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16話「女体化だけではなく呪いも?」
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受付のお姉さんから言われるがままに指示に従うと無事に冒険者の証に初期ステータスやスキルを書き込むことに成功したのだが、どうやら俺はイレギュラー的な存在らしくて初期にしてはやたらとステータスやスキルが多いらしいのだ。
そのせいで受付のお姉さんは隣で唖然とした顔を見せたまま、
「ほ、本当に初心者冒険者なんですか……? 何処かの国の英雄とかじゃないですよね?」
目を丸くさせて疑いの声と眼差しを向けてくる始末であるのだ。
「このステータスは普通の冒険者と比べて天と地ほどの差がありますよ!」
さらに矢継ぎ早に受付のお姉さんは大げさな感じで言うと、自身の手を上下に振りながらその身で天と地ほどの差を表現していたが、それほどまでに俺のステータスは異常なのだろうか。
いまいち受付のお姉さんとは温度差を感じてしまい反応が鈍るが、
「ふ、普通の一般人のはずです……」
弱々しい声で返事をしつつ自分が一般人ではない可能性を認識させられた。
しかし一方で深月は冷静な顔をしていて、何処か気分が向上しているようにも見受けられる。
「なるほど。これが定番のチート級の能力ってことだね」
手を顎に当てながら神妙な面持ちで呟く相方。
そしてそのまま冒険者の証を人差し指と中指の間に挟むと深月は、
「ふふっ、ということは僕にも何かしらのぶっ飛んだ能力があるということォ!」
そう高らかに叫びながら俺を無理やり横に退かしたあと魔道具に冒険者の証をセットして手を水晶へと翳していた。
その一連の動きはまるで無邪気な子供を連想させて妙な可愛さがあり、まさに妹を見ているような気分になるが、俺に兄妹は居ないので妹の感覚は分からない。
そう、適当に言っただけだである。
だが今はそれよりも相方には一体どんなステータスとスキルが書き込まれるのかと普通に気になり、ついつい横から覗き込んでしまうがどうやら受付のお姉さんも同様のようで口を半開きにして覗いていた。つまり皆、考えることは同じということだ。
それから俺たちに見守られながら水晶は再び光り輝き出すと、深月は余裕の笑みを浮かべていたのだが、水晶の発光が思いのほか眩しいのか目が段々と細くなっていた。
しかしそれでも深月の冒険者の証に情報が書き込まれていくと暫くして水晶の光は収まった。
「あ、終わったみたいだね。んーっと、どれどれ?」
右手を僅かに伸ばして深月が冒険者の証を手に取ると、そのまま興味津々の様子で自分のステータスやスキルを確認していく。
すると証に書かれていた項目を見た途端に相方の表情は煮え切らないものとなり、
「……これってなんだ?」
何故か困惑に満ちた顔を俺と受付のお姉さんへと向けながら証も同時に見せてきた。
一体何事かと向けられた証に受付のお姉さんと共に視線を向けて項目欄に目を通していくと、そのカードのスキル欄には文字化けしたような字の羅列が多く刻まれていて、唯一文字として読めるのは一つだけであった。
「エルドの呪い?」
その唯一読める文字を音読していくと、それが深月の冒険者の証に刻まれたスキル名である。
無論だがこれの他にも幾つかスキルがあるみたいなのだが、全て文字化けしていて解読不可能なのだ。
「これは呪われているせいで他のスキルが使い物にならない状態ですね。しかしエルドの呪いとは……?」
同じく深月の冒険者の証に視線を向けていたが受付のお姉さんが口を開くと、どうやら相方は呪いを掛けられているようでスキルが全滅しているとのことであった。
しかしエルドの呪い……それは何処かで聞いたことある言葉だとして記憶を辿ると、
「あっ、そう言えばあの魔女も何かエルドがどうのこうとって言ってなかったか?」
それは深月が女体化する前に魔女が詠唱らしき言葉の中でエルドという言葉を混ぜていたことを思い出した。
