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第64話 どこから来るのか、ゴールデンなラスボス?
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俺達はついに第7階層であるダンジョン最深部に到達した。ただお散歩してきただけだけどね。
見敵即吸引で、掃除機でGを吸い取るごとく敵を一掃して来た。
増田的にはどこダンのキャスト補充ができて大いに嬉しかったらしい。え? 俺に付いて来て良かった?
止せやい。お互いに1つ穴のダンマスじゃないか。
「そう言えば、増田のところのラスボスはマッチョ・ドラゴンだったね」
「今回もそのレベルの有力モンスターが出るニャ?」
「これまでの分布を見ると、当たらずと言えど遠からずかと」
なるほど、なるほど。強いモンスターが出るのは歓迎ですよ。ドロップ品に期待ができますからね。
相性がよさそうならテイムするのも良さそうだし。
「ドラゴンライダーとか悪くないけどさ。現実を考えるとデカすぎて持て余すよね」
「駐車場探しが大変ニャ。町中には止められニャイし。飛びながら糞をしたら、地上で死人が出そうニャ」
そんな糞害はご免被りたいね。ドラゴンライダーは無いかな。
「ユニコーンくらいならカッコ良いし、普段使いにもできるんじゃない?」
「ベースは馬ニャからニャ」
やいのやいの盛り上がっている内に、ボス部屋の前まで来た。
いつもの通り各種センサーとハニービー団の探索機能(ドアの隙間から入って見て来るだけ)によると、内部は空っぽ。挑戦者が入場するとポップするタイプらしい。
「部屋の大きさからみて、ドラゴンみたいな大型種は無いな」
「天井もそれほど高くニャい」
「モフモフタイプならテイムしてもイイかもね」
「愛玩用のラスボスはいないニャ」
いやあ性格次第じゃないの? フェンリルとかグリフォンとかだって、性格温厚ならお友達になれるでしょう。
BJだって最初は嫌な奴らだったけど、仲間になったら情に厚いことがわかったんだし。
「俺は正攻法では戦力にならないから、俺ダンに隠れて奇襲参加するよ」
「了解ニャ。突入後、ラスボス出現と同時に殲滅戦を仕掛けるニャ。自重無しで物量攻撃発動。ストーン3はスタングレネード、催涙弾斉射の後液体窒素凍結弾をつるべ撃ち。凍らせたところでジェットストリーム何たらという名の体当たりをかますニャ!」
おお、今回ストーンズはまさしく「黒い三連石」。「俺を踏み台にしたぁ?」をやってくれるのか?
「基本そこまでで圧勝しそうだけど、俺は万一敵が回避して生き残ったパターンに備えるわ」
「良かろうニャ。二の矢はトビーによる急降下超音波爆撃ニャ。その効果を最大にする足元からのかく乱を頼むニャ」
「任せてもらおう! 人の足元を掬わせたら、右に出る者がいないと言われた男、ワタクシがトーメーです」
俺は颯爽と大見得を切った。恥じることなどない。なぜならここには人外しかいないからだ!
「とどめは勇者アリスにゃんが務めるニャ。秘剣『首刈鎌』をお見舞い申すニャ」
ああ、あの首ちょんパね。怖い奴。
「良し。作戦成立! 現地で会おう!」
俺は俺ダンの入り口を開いてBJと一緒に飛び込んだ。ボス部屋の扉を開かなくても内部に入れちゃうのだ。
便利な時代になりました。
またホームセンターに走ろうかとも思ったんだが、どこダンをモンスター討伐(というかスカウト)に使用したことで、発想が変わった。
「俺ダンその物が俺の戦闘力だ!」
と、熱血主人公モードで叫ぶ気持ちが溢れんばかりだ。叫ばないし溢れないけど。
俺はボス部屋の中央床下に潜り込み、俺ダンの天井をマジックミラーにして観戦の体勢を整えた。
買い置きの豆大福と渋茶で完璧な体勢が整ったね。
あー、生クリームよりあんこだねぇ。
俺はボス部屋入り口の地面に俺ダンの出入り口を作りそこから割りばしの先を突き出した。
これだけのことで2つの空間は地続きになり、アリスさんと通信が確立する。
こんなことも発見したのです。
「アリスさん、どーぞ」
「こちらアリスニャ。本体は戦闘配置についた。準備完了ニャ」
「こちらも所定位置に付きました。いつでも攻撃開始どーぞ、どーぞ」
「了解ニャ。ストーン3、突入ニャ! ニャー、ニャー、ニャー!」
「いや、そこは『ゴー、ゴー、ゴー!』でしょ?」
「猫キャラボケ」をかましながらも、アリスさんは怒涛のようにボス部屋に突入した。
ストーン3、頼もしいぞ。
全員が入るとドアがバタンと閉じて、部屋中央がまばゆく輝いた。
まばゆい光から現れたのは、まばゆく光る……随分まばゆいな?
