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第一章 イギリスお嬢様とメイド
2話「少年達は女性達に連行される」
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「これが魔力適性を測るタブレット端末だ。やり方の説明はした方が良いか?」
ツインテ女性に言われて魔力適性会場へと入った望六達の目の前にはタブレット端末が数代机の上に置かれていた。だが望六にはタブレット端末の操作の説明は不要だった。
これでも魔法関係の知識だけは蓄えてある。無駄に柳葉家で過ごしていた訳ではないのだ。
……いや、というより妹達が話してくるのを一方的に聞いていたら自然と覚えていたというのが正しいのかも知れない。
「いいえ! 俺は大丈夫です!」
「望六は良くっても、俺は説明して欲しいですね」
彼が自信気に言うと一樹は横で冷静にそう答えていた。
どうやら一樹は徹夜明けの変なテンションが戻りつつあるようだ。
だが対照的に今度は望六が冷静を失いかけているが。
「ほう、このタブレットの使い方を知っているのか。益々変わった奴だなお前は。……だが一応説明しておこう。魔力適性は専用のタブレット端末に手を翳すことで測れて画面にS・A・B・Cと言う適性ランクと共に属性が表示されるんだ」
ツインテ女性が望六達にタブレット端末の意味と適性のやり方を説明すると、二人は黙て話を聞いて頷いていた。
しかし望六にはそれ以外にも、このツインテ女性の説明口調がどうにも教師のそれに似ている様な気がしてならなかった。だがツインテという髪型のインパクトの強い教師なんて早々居ないだろうと結論づけ考えるのを辞めた。
「なるほどなぁ。じゃあ取り敢えず手をタブレットに翳せば良いのか」
「そうだ、では早速やってみろ。もし適性があったらそれはそれで面白いからな」
一樹が説明を聞いてタブレットと自分の右手を交互に見て呟くと、ツインテ女性が口角を上げて笑みを見せいてた。もしかしてこのツインテ女性は、ただ単に面白そうと言う理由だけで望六達に試験を受けさせようと思ったのだろうか。
「しゃぁ! 早速やってみるか!」
「おう! もしかしたら適性あったりするかもだしな!」
望六と一樹は互いに気合を入れるような声を出すと、右手を力強くタブレット端末の上へと翳した。
するとそれが何かの引き金となったのか、突然タブレットの画面が眩い光を放ち始めた。
そして同時にナビゲーションシステムも起動したのか、タブレットからこんな音声が聞こえてくる。
《起動オプション……確認》
《魔力インジケータ……正常》
《魔力適性プログラム……実行》
《対象者……白戸望六……計測ヲ開始》
その無機質な音声は同様に一樹の方からも聞こえてくる。
どうやら手を翳す事で自然とプログラムが起動する仕組みになっているらしい。
魔力適性が初見の一樹はその音声に驚いているのか、口を少し開けながら結果を待っているようだった。同様に望六も魔力適性は初めてだったが、事前にタブレットについての知識はあったから余り気にしていない。
――やがて二人が手を翳して二分程が経過すると、タブレットは再び無機質な音声を望六達に聞かせ始めた。
《魔力測定……終了》
《対象者……白戸望六……魔力適性アリ》
《適性結果……Aランク……属性無属性》
《魔力適性プログラム……終了》
そのタブレットから発せられる無機質な音声は確かに望六に魔力をある事を告げていた。
そして望六がその結果を聞いて声をあげようとすると、それよりも早くにツインテ女性が口を開いた。
「あ、ありえない……。Aランク適性者だと……!?」
そして時を待たずして隣の方からも同じく無機質な音声でそれは語られた。
《魔力測定……終了》
《対象者……宮薗一樹……魔力適性アリ》
《適性結果……Aランク……属性雷属性》
《魔力適性プログラム……終了》
「なにっ!? こっちも魔力適性がAランクだと!? 一体何がどうなっているんだ……。それに宮薗の名字とは……」