「なんだと……あの食糧難の魔女めッ! また僕の邪魔をするのかぁぁ! 巫山戯るのも大概にしとけよぉぁぁあ!」
額に青筋を浮かせながら相方は例の魔女を思い出して叫び声を上げると、それは恐らく勇者一行の時のことが一度目の邪魔であり、二度目の邪魔は今現在のことであろう。だが深月は怒りが一気に込み上げて理性が飛んでいるのか、そのまま暫く地団駄を踏んでいた。
しかしこれで取り敢えずは冒険者登録を済ませることが出来たので、
「次回クエストをクリアしましたら、またこの魔道具にて先程と同じようにして下さい。そうすればステータスの確認が出来ますので」
最後に受付のお姉さんから今後は個人でやるように言われると一通りの説明は終わった。
そして彼女がカウンターの方へと戻るとギルドでやるべきことは全て終えたのだが、隣では深月が浮かない顔を見せたまま冒険者の証を眺めている状態が続いていた。
「なぁ深月? これは某RPGでのこと何だが呪いってのは教会に行けば払えるんじゃないのか?」
そこで俺のゲーム脳では呪われた武器や防具を装備した際の対処方としては、教会に行けば何とかして貰えることを導き出すと気分が落ち込んでいる相方へと声を掛けた。
これで少しでも気分が回復したらいいのだが……。
「ああ、それだっ! 今すぐに教会に行くぞ雄飛!」
すると深月は急に表情を引き締めて高い声を出すが、一体何を考えているのか突然俺の右腕を掴んで走り出すと、すぐさまギルドを出て教会を探すべく街中を徘徊し始めることとなった。
しかし初見の街でいきなり教会を見つけることは大変なことであり、そもそもこの街に教会があるのかどうかも疑問なのだ。極稀にだが街に教会が存在しない場合もゲームではありえるからな。
……まあだけど今はこの世界に来て不運続きの深月の為にも教会があることを祈るしかあるまい。本当に食糧難の魔女を助けただけで勇者一行からは嫌われ、冒険者の証には呪いを堂々と刻まれて他のスキルが全滅という散々な結果だからな。
この異世界は人助けをしただけで急にハードモードになりすぎではないだろうか。
創世神アステラには早急に対応して貰いたいものだが、こちら側から会える訳もないので諦めだ。
そのせいで受付のお姉さんは隣で唖然とした顔を見せたまま、
「ほ、本当に初心者冒険者なんですか……? 何処かの国の英雄とかじゃないですよね?」
目を丸くさせて疑いの声と眼差しを向けてくる始末であるのだ。
「このステータスは普通の冒険者と比べて天と地ほどの差がありますよ!」
さらに矢継ぎ早に受付のお姉さんは大げさな感じで言うと、自身の手を上下に振りながらその身で天と地ほどの差を表現していたが、それほどまでに俺のステータスは異常なのだろうか。
いまいち受付のお姉さんとは温度差を感じてしまい反応が鈍るが、
「ふ、普通の一般人のはずです……」
弱々しい声で返事をしつつ自分が一般人ではない可能性を認識させられた。
しかし一方で深月は冷静な顔をしていて、何処か気分が向上しているようにも見受けられる。
「なるほど。これが定番のチート級の能力ってことだね」
手を顎に当てながら神妙な面持ちで呟く相方。
そしてそのまま冒険者の証を人差し指と中指の間に挟むと深月は、
「ふふっ、ということは僕にも何かしらのぶっ飛んだ能力があるということォ!」
そう高らかに叫びながら俺を無理やり横に退かしたあと魔道具に冒険者の証をセットして手を水晶へと翳していた。
その一連の動きはまるで無邪気な子供を連想させて妙な可愛さがあり、まさに妹を見ているような気分になるが、俺に兄妹は居ないので妹の感覚は分からない。
そう、適当に言っただけだである。
だが今はそれよりも相方には一体どんなステータスとスキルが書き込まれるのかと普通に気になり、ついつい横から覗き込んでしまうがどうやら受付のお姉さんも同様のようで口を半開きにして覗いていた。つまり皆、考えることは同じということだ。
