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第二章 なんでボクなの?!?!

幸せになる権利

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ボクは少し気持ちが落ち着いた後に
もう一度、詳しく現場を説明してもらった

ボクはブローチを外して眠ってしまったせいで、まんまとお義母様に見つかってしまった

公爵家は今、かつてない散財を繰り返していて、、、とうとうそこがついて
ボクを売ってお金をもらおうとしていたらしい




、、、ほんとに、どうしようもない人たちだな




お父様は、どこで何をやっているのだろう

ボクのことを気にしないのは
もう承知の上だったけど
公爵家が、こんな窮地に追い込まれていたのに、何も対応してなかったのかな



、、、わからないことを考えてもしかたないや




そして、奴隷商人たちに攫われそうになった時
彼らが助けてくれた

、、、国の最高峰精霊の六人




「あの、、、とりあえず、助けてくれて
ありがとうございます、」

「いえ、そんな。
私たちがご主人を守るのは当たり前のことなんですから」

「、、、あの、そのことで聞きたいんですけど、ボクを守るとかご主人とか、
どうしてそんな話になってるんですか?
そもそも、全員と契約なんて、、、」

「急にこんなこと言われても
困っちゃうよね、、、でも、ヨミたちは
ずっと前からこうなることは知ってたんだよ」

「ずっと前?」

「うん、ご主人がこっちに転生してくる前からね」

「?!?!?!?!」


転生?!?!そう言ったのか?!


なんで知ってるの?!?!



「あ、あ、あの、転生って、
なんで知ってるんですか?!?!」

「ご主人が生まれる前に、私達の先生から
依頼を頼まれたんですよ
私たちの国に転生してくる
日本の少年を幸せにしてほしいって」

「その時にご主人の存在は教えてもらったし、ご主人の転生先で何が起きるかも知ったんだ
、、、勝手に見ちゃってごめんね?」

「あ、いえそれは全然、、、」


???

理解が追いつかない、、、

つまり彼らは、転生前のボクのことを知っていて

ボクが転生する前から
ボクと契約するって決まっていたということ?


「、、、、、、」

「ご主人?」

「どうなさいましたか?」




「、、、あの、その少年はきっとボクじゃないですよ」



「え?」






「だってボクは、悪役令息の
ルティアーヌ・モーリスです!
君たちが本当に守らなくてはいけない人とは違うんです!!!
主人公を守らないと、、、
この小説が進まないですよ!?!?
ボクは、、、悪役令息なんですから

幸せになる未来なんてないんです!!
ご存知ないかもしれないですが
ボクは18歳で死んじゃうんですから!

ボクが幸せになる権利なんてないんです!!!!!」


「、、、、、、、、、」
「、、、、、、、、、」


「はぁっはぁっはぁっはぁっ、、、!!」


一気に感情が溢れて
言葉が滝のように流れた


やめてよ、期待をもたせるの


ボクだって、死にたくないよ

前世ではうまくいかないことだらけで

自分を諦めちゃったけど

今世では、、、最高に幸せとかじゃないけど

少しずつ、少しずつ

毎日が楽しくなっていたんだ

楽しいと思うと同時に

死にたくないな、なんて


愚かにもそんなことを考えてしまって

すぐに頭から消し去っても

ギルと話す度

ギルにプレゼントをもらう度

ギルに好きだと言われる度

毎回毎回頭に浮かんでは

自分の中で消し去っていたのに



どうして守るとか言うの?

やめてよ、希望を見せないでよ

ボクに「生きたい」なんて、

思わせないでよ





「ご主人、、、」


ヨミが泣きじゃくるボクの頭に手を置いて撫でてくる

「ご主人はいい子すぎるんだよ
ご主人がいい子なのはヨミ達が1番知ってる
毎日毎日庭園の手入れしてくれてたでしょ?
あの庭園はね、精霊界に繋がるゲートのような役割をしていて
契約者候補の前に現れるようになってるんだ」