ツインテ女性は一樹の結果を聞いて何かに気づいた様子だったが、それよりも二人が適性ランクAを出した事に驚きを隠せないようだった。だがそれも無理はないだろうと望六は思う。
その理由は至ってシンプルだ。この世界では適性ランクが【S・A・B・C】とあって女性が多いのはAとBである。だが多いと言ってもAは女性の中でも高い部類に入る。Cは女性男性共に居るが数は限りなく少ない。
故にそんな高いランクをもっとも適性が遠いと言われている男……それも齢十五の少年二人が出してしまったのだ。それは世界の根本を変えてしまうほど出来事。
だからあの気の強そうなツインテの女性も焦りと困惑を隠せないでいるのだ。
「う、嘘だろ!? ま、まじで適性あったぜ! よっしゃー!!」
「おいおい待て待て……。そんな喜んでいる場合ではいぞ一樹。これは今すぐにでもこの場から逃げないといけない事案だ!」
一樹が適性があった事に両手を上げて喜んでいる様子だが、望六は心中は穏やかではなかった。
最初にツインテ女性が驚いてくれたおかげで冷静になって考える事が出来たが、その結果これは非常にまずい事だと彼は確信したのだ。
男性初のAランクが誕生したとなれば日本の魔導省が黙っていないからだ。
魔導省とは日本に在籍する魔術士達の、管理、仕事の斡旋、同盟国の要望で紛争地域へと派遣、と多岐に渡る事を行っているのだ。
特に防衛省との絡みが濃く、その魔道省の正式名称は【日本魔術委員会】と言われている。
しかし魔力は女子にしか宿らないという常識が影響しているのか、そこの魔導省は全員が女性で構成されているのだ。
しかも皮肉な事にそこのトップが酷い女尊男卑の思考の持ち主で、今や日本は男性よりも女性が優れていると言うのが一般的になっていて魔術士とは女性社会が基盤となっているのだ。
つまりそこに連絡されては唯では済まないと望六は理解しているのだ。
だからこそ、この場から逃げると言う選択はもっとも最善の策と言えるだろう。
「お、おいってば望六!?」
「いいから早くしろ! あのツインテ試験管が混乱している内に逃げるぞ!」
彼は一樹の腕を掴んで急いでこの場から立ち去ろうとする。
まさかツインテで気の強い女性に出会って色々としている内にやばい事態に巻き込まれるとは……一体これはどういう展開だ。っと望六は心の中で叫びながら試験会場を出ようとすると、
「くそっ、二人とも逃がさんぞ! ここで逃しては私が上から怒られるからな!! 術式展開【Shadow Bind】」
望六は背後からツインテ女性の焦りと微かに苛立ち混じりの声を聞くと、二人はあと一歩で試験会場から出られるのだが――
「うわっ!? なんだよこの黒いもやの塊は!?」
「くっ、しくったな。これはきっとあの人の魔法だ……くそッ」
二人は瞬く間に黒いもやに体を拘束されて身動きが取れなくなった。
望六は舌打ちしながら視線をツインテ女性の元へと向けると、その女性の手にはリボルバーの様な物が握られてる事に気が付いた。
「はぁ……。これでは流石にお手上げだな」
望六はそのリボルバーを見た瞬間に全てを悟り、このまま抵抗を続けても無意味だと気づくと自然と肩の力は抜けていった。
「ちょ! 勝手に諦めないでくれよ! 意味わかんねえよおお!!」
だがその一方で一樹は事情が把握出来ないのか、その場で声を荒らげながら望六に訴え掛けているようだった。
――それからからは色々と起こり過ぎて、文字取り本当にあっという間だった。
まずツインテ女性が二人を黒いもやで逃げられないように捕縛した後、そのまま何処かに電話を掛けて話し込み。
その電話を終えると数時間後には何故か七瀬と黒服を来た女性達が迎えに来て、有無を言わさずに望六達を車に乗せて何処かに輸送したのだ。
だが拘束されたあと、望六には何となくだがこの後の展開が分かっていたのだ。
それは日本という国では魔力適性があった時点で、魔法を学ぶ学園に通わなければならないと言う絶対の規則が発動すると言う事。
それに初めて適正を測った時にタブレットを通して政府が管理している魔術士データベースに属性と個人情報が登録されるから、どの道逃げても無駄だったのだ。