「わははははははは」
金色のぴかぴか骸骨が何やら大笑いしておりますな。えーと、ひょっとしてあれは。
「おーい、増田―!」
「お呼びでしょうか、ボス?」
「あのぴかぴか骸骨ってもしかしたら、『黄金バ……」
「ボス! あれはですね、『ゴールデン黄金バトウ』です!」
あー、またしてもくどい形容詞シリーズですか。黄金がゴールデンなんですね。
それは眩しいわ。
「にしても『バトウ』って何よ?」
「字で書くと『馬の頭』です」
「その『|馬頭<ばとう>』?」
それってあれか、地獄の「馬頭羅刹《らせつ》」じゃないの? ケンタウロスの「じゃない方」みたいな奴ね? 体が人で頭が馬。
「でも全身骸骨になってるよ?」
「そこら辺は地獄で栄養事情が悪かったという設定でございます」
「ふーん。どこから来るのかねぇ……」
それにしても眩しい光だね。これだけ眩しいとスタングレネードの意味がないね。真昼に線香花火をやってるみたいなもんだよ?
音はバン、バンうるさいけど、あいつに耳とかあるかなあ? 馬だけど骨だからねえ。
馬耳東風って言うし。馬の耳にスタングレネード。
「わはははははははは」
効かないみたいだねえ。催涙弾も滑ってるね。
相手は骨だからねえ。目とか鼻とかないし。呼吸してないかも。
豆大福無くなっちゃったから、お煎餅でも食うか?
「わはははははははは」
それにしてもこいつ、立ってるだけだね。逆襲とかして来ないのかね。
「わははははは。やーい、そんな攻撃は効かないぞ。バーカ、バーカ!」
「そっちの罵倒かい!」
ちょっと頭に来ちゃったな。俺はお煎餅の袋を開ける手を止めて、いよいよラスボス戦に参加することにした。
「じゃ、あらよっと」
俺はゴールデン黄金バトウの足元にぽっかり次元の裂け目を作り、奴の下半身を俺ダンに飲み込んだ。
「わは!」
腰まで浸かったところで出入口閉鎖! 次元の裂け目が消えてなくなる。
するとどうなる?
ぼたん。
ゴールデン黄金バトウの下半身が、俺ダンの床に落ちてきた。
あ、良かった。血も涙もないタイプだったね。スプラッタにならなくて済んだわ。
「はは!」
地上では臍から下が無くなったゴールデン黄金バトウが、だるま落としみたいに地面に落ちた。
砂浜に腰まで埋められた人みたいだね。水虫がかゆくなったら地獄だ。
ベースが骨だけに、この程度じゃ死なないらしい。元々死んでるようなもんだが。
「kWaaaaaaaAAAAH!」
この声は? それほど高くない天井から急降下、急でもないか? えー、降下して来たトビー君でした。
時速390キロのアターック! 超音波砲は狙いあやまたずゴールデンの頭蓋骨に風穴を開けた。
ズドン!
ぐらりと傾くゴールデン。しかし、さすがに骨がある。ぐっとこらえて両手で体を支えて見せた。
「わはは……」
ぐしゃっ!
ダイヤマンが踏みつぶした。骨煎餅になっちゃったね。
コビ1君が喜ぶかも。お土産にしようか?
むっ? こっちに落ちていた両足が、本体の死と共に光りながら変化を始めたぞ?
どうなるんだ?
ピカーッ!
