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中学生
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「どうした?美華」
「あーちゃん。ママのとこ戻ろう」
「いや、まだ時間たっぷりあるし、、、
他の店も回る時間あるよ?」
「いや、今度あーちゃんと買い物行く時にお洋服見たいなーって思って、、、」
「おやこれはこれは、、、堂坂家の美華さんと、お兄さんじゃないですか」
「チッ!」
美華の口からクソデカ舌打ちが出てきたことに驚くのも束の間
目の前には俺が苦手意識を抱く父の親戚のアルファがいた。
確か、、、本家の血筋の、、、倅の、、、
正直名前なんて覚えていなかったが、確か俺と同い年のやつだ。
父は縁を切った会社とは言え、大きなパーティーに出るとなると嫌でも顔を合わし
その度に俺は嫌味やら僻みやらいろんなことを言われてきたのだが、、、
(その度に美華が言い負かしてくれる)
正直今日は会わなくていいものだと思っていたのに、、、
「あら。花倉さん。今日は我が社のパーティーに?
お呼ばれされていたなんて思ってもいませんでした」
美華の口には「なんで縁切った家のおめえがこの場所にいるんだよ。呼んでないし呼びたくもないぞ」という感情が見え隠れしている。
「いやいや!残念ながら今日は別件でホテルに寄っていてね。たまたま2人が見えたものだから声をかけた次第さ」
「あらそうですか。それでは私たちはこれで」
「えっ!おいまてよ!」
「何か御用でしょうか。あいにく私たちは急いでまして。」
ちなみに開始時間までは後一時間半ほどある。
「いや~愛瑠くん久しぶりだねー
まだ美華ちゃんに面倒見てもらってるの?」
「はぁ」
「君お兄さんでしょ~?妹に世話してもらって恥ずかしくないの?
一応君も花倉家の血筋なんだからさー
しっかりしてくれないと、、、」
「あいにくですが」
ペラペラ話すアルファを美華が遮る
「私たちは花倉家とは一切の関係もありませんし、あなた方に目をかけていただく必要もありません。
それに私がいつも兄に面倒を見てもらっている立場であって、兄が私に迷惑をかけたことなど一度もありません。あなたが私たち家族に口を出さないでください。
それに周りを見てください。あなたの微小なアルファフェロモンを感じて周りが集中してこちらを見ています。
私たちにはあなたの微弱なフェロモンなど気にしませんがこれを騒ぎと捉える人もいるでしょう。その時はあなたが花倉家に恥をかかせますよ。なんなら今私のフェロモンで騒ぎを起こしても問題ないのですが。あなたから仕向けたものなので。」
親戚たちの中には俺のオメガ性をバカにしてわざとアルファフェロモンを飛ばしてくる奴がいた
そんなことが起きるからいつも美華に助けてもらっていたのだ
美華は中学一年生でも、上位のアルファフェロモンを持っている
アルファにも上下がある中で美華に敵う人は今の所父しか見たことがない
「、、、っ!し、失礼する!!」
周りの人も少なからずこちらを気にしていたようだ
彼が逃げた途端、ホッとする雰囲気が流れた
「あーちゃん、大丈夫?」
「あ、うん、、、ごめんね美華」
「もー!謝らないで!いつもいってるでしょ!こんな時は?」
「、、、ありがと、美華」
「どういたしまして!」
美華は明るく振る舞ってくれるが、俺はとても申し訳ないのだ
毎回毎回俺の周りを気にしてくれて、対峙するのはいつも美華だ
俺は確かに美華に世話してもらっている
「、、、っ、ちょっとごめん!トイレ行ってくる!」
「え、うん!気をつけてね!」
情けなくて涙が出てしまいそうだった
兄なのに、男なのに
バカにしてくる奴らに対峙する度胸なんてものはない
オメガはアルファに逆らえないなんてことがあるから本能的なものでもあるかもしれないけれど
俺はそれさえも悔しく思ってしまった
俺にはアルファのフェロモンを感じることができない
それも、俺が出来損ないのオメガ呼ばわりされる原因の一つ
花倉家の人間はそれがわかっていて嫌がらせのようにフェロモンを浴びせてくる奴がいるのだ
もしそれで周りのオメガが反応してしまったらどうするんだと怒りを覚えるが、口には出来ない
オメガとしての機能は全くないのに
身長や性格にだけ「儚げなオメガ」の特徴が反映されている
それがどうしても憎たらしくてぶつける場所がないもどかしさを心に溜めているんだ
、、、そろそろ行かないと美華を心配させてしまう
いくら勇敢な美華でも、男性トイレまでには入ってこれないから尚更だ
俺はオメガらしくないオメガだ
顔も普通で儚くも色気もない
気弱なところだけオメガの資質があって
フェロモンを感じることすらできない
そんな俺は
「、、、みつけた、僕の運命」
「え?」
運命の番と出会う場所がトイレなんて、純情も清潔もかけらもないオメガらしくない出会いを起こしてしまったのである
「あーちゃん。ママのとこ戻ろう」
「いや、まだ時間たっぷりあるし、、、
他の店も回る時間あるよ?」
「いや、今度あーちゃんと買い物行く時にお洋服見たいなーって思って、、、」
「おやこれはこれは、、、堂坂家の美華さんと、お兄さんじゃないですか」
「チッ!」
美華の口からクソデカ舌打ちが出てきたことに驚くのも束の間
目の前には俺が苦手意識を抱く父の親戚のアルファがいた。
確か、、、本家の血筋の、、、倅の、、、
正直名前なんて覚えていなかったが、確か俺と同い年のやつだ。
父は縁を切った会社とは言え、大きなパーティーに出るとなると嫌でも顔を合わし
その度に俺は嫌味やら僻みやらいろんなことを言われてきたのだが、、、
(その度に美華が言い負かしてくれる)
正直今日は会わなくていいものだと思っていたのに、、、
「あら。花倉さん。今日は我が社のパーティーに?