そんな事、少なからず望六の頭の中にはあった。
だけど敢えて考えないようにしていた。それは最も最悪な展開を意味するから――
ツインテ女性に言われて魔力適性会場へと入った望六達の目の前にはタブレット端末が数代机の上に置かれていた。だが望六にはタブレット端末の操作の説明は不要だった。
これでも魔法関係の知識だけは蓄えてある。無駄に柳葉家で過ごしていた訳ではないのだ。
……いや、というより妹達が話してくるのを一方的に聞いていたら自然と覚えていたというのが正しいのかも知れない。
「いいえ! 俺は大丈夫です!」
「望六は良くっても、俺は説明して欲しいですね」
彼が自信気に言うと一樹は横で冷静にそう答えていた。
どうやら一樹は徹夜明けの変なテンションが戻りつつあるようだ。
だが対照的に今度は望六が冷静を失いかけているが。
「ほう、このタブレットの使い方を知っているのか。益々変わった奴だなお前は。……だが一応説明しておこう。魔力適性は専用のタブレット端末に手を翳すことで測れて画面にS・A・B・Cと言う適性ランクと共に属性が表示されるんだ」
ツインテ女性が望六達にタブレット端末の意味と適性のやり方を説明すると、二人は黙て話を聞いて頷いていた。
しかし望六にはそれ以外にも、このツインテ女性の説明口調がどうにも教師のそれに似ている様な気がしてならなかった。だがツインテという髪型のインパクトの強い教師なんて早々居ないだろうと結論づけ考えるのを辞めた。
「なるほどなぁ。じゃあ取り敢えず手をタブレットに翳せば良いのか」
「そうだ、では早速やってみろ。もし適性があったらそれはそれで面白いからな」
一樹が説明を聞いてタブレットと自分の右手を交互に見て呟くと、ツインテ女性が口角を上げて笑みを見せいてた。もしかしてこのツインテ女性は、ただ単に面白そうと言う理由だけで望六達に試験を受けさせようと思ったのだろうか。
「しゃぁ! 早速やってみるか!」
「おう! もしかしたら適性あったりするかもだしな!」
望六と一樹は互いに気合を入れるような声を出すと、右手を力強くタブレット端末の上へと翳した。
するとそれが何かの引き金となったのか、突然タブレットの画面が眩い光を放ち始めた。
そして同時にナビゲーションシステムも起動したのか、タブレットからこんな音声が聞こえてくる。
《起動オプション……確認》
《魔力インジケータ……正常》
《魔力適性プログラム……実行》
《対象者……白戸望六……計測ヲ開始》
その無機質な音声は同様に一樹の方からも聞こえてくる。
どうやら手を翳す事で自然とプログラムが起動する仕組みになっているらしい。
魔力適性が初見の一樹はその音声に驚いているのか、口を少し開けながら結果を待っているようだった。同様に望六も魔力適性は初めてだったが、事前にタブレットについての知識はあったから余り気にしていない。
――やがて二人が手を翳して二分程が経過すると、タブレットは再び無機質な音声を望六達に聞かせ始めた。
《魔力測定……終了》
《対象者……白戸望六……魔力適性アリ》
《適性結果……Aランク……属性無属性》
《魔力適性プログラム……終了》
そのタブレットから発せられる無機質な音声は確かに望六に魔力をある事を告げていた。
そして望六がその結果を聞いて声をあげようとすると、それよりも早くにツインテ女性が口を開いた。
「あ、ありえない……。Aランク適性者だと……!?」
そして時を待たずして隣の方からも同じく無機質な音声でそれは語られた。
《魔力測定……終了》
《対象者……宮薗一樹……魔力適性アリ》
《適性結果……Aランク……属性雷属性》
《魔力適性プログラム……終了》
「なにっ!? こっちも魔力適性がAランクだと!? 一体何がどうなっているんだ……。それに宮薗の名字とは……」
ツインテ女性は一樹の結果を聞いて何かに気づいた様子だったが、それよりも二人が適性ランクAを出した事に驚きを隠せないようだった。だがそれも無理はないだろうと望六は思う。