光が収まるとそこには、金色に輝く金属バットが2本転がっていた。
「こ、これはもしや……『黄金のバット』」
この世界に野球はないだろうに。そこまでして名を残したかったのか、ゴールデン黄金バトウ。
「名前は『バット』じゃねえだろう!」
結構な量の金塊ということで、ありがたく納めましたよ?
見敵即吸引で、掃除機でGを吸い取るごとく敵を一掃して来た。
増田的にはどこダンのキャスト補充ができて大いに嬉しかったらしい。え? 俺に付いて来て良かった?
止せやい。お互いに1つ穴のダンマスじゃないか。
「そう言えば、増田のところのラスボスはマッチョ・ドラゴンだったね」
「今回もそのレベルの有力モンスターが出るニャ?」
「これまでの分布を見ると、当たらずと言えど遠からずかと」
なるほど、なるほど。強いモンスターが出るのは歓迎ですよ。ドロップ品に期待ができますからね。
相性がよさそうならテイムするのも良さそうだし。
「ドラゴンライダーとか悪くないけどさ。現実を考えるとデカすぎて持て余すよね」
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そんな糞害はご免被りたいね。ドラゴンライダーは無いかな。
「ユニコーンくらいならカッコ良いし、普段使いにもできるんじゃない?」
「ベースは馬ニャからニャ」
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いつもの通り各種センサーとハニービー団の探索機能(ドアの隙間から入って見て来るだけ)によると、内部は空っぽ。挑戦者が入場するとポップするタイプらしい。
「部屋の大きさからみて、ドラゴンみたいな大型種は無いな」
「天井もそれほど高くニャい」
「モフモフタイプならテイムしてもイイかもね」
「愛玩用のラスボスはいないニャ」
いやあ性格次第じゃないの? フェンリルとかグリフォンとかだって、性格温厚ならお友達になれるでしょう。
BJだって最初は嫌な奴らだったけど、仲間になったら情に厚いことがわかったんだし。
「俺は正攻法では戦力にならないから、俺ダンに隠れて奇襲参加するよ」
「了解ニャ。突入後、ラスボス出現と同時に殲滅戦を仕掛けるニャ。自重無しで物量攻撃発動。ストーン3はスタングレネード、催涙弾斉射の後液体窒素凍結弾をつるべ撃ち。凍らせたところでジェットストリーム何たらという名の体当たりをかますニャ!」
おお、今回ストーンズはまさしく「黒い三連石」。「俺を踏み台にしたぁ?」をやってくれるのか?
「基本そこまでで圧勝しそうだけど、俺は万一敵が回避して生き残ったパターンに備えるわ」
「良かろうニャ。二の矢はトビーによる急降下超音波爆撃ニャ。その効果を最大にする足元からのかく乱を頼むニャ」
「任せてもらおう! 人の足元を掬わせたら、右に出る者がいないと言われた男、ワタクシがトーメーです」
俺は颯爽と大見得を切った。恥じることなどない。なぜならここには人外しかいないからだ!
「とどめは勇者アリスにゃんが務めるニャ。秘剣『首刈鎌』をお見舞い申すニャ」
ああ、あの首ちょんパね。怖い奴。
「良し。作戦成立! 現地で会おう!」
俺は俺ダンの入り口を開いてBJと一緒に飛び込んだ。ボス部屋の扉を開かなくても内部に入れちゃうのだ。
便利な時代になりました。
またホームセンターに走ろうかとも思ったんだが、どこダンをモンスター討伐(というかスカウト)に使用したことで、発想が変わった。
「俺ダンその物が俺の戦闘力だ!」
と、熱血主人公モードで叫ぶ気持ちが溢れんばかりだ。叫ばないし溢れないけど。
俺はボス部屋の中央床下に潜り込み、俺ダンの天井をマジックミラーにして観戦の体勢を整えた。
買い置きの豆大福と渋茶で完璧な体勢が整ったね。
あー、生クリームよりあんこだねぇ。
俺はボス部屋入り口の地面に俺ダンの出入り口を作りそこから割りばしの先を突き出した。
これだけのことで2つの空間は地続きになり、アリスさんと通信が確立する。
こんなことも発見したのです。
「アリスさん、どーぞ」
「こちらアリスニャ。本体は戦闘配置についた。準備完了ニャ」
「こちらも所定位置に付きました。いつでも攻撃開始どーぞ、どーぞ」
「了解ニャ。ストーン3、突入ニャ! ニャー、ニャー、ニャー!」
「いや、そこは『ゴー、ゴー、ゴー!』でしょ?」
「猫キャラボケ」をかましながらも、アリスさんは怒涛のようにボス部屋に突入した。
ストーン3、頼もしいぞ。
全員が入るとドアがバタンと閉じて、部屋中央がまばゆく輝いた。
まばゆい光から現れたのは、まばゆく光る……随分まばゆいな?