、、、、、、初耳だ


「でもね、その庭園はすぐに消えちゃうの、
契約者候補の優しさ、勇敢さ、
そして、ヨミ達を愛してくれるのか

そんな要素を創造神様が見出していって、審査をするんだ

だからその審査に受からなければ
庭園はすぐに消えちゃうし
庭園を知っている記憶は全部消されてしまう」


「、、、ボクの庭園は、4歳の頃から
攫われる直前までずっと存在してたよ?」

ヒックヒック、喉を鳴らしながら
そう答えた

「うん、だからね
ご主人は精霊の契約者として
認められたんだよ」

「、、、なんでボクなんかが」

「ボクなんか、じゃないよ
ご主人だから認められたの
毎日毎日庭園を大事にしてくれて
だからあの庭園はずっと綺麗でいられたんだよ」

「、、、、、、。」

「ご主人、、、先程説明した通り
私たちは、あなたの前世を知っていました、、、蒸し返して申し訳ないのですが
決して幸せではなかったと思います」 


、、、、、、幸せの定義があまりわからないけど、楽しくはなかったな


「ですが、私たちは、あなたがかわいそうだから契約するのではありません

創造神様にご依頼された時
正直皆、少し迷っていました

依頼を受けた際、この世界が題材の
小説のストーリーを知ったからです」


、、、そりゃあ戸惑うよね
守っていく相手が
最低最悪の悪役令息なんて
 

「ですが!
ご主人を知っていくたびに
私たちは、自らあなたを守りたいと
心から思ったのです
優しいあなたが悲しい結末を迎えるなんて、私たちが絶対に許しません!」





、、、、、、守りたいと、思った?

そんなこと、ボクが思われていいの?

だって悪役令息なんだよ?

最低最悪なんだよ?

最後は自滅して死んじゃうんだよ?

なのに、なのに彼らは

  

ボクを守りたいって言ってくれた

ボクを守るなんて、、、


ボクは守られてもいいの?


、、、ボクは幸せを願っても、、、いいの?



「ご主人、、、聞いて
ここは確かにあの小説の世界かもしれない
でもね、それは前世での話で
今、ここにいるルティアーヌ•モーリスは、すごく優しいいい子なんだから

ここは、キミの生きる世界なんだから
あの小説通りでいく必要は全然ないんだよ」


でも、、、そしたら、、、

「ご主人、キミは
幸せになるべきなんだよ」





ガチャ!!!!

「そーだぞ!ご主人!!!
お前は可愛くていい子すぎるから
幸せにならない方がおかしいぞ!」

「あれ~サンティス~
可愛いとか口説いちゃって~
抜け駆け早すぎない~?w」

「は?!く、口説いてなんてねーよ!」

「ご主人!キミはボク達と、
ずーっと一緒でいーっぱい幸せに
なるんだよ!!!絶対に!」

「お前の方が口説いてんじゃねーか!!


「もう~ドンが話せないじゃん~
怒るよぉ~」


「どうぞ前へ!!」
「邪魔して申し訳ないです!!」

「ご主人~ドンは
毎日庭園を手入れするご主人が大好きだし~ニコニコ笑顔のご主人も大好きだし~、だけど、自分より他の人の幸せを願ってるところは~ボクが許さないよ~

ご主人は~誰よりも幸せになるんだよ~ドン達と一緒にね~」

「ご主人、1人あちらで気絶していて
部屋にいませんが、私たち精霊6人
全員があなたと共に生き、あなたと幸せになりたいのです」

「ご主人、ヨミ達と一緒に、
生きてくれる、、、?」



、、、涙が止まらない

彼らは許してくれる

ボクが心の奥にしまっていた

最大級の欲を

彼らは自分たちの願いはそれだと

ボクと一緒に願いを叶えたいと



本当は、誰かに許して欲しかった

周りに愚かだと思われてもいい

1人でもいいから

ボクが、幸せになる、ということを

許して欲しかった


今、彼らは全てを許してくれた

ボクの心の1番汚い欲なのに

許してくれるの?





ボクは、生きてもいいの?


「ご主人、ヨミ達と幸せになってくれる?」



「っ、、!よろっし、ぐお、ねがいっじま、す、、、っっ!!!」




涙が止まらない
今、ボクの顔はぐしゃぐしゃで
すごく汚いと思う

だけど彼らは
最高の笑みでボクのことを
撫でてくれた








、、、すごく嬉しい
ありがとう
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