その理由は至ってシンプルだ。この世界では適性ランクが【S・A・B・C】とあって女性が多いのはAとBである。だが多いと言ってもAは女性の中でも高い部類に入る。Cは女性男性共に居るが数は限りなく少ない。
故にそんな高いランクをもっとも適性が遠いと言われている男……それも齢十五の少年二人が出してしまったのだ。それは世界の根本を変えてしまうほど出来事。
だからあの気の強そうなツインテの女性も焦りと困惑を隠せないでいるのだ。
「う、嘘だろ!? ま、まじで適性あったぜ! よっしゃー!!」
「おいおい待て待て……。そんな喜んでいる場合ではいぞ一樹。これは今すぐにでもこの場から逃げないといけない事案だ!」
一樹が適性があった事に両手を上げて喜んでいる様子だが、望六は心中は穏やかではなかった。
最初にツインテ女性が驚いてくれたおかげで冷静になって考える事が出来たが、その結果これは非常にまずい事だと彼は確信したのだ。
男性初のAランクが誕生したとなれば日本の魔導省が黙っていないからだ。
魔導省とは日本に在籍する魔術士達の、管理、仕事の斡旋、同盟国の要望で紛争地域へと派遣、と多岐に渡る事を行っているのだ。
特に防衛省との絡みが濃く、その魔道省の正式名称は【日本魔術委員会】と言われている。
しかし魔力は女子にしか宿らないという常識が影響しているのか、そこの魔導省は全員が女性で構成されているのだ。
しかも皮肉な事にそこのトップが酷い女尊男卑の思考の持ち主で、今や日本は男性よりも女性が優れていると言うのが一般的になっていて魔術士とは女性社会が基盤となっているのだ。
つまりそこに連絡されては唯では済まないと望六は理解しているのだ。
だからこそ、この場から逃げると言う選択はもっとも最善の策と言えるだろう。
「お、おいってば望六!?」
「いいから早くしろ! あのツインテ試験管が混乱している内に逃げるぞ!」
彼は一樹の腕を掴んで急いでこの場から立ち去ろうとする。
まさかツインテで気の強い女性に出会って色々としている内にやばい事態に巻き込まれるとは……一体これはどういう展開だ。っと望六は心の中で叫びながら試験会場を出ようとすると、
「くそっ、二人とも逃がさんぞ! ここで逃しては私が上から怒られるからな!! 術式展開【Shadow Bind】」
望六は背後からツインテ女性の焦りと微かに苛立ち混じりの声を聞くと、二人はあと一歩で試験会場から出られるのだが――
「うわっ!? なんだよこの黒いもやの塊は!?」
「くっ、しくったな。これはきっとあの人の魔法だ……くそッ」
二人は瞬く間に黒いもやに体を拘束されて身動きが取れなくなった。
望六は舌打ちしながら視線をツインテ女性の元へと向けると、その女性の手にはリボルバーの様な物が握られてる事に気が付いた。
「はぁ……。これでは流石にお手上げだな」
望六はそのリボルバーを見た瞬間に全てを悟り、このまま抵抗を続けても無意味だと気づくと自然と肩の力は抜けていった。
「ちょ! 勝手に諦めないでくれよ! 意味わかんねえよおお!!」
だがその一方で一樹は事情が把握出来ないのか、その場で声を荒らげながら望六に訴え掛けているようだった。
――それからからは色々と起こり過ぎて、文字取り本当にあっという間だった。
まずツインテ女性が二人を黒いもやで逃げられないように捕縛した後、そのまま何処かに電話を掛けて話し込み。
その電話を終えると数時間後には何故か七瀬と黒服を来た女性達が迎えに来て、有無を言わさずに望六達を車に乗せて何処かに輸送したのだ。
だが拘束されたあと、望六には何となくだがこの後の展開が分かっていたのだ。
それは日本という国では魔力適性があった時点で、魔法を学ぶ学園に通わなければならないと言う絶対の規則が発動すると言う事。
それに初めて適正を測った時にタブレットを通して政府が管理している魔術士データベースに属性と個人情報が登録されるから、どの道逃げても無駄だったのだ。
そんな事、少なからず望六の頭の中にはあった。
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