「わははははははは」
金色のぴかぴか骸骨が何やら大笑いしておりますな。えーと、ひょっとしてあれは。
「おーい、増田―!」
「お呼びでしょうか、ボス?」
「あのぴかぴか骸骨ってもしかしたら、『黄金バ……」
「ボス! あれはですね、『ゴールデン黄金バトウ』です!」
あー、またしてもくどい形容詞シリーズですか。黄金がゴールデンなんですね。
それは眩しいわ。
「にしても『バトウ』って何よ?」
「字で書くと『馬の頭』です」
「その『|馬頭<ばとう>』?」
それってあれか、地獄の「馬頭羅刹《らせつ》」じゃないの? ケンタウロスの「じゃない方」みたいな奴ね? 体が人で頭が馬。
「でも全身骸骨になってるよ?」
「そこら辺は地獄で栄養事情が悪かったという設定でございます」
「ふーん。どこから来るのかねぇ……」
それにしても眩しい光だね。これだけ眩しいとスタングレネードの意味がないね。真昼に線香花火をやってるみたいなもんだよ?
音はバン、バンうるさいけど、あいつに耳とかあるかなあ? 馬だけど骨だからねえ。
馬耳東風って言うし。馬の耳にスタングレネード。
「わはははははははは」
効かないみたいだねえ。催涙弾も滑ってるね。
相手は骨だからねえ。目とか鼻とかないし。呼吸してないかも。
豆大福無くなっちゃったから、お煎餅でも食うか?
「わはははははははは」
それにしてもこいつ、立ってるだけだね。逆襲とかして来ないのかね。
「わははははは。やーい、そんな攻撃は効かないぞ。バーカ、バーカ!」
「そっちの罵倒かい!」
ちょっと頭に来ちゃったな。俺はお煎餅の袋を開ける手を止めて、いよいよラスボス戦に参加することにした。
「じゃ、あらよっと」
俺はゴールデン黄金バトウの足元にぽっかり次元の裂け目を作り、奴の下半身を俺ダンに飲み込んだ。
「わは!」
腰まで浸かったところで出入口閉鎖! 次元の裂け目が消えてなくなる。
するとどうなる?
ぼたん。
ゴールデン黄金バトウの下半身が、俺ダンの床に落ちてきた。
あ、良かった。血も涙もないタイプだったね。スプラッタにならなくて済んだわ。
「はは!」
地上では臍から下が無くなったゴールデン黄金バトウが、だるま落としみたいに地面に落ちた。
砂浜に腰まで埋められた人みたいだね。水虫がかゆくなったら地獄だ。
ベースが骨だけに、この程度じゃ死なないらしい。元々死んでるようなもんだが。
「kWaaaaaaaAAAAH!」
この声は? それほど高くない天井から急降下、急でもないか? えー、降下して来たトビー君でした。
時速390キロのアターック! 超音波砲は狙いあやまたずゴールデンの頭蓋骨に風穴を開けた。
ズドン!
ぐらりと傾くゴールデン。しかし、さすがに骨がある。ぐっとこらえて両手で体を支えて見せた。
「わはは……」
ぐしゃっ!
ダイヤマンが踏みつぶした。骨煎餅になっちゃったね。
コビ1君が喜ぶかも。お土産にしようか?
むっ? こっちに落ちていた両足が、本体の死と共に光りながら変化を始めたぞ?
どうなるんだ?
ピカーッ!
光が収まるとそこには、金色に輝く金属バットが2本転がっていた。
「こ、これはもしや……『黄金のバット』」
この世界に野球はないだろうに。そこまでして名を残したかったのか、ゴールデン黄金バトウ。
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