんと目を見て、レンの顔もリノアに向けて言った。私が居るよと、この時のレンは感情が無くなっていて、ハイライトが無い状態のもう死、寸前の限界状態だ。それを見たリノアは抱き締めてもう一度言う

「私が居る、私が居るよ」

「俺の隣に居たら………みんな………不幸に会う………みんな………莉乃香は………俺が隣に居たから………」

ハイライトの無い中、涙を流しながらそう語った。レンの隣に居た人達は亡くなったり、ギルドから脱退したりと色々あった。隣に居るとリノアも不幸になる可能性があるとレンは言っている、だがリノアはそうじゃない。不幸なんてさせない

「一分一秒、レンと居てあげれる。私はこの手を離さない、ずっと傍に居る。レンが望むなら、騎士団を辞めても。私がずっと隣に居てあげられる。その不安も、レンが言ってる不幸も、全部吹っ飛ばせるくらいに」

そう言った瞬間、レンの目は見開いた。だがハイライトはまだ戻っていない、後一歩、後一歩が足りない。レンの手は震えている、まだ不安でしかない。その手の震えを止める条件はずっと居ること、離れないこと、リノアは誓っている。彼女が彼の光になるように、闇を吹っ飛ばせる、未来を変える輝かしい光になるよう、ずっとずっと居なければならない

震えてる手を掴んだ

「私は………私はレンが好きだよ、彼女さんに負けないくらいって言ったら失礼だけど………でも、あの第3王国で救ってくれた事は今でも覚えてる。あの時に一目惚れとかっこいい所を見て好きになった、叶わない恋でもずっと一緒に居てあげられる」

彼を優しく抱き締める

「戦えない………怖い………戦ってまた………」

「今は戦わなくて大丈夫、例え戦う状況になったとしとも私が居るから大丈夫。怖くて乗り越えられない壁を一緒に乗り越えよ?」

頷く

「莉乃香の代わりにはなれないけど、レンを安心させられる。朝昼晩どの時間帯でも。今は泣こ、今は2人だから。私にならいっぱい弱音吐いていっぱい泣いていいから、今は………甘えて」

レンは涙を流しながら、全ての弱音をリノアにぶつけた、レンが弱いこともレンのせいで仲間が失ったこともレンがずっと抱えていたことも全部、リノアに吐き出した。リノアは全ての弱音を聞きながら、抱き締めて頭を優しく撫でた

それが1時間続いた、1時間後のレンは目にハイライトがあり、完全復活とまでは行かないが、少し元気を取り戻していた

「まだ戦える程の精神は安定してないけど、でも戦える時が来たら、その時必ず壁を乗り越える。リノアと一緒にな」

「うん、あ………」

頭をポンポンとした

「ありがとうな、リノア」

「うんっ」

フェアリが心配してるはずなので、レンとリノアは一度宿屋に帰っていった。フェアリは帰ってきていた、帰ってきたと同時に頭を下げて謝罪をした。あの失言により、レンを傷付けてしまった事を謝った。

「フェアリのせいじゃない、まだ精神が不安定な状態だったから、災難って言葉に敏感でな。効いちまって逃げちまっただけで決してフェアリのせいじゃない」

「うん~、でも謝罪は受け取って欲しい………」

「おう、しっかり受け取っておく」

問題解決

「あ!」

と急に何かを思い出すリノア

「どうしたの~?」

「レンとフェアリ、指名手配犯にされてたでしょ?」

ギクッと口に出す、レンとフェアリ。ここは大人しく、何故指名手配犯になったのかを説明した。指名手配犯になった理由を聞いたリノアは2人にデコピンをした、流石にこうなるだろう。勝手にレーヌ城へと乗り込んだのだから。

説教する姿は莉乃香に似ていた

「興味津々でレーヌ城に行ってしまって…………」

「ごめんなさい、リノアちゃん。でもなんで知ってるの~?」

「学園にも貼られてた、しかもシィアンに聞いた。レーヌ城に入るのは許可状が無いと入れず、勝手に入ったら指名手配犯にされて捕まったら、牢獄行きだよ?」

「「え!?」」

レーヌ城のルール

・勝手に入ってはいけない

・許可状が必要

これを破ると指名手配犯にされ、捕まれば牢獄行き

「変装してて良かったね、バレたら牢獄行きだったよ」

「ま、見つかったら見つかったでそいつが俺の相手だ、そこで壁という難関を乗り越えて、俺という物語の新章を作り上げる」

そこで物語の新章へ迎える
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