お呼ばれされていたなんて思ってもいませんでした」
美華の口には「なんで縁切った家のおめえがこの場所にいるんだよ。呼んでないし呼びたくもないぞ」という感情が見え隠れしている。
「いやいや!残念ながら今日は別件でホテルに寄っていてね。たまたま2人が見えたものだから声をかけた次第さ」
「あらそうですか。それでは私たちはこれで」
「えっ!おいまてよ!」
「何か御用でしょうか。あいにく私たちは急いでまして。」
ちなみに開始時間までは後一時間半ほどある。
「いや~愛瑠くん久しぶりだねー
まだ美華ちゃんに面倒見てもらってるの?」
「はぁ」
「君お兄さんでしょ~?妹に世話してもらって恥ずかしくないの?
一応君も花倉家の血筋なんだからさー
しっかりしてくれないと、、、」
「あいにくですが」
ペラペラ話すアルファを美華が遮る
「私たちは花倉家とは一切の関係もありませんし、あなた方に目をかけていただく必要もありません。
それに私がいつも兄に面倒を見てもらっている立場であって、兄が私に迷惑をかけたことなど一度もありません。あなたが私たち家族に口を出さないでください。
それに周りを見てください。あなたの微小なアルファフェロモンを感じて周りが集中してこちらを見ています。
私たちにはあなたの微弱なフェロモンなど気にしませんがこれを騒ぎと捉える人もいるでしょう。その時はあなたが花倉家に恥をかかせますよ。なんなら今私のフェロモンで騒ぎを起こしても問題ないのですが。あなたから仕向けたものなので。」
親戚たちの中には俺のオメガ性をバカにしてわざとアルファフェロモンを飛ばしてくる奴がいた
そんなことが起きるからいつも美華に助けてもらっていたのだ
美華は中学一年生でも、上位のアルファフェロモンを持っている
アルファにも上下がある中で美華に敵う人は今の所父しか見たことがない
「、、、っ!し、失礼する!!」
周りの人も少なからずこちらを気にしていたようだ
彼が逃げた途端、ホッとする雰囲気が流れた
「あーちゃん、大丈夫?」
「あ、うん、、、ごめんね美華」
「もー!謝らないで!いつもいってるでしょ!こんな時は?」
「、、、ありがと、美華」
「どういたしまして!」
美華は明るく振る舞ってくれるが、俺はとても申し訳ないのだ
毎回毎回俺の周りを気にしてくれて、対峙するのはいつも美華だ
俺は確かに美華に世話してもらっている
「、、、っ、ちょっとごめん!トイレ行ってくる!」
「え、うん!気をつけてね!」
情けなくて涙が出てしまいそうだった
兄なのに、男なのに
バカにしてくる奴らに対峙する度胸なんてものはない
オメガはアルファに逆らえないなんてことがあるから本能的なものでもあるかもしれないけれど
俺はそれさえも悔しく思ってしまった
俺にはアルファのフェロモンを感じることができない
それも、俺が出来損ないのオメガ呼ばわりされる原因の一つ
花倉家の人間はそれがわかっていて嫌がらせのようにフェロモンを浴びせてくる奴がいるのだ
もしそれで周りのオメガが反応してしまったらどうするんだと怒りを覚えるが、口には出来ない
オメガとしての機能は全くないのに
身長や性格にだけ「儚げなオメガ」の特徴が反映されている
それがどうしても憎たらしくてぶつける場所がないもどかしさを心に溜めているんだ
、、、そろそろ行かないと美華を心配させてしまう
いくら勇敢な美華でも、男性トイレまでには入ってこれないから尚更だ
俺はオメガらしくないオメガだ
顔も普通で儚くも色気もない
気弱なところだけオメガの資質があって
フェロモンを感じることすらできない
そんな俺は
「、、、みつけた、僕の運命」
「え?」
運命の番と出会う場所がトイレなんて、純情も清潔もかけらもないオメガらしくない出会いを起こしてしまったのである
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