それから俺たちに見守られながら水晶は再び光り輝き出すと、深月は余裕の笑みを浮かべていたのだが、水晶の発光が思いのほか眩しいのか目が段々と細くなっていた。
しかしそれでも深月の冒険者の証に情報が書き込まれていくと暫くして水晶の光は収まった。
「あ、終わったみたいだね。んーっと、どれどれ?」
右手を僅かに伸ばして深月が冒険者の証を手に取ると、そのまま興味津々の様子で自分のステータスやスキルを確認していく。
すると証に書かれていた項目を見た途端に相方の表情は煮え切らないものとなり、
「……これってなんだ?」
何故か困惑に満ちた顔を俺と受付のお姉さんへと向けながら証も同時に見せてきた。
一体何事かと向けられた証に受付のお姉さんと共に視線を向けて項目欄に目を通していくと、そのカードのスキル欄には文字化けしたような字の羅列が多く刻まれていて、唯一文字として読めるのは一つだけであった。
「エルドの呪い?」
その唯一読める文字を音読していくと、それが深月の冒険者の証に刻まれたスキル名である。
無論だがこれの他にも幾つかスキルがあるみたいなのだが、全て文字化けしていて解読不可能なのだ。
「これは呪われているせいで他のスキルが使い物にならない状態ですね。しかしエルドの呪いとは……?」
同じく深月の冒険者の証に視線を向けていたが受付のお姉さんが口を開くと、どうやら相方は呪いを掛けられているようでスキルが全滅しているとのことであった。
しかしエルドの呪い……それは何処かで聞いたことある言葉だとして記憶を辿ると、
「あっ、そう言えばあの魔女も何かエルドがどうのこうとって言ってなかったか?」
それは深月が女体化する前に魔女が詠唱らしき言葉の中でエルドという言葉を混ぜていたことを思い出した。
「なんだと……あの食糧難の魔女めッ! また僕の邪魔をするのかぁぁ! 巫山戯るのも大概にしとけよぉぁぁあ!」
額に青筋を浮かせながら相方は例の魔女を思い出して叫び声を上げると、それは恐らく勇者一行の時のことが一度目の邪魔であり、二度目の邪魔は今現在のことであろう。だが深月は怒りが一気に込み上げて理性が飛んでいるのか、そのまま暫く地団駄を踏んでいた。
しかしこれで取り敢えずは冒険者登録を済ませることが出来たので、
「次回クエストをクリアしましたら、またこの魔道具にて先程と同じようにして下さい。そうすればステータスの確認が出来ますので」
最後に受付のお姉さんから今後は個人でやるように言われると一通りの説明は終わった。
そして彼女がカウンターの方へと戻るとギルドでやるべきことは全て終えたのだが、隣では深月が浮かない顔を見せたまま冒険者の証を眺めている状態が続いていた。
「なぁ深月? これは某RPGでのこと何だが呪いってのは教会に行けば払えるんじゃないのか?」
そこで俺のゲーム脳では呪われた武器や防具を装備した際の対処方としては、教会に行けば何とかして貰えることを導き出すと気分が落ち込んでいる相方へと声を掛けた。
これで少しでも気分が回復したらいいのだが……。
「ああ、それだっ! 今すぐに教会に行くぞ雄飛!」
すると深月は急に表情を引き締めて高い声を出すが、一体何を考えているのか突然俺の右腕を掴んで走り出すと、すぐさまギルドを出て教会を探すべく街中を徘徊し始めることとなった。
しかし初見の街でいきなり教会を見つけることは大変なことであり、そもそもこの街に教会があるのかどうかも疑問なのだ。極稀にだが街に教会が存在しない場合もゲームではありえるからな。
……まあだけど今はこの世界に来て不運続きの深月の為にも教会があることを祈るしかあるまい。本当に食糧難の魔女を助けただけで勇者一行からは嫌われ、冒険者の証には呪いを堂々と刻まれて他のスキルが全滅という散々な結果だからな。
この異世界は人助けをしただけで急にハードモードになりすぎではないだろうか。
創世神アステラには早急に対応して貰いたいものだが、こちら側から会える訳もないので諦めだ。
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