上 下
24 / 80

第24話 これにて一件落着ー!

しおりを挟む
(さて、準備は良いかな?)
(へい、ボス! BB団いつでも行けます)
(結構。ほんじゃ、アロー君による「石けり攻撃」で悪い人たちをおびき出しましょう!)

「ブヒヒ~~ン! ぷるるる~」

 勇ましいぞ!
 アロー! 君に決めたッ! やっちゃって下さい。

 農場に向かって後ろ足で地面をキーック!
 と見せてのレールガン発射!

 うわお! 秒速3000フィートで7ミリ弾が宙を割く。
 農場の小屋ごときじゃ紙みたいなもんだね。部屋の中で家具だの壁だのが砕け散ってるんじゃないかね。

 見せてやって下さい。マイクロ原子力発電の性能ってやつを。
 連続キックで連射! 連射! 連射ーーっ!

 あ、やべ……。

 既にトビー君が超音波砲で穴を開けまくってたのね。壁が崩れ出してるね。
 アロー君、すとーっぷ! シーズ・ファイアー!

 みしみしと不吉な音を立てて持ちこたえるかと見えた農場の建物は、やがて重力に負けてひしゃげるように崩れ始めた。

「あー。悪者のみなさーん、外に出ないと押しつぶされちゃいますよー!」

「うわわぁあああっ!」

 当然ながらパニックを起こしたキング一味が転がり出てきた。えーと、13人だっけ? うん、大体そろってるね。大体で良いや。

 おっと、デブ×1だけはしっかり確認しとかないとね。デブ、デブと。
 あー、丸いのいたね。あれが便意きんぐね。あれなら逃げ足遅そうだから、最後にやっつけよう。

「えー、悪い人のみなさん、我々は正義の味方BB団スペシャルです。世界の平和を守るため、キミたちを逮捕しますのでできるだけ抵抗してみて下さい!」

 ほら、待っててあげるから隊列組んで。盾を前に出さないとだめでしょ? でかいだけの壁役でもいないよりましなはずでしょうが。
 えーっ? タワーシールドをがれきの中に置いてきちゃった? しょうがねえなもう。

「えーと、BB団の自己紹介を行いますので、その間に社会の敵チームはタワーシールドを拾って来て下さい。えっ? 槍も取ってきて良いかって? いちいち聞かないの! 何でも早く取って来なさいよ!」

 もう、空気を読みなさいってば。段取りが悪いんだから。

「1番、ツッコミ役ブラウニー選手。趣味はスイーツ食べ歩きでぇ~す!」
「2番、馬丁見習いのボンド選手。趣味は丸い石探し!」
「3番、4番はバット選手とボール選手。趣味は蹴鞠です。なんでやねん!」
「5番、6番はビューティ選手とビースト選手です。趣味はダンスと筋トレでーす!」

「6人合わせてBB団! よろしくねっ!」

 よし、決まった! 自己紹介ルーチンはきっちり合わせておかないとね。

「悪党チーム、揃いましたか? 忘れ物はありませんね? はい、それじゃあ隊列を組んで―! 前後左右、足りない人はいませんね~?」

 はあ、世話が焼けるねえ。こっちにも作戦てもんがあるからねえ。せっかく立てた作戦なんだからさあ。ちゃんと実行させてくれない?

「はあ~い。それじゃあ一戦おっぱじめますかね? 弓兵隊、ちゃんと矢は持ってますね? じゃあ、先手悪者チームの弓兵さんから攻撃開始しちゃって下さい!」

 びよ~んと弓持ちが矢を放ってきたところで再びアロー君の出番ですよ。
 風になびくたてがみ、カッコ良いね!

「ヒヒ~ン!」

 一声いなないたかと思うとトビー君は前足を上げて竿立ちした。そこへ矢のように飛んで来る矢。
 矢だからねえ。やじゃないけど。

 弾着寸前、飛矢は音もなく逸れて行く。ひやひやした? 飛矢だけに。

 アロー君の「超磁力」バリアーです。8888。
 精密機器は故障の恐れがございますので、ご使用をお控え下さい。

 からのー、レールガン第2陣! 弓兵×5に襲い掛かる。
 サーチ・アンド・デストロイ! サーチ・アンド・デストロイ! 見敵必殺であります。

「はいは~い! 野球チームの出番ですよ~。棒担いで『わぁ~っ』て突撃して-」

 バットとボールは六尺スタンのメモリを5にセットすると、タワーシールド目掛けて突進した。
 あ、弓は全滅したけど、ナイフとか投げて来る奴いるね。手癖悪いな、あいつら。

 ごめーん。適当に棒で払ったりして避けてねー。当たってもケプラーベストがあるから大けがはしないだろうけど。

 うん。2、3本でナイフは打ち止めだね。じゃあ、改めてタワーシールドにアタック敢行!
 ビビビッてやりました! タワーシールドをぶん殴れば持ち手が感電するんだから、簡単でしょ?

 はーい。そこで美女と野獣の出番ですよー! 野球チームはちょっと背中を丸めてね?
 はい。

「ジェット気流的攻撃~~!」

 よーし! 見事な跳躍です。
 おやま、飛び越しざまに槍持ちの頭蹴とばして行ったね? 複合技は技術点が加算されます。E難度くらいかな。

 そして、大事なセリフですよ。野球チームさん、どうぞ!

