上 下
2 / 12
中学生

2

しおりを挟む
話を戻そう。

そんな世界で産まれた俺。堂坂 愛瑠。
13歳。オメガ。

俺は限りなくベータに近いオメガだった。

オメガを言葉で表すと
『儚い。妖艶。守るべき存在。』だそうだ。
ちなみにこれは俺の父が母に向けて口にしていた。

小学四年生でバース検査を行い、俺の結果は確かにオメガだった。
だけれども、容姿は中の中
色気など一ミリも感じず、毎日外で走り回るほどパワフルな俺は、父型の親戚からは
『ハズレのオメガ』と口にされた。
『政略結婚などにも使えない。』『あんな平凡誰が相手にするのか。』『本当はベータで愛美さん(母)が外で作ってきたんじゃ、、、』などなど。ぐちぐち。

俺もどちらかと言えばベータに産まれたかったものだ。
それはそれで親戚の奴らがうるさそうだが、、、。



父と母の結婚は父方の親戚が大反対した上、父が半端縁を切る形で成立したそうで。

かなり大きな会社の跡取り息子として育てられた父と、一般的な家庭で育った母の結婚は、周りの全てが祝福してくれたものではなかったんだろう。

少し聞いた話では、当時の父には許嫁もいたそうだし。
『大変だった』なんて言葉で父は片付けていたけど、そんな簡単なものではなかったんだろうなと当時産まれていなかった俺でも薄々感じていた。

そんな父は、かつての友人という人達と会社を立ち上げて独立。
今や実家を追い上げる勢いで企業を成長させている、、、らしい。

俺にはなんもわからんが、あの父なら失敗に終わるなんてことはまずないだろうと確信している。




「あっちゃん。準備できた?もうすぐ迎えが来るそうよ。」
「あっくん。この間僕がプレゼントしたネクタイは結べたかい?」
「あーちゃん。髪の毛いじっていい~?」

上から母、堂坂 愛美
父、堂坂 瑠華
妹、堂坂 美華

俺の大好きな家族だ。

ちなみに、父は母との結婚の際、婿養子として結婚した。
だから堂坂の姓は、母の実家だ。とことん縁を切りたかったんだろうな。

父も母も妹も全員美形な中に挟まる平凡な俺。

だけれど、劣等感に埋もれる隙もなく、父も母も愛してくれている。
妹にも少し過剰なほど懐かれているし、俺は家族が大好きだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

君のことなんてもう知らない

ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。 告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。 だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。 今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが… 「お前なんて知らないから」

ベータですが、運命の番だと迫られています

モト
BL
ベータの三栗七生は、ひょんなことから弁護士の八乙女梓に“運命の番”認定を受ける。 運命の番だと言われても三栗はベータで、八乙女はアルファ。 執着されまくる話。アルファの運命の番は果たしてベータなのか? ベータがオメガになることはありません。 “運命の番”は、別名“魂の番”と呼ばれています。独自設定あり ※ムーンライトノベルズでも投稿しております

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版) 読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない

バナナ男さん
BL
唯一の仇名が《 根暗の根本君 》である地味男である< 根本 源 >には、まるで王子様の様なキラキラ幼馴染< 空野 翔 >がいる。 ある日、そんな幼馴染と仲良くなりたいカースト上位女子に呼び出され、金魚のフンと言われてしまい、改めて自分の立ち位置というモノを冷静に考えたが……あれ?なんか俺達っておかしくない?? イケメンヤンデレ男子✕地味な平凡男子のちょっとした日常の一コマ話です。

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

毒/同級生×同級生/オメガバース(α×β)

ハタセ
BL
βに強い執着を向けるαと、そんなαから「俺はお前の運命にはなれない」と言って逃げようとするβのオメガバースのお話です。

処理中です...