「俺を踏み台にしたぁっ?」

 はい。オッケー! 完璧な様式美です。
 
 そうしたら、アロー君、再び超磁力で槍をゲーッチュ! あ、タワーシールドも釣れちゃったね。捨てといて。邪魔だから。

 あー、もう! 手を放さないから! 槍の人が1人飛んで来ちゃったじゃない。タワーシールドに挟まって気絶しちゃったよ。
 困るなあ、予定を狂わしてもらったら。BB団の出代が減っちゃうでしょ? 脚本・演出家としては迷惑なのよねえ。

 気を取り直して、美女と野獣が剣士を電撃と。これも1合交えれば良いんだから、楽ちんだ。
 はい、お終いと。

 槍を無くした槍持ち×2は、ブラウニー君とボンド君で捕獲してください。お利巧ですね。無駄な抵抗を止めたようですね。キリキリ縛り上げといて。

 さてと――。

「ポンポンポンポン……。ひとーつ、人より力持ち。後、省略。退治てくれよう、トメ太郎!」

 飾職人としての技術を生かした般若の面。我ながら良くできましたよ。前が見にくいので、立ち回りの際は外しますね。危険は避けないと。

「えーと、便意きんぐ。愛と正義の名の下に逮捕します。あなたには抵抗する権利があります。抵抗した場合、ぶっ叩きます」
「ふざけやがって、この野郎!」
「はい。ビビビッと」

「うっ、ぶぶぶぶーっ!」

 オッケー。全員逮捕完了。

「これにて、一件落着ー!」

 あー、しまったぁあああっ!

『どうかしたニャか?』
『トビーが先行して倒した連中が、がれきの山に埋まってるよ! 掘り出すの、面倒くせぇー!』
『そういう肉体労働的な物はビリビリ団にやらせれば良いニャ』

 BB団ね、アリスさん。
 でも、そうだね。健康増進のために、社会奉仕の発掘作業をやってもらおうか?

「BB団の皆さん、お疲れさまでした。悲しいお知らせがあります。えー、皆さんは残業決定です。うちはブラックではありませんが、予定外の業務になります」
「何スか、ボス? もう敵は残っていないはずじゃ」
「それが問題なのよねえ。このがれきの下に8人埋まってるんだわ。お前ら6人で掘り出しといて」

「このがれきをどけるんスか? ええーっ!」
「残業手当として、晩飯のおかずにコロッケを追加します」
「コロッケって、あーた!」
「デザートは杏仁豆腐です」
「やらせていただきやす!」

 はーい。よろしくね。

 え? アロー一家7人でがれきを引っ張ってやるって? うう、優しい子。

 アローたちの活躍で、10分後には生き埋めになっていたけが人8名も無事収容した。
 何か感謝されたんですけど、ちょっと罪悪感あるね。生き埋めにしたのこっちだからね。

 下っ端は終身刑の鉱山労働くらいで済むのかしら。また生き埋めにならないと良いね。

 さて、こいつら引き連れて街まで帰りますか? さすがに馬車には乗り切れないよ?

「ボス、こいつら馬を隠してやした」
「えー? また増えるの? 良いんだけどね、可愛いから」

 アロー一家が手分けしてお話に行った結果、追加のお馬さん20人と馬車1台が我が家に加入することになった。うわあ、馬小屋を大幅に拡張しないと。もう新築だね。

『そんなことより、トーメー』
『うん? 何、アリスさん?』
『駄馬20頭が新規加入したニャ』
『うん。そうだけど』

『名前はどうするニャ?』

 あーっ! 20人分名付けるの? もう勘弁して-!

 結局、俺はその晩徹夜することになった。一番ブラックなのは、俺の労働環境じゃねえかっ!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

【完結】異世界転移した私がドラゴンの魔女と呼ばれるまでの話

yuzuku
ファンタジー
ベランダから落ちて死んだ私は知らない森にいた。 知らない生物、知らない植物、知らない言語。 何もかもを失った私が唯一見つけた希望の光、それはドラゴンだった。 臆病で自信もないどこにでもいるような平凡な私は、そのドラゴンとの出会いで次第に変わっていく。 いや、変わらなければならない。 ほんの少しの勇気を持った女性と青いドラゴンが冒険する異世界ファンタジー。 彼女は後にこう呼ばれることになる。 「ドラゴンの魔女」と。 ※この物語はフィクションです。 実在の人物・団体とは一切関係ありません。

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます

みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。 女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。 勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

異世界で勇者をすることとなったが、僕だけ何も与えられなかった

晴樹
ファンタジー
南結城は高校の入学初日に、クラスメイトと共に突然異世界に召喚される。 異世界では自分たちの事を勇者と呼んだ。 勇者としてクラスの仲間たちと共にチームを組んで生活することになるのだが、クラスの連中は元の世界ではあり得なかった、魔法や超能力を使用できる特殊な力を持っていた。 しかし、結城の体は何の変化もなく…一人なにも与えられていなかった。 結城は普通の人間のまま、元の界帰るために奮起し、生きていく。

処理中です...