58 / 67
第二章 ノアは絶対死なせない!
第四十六話
しおりを挟む2人は側に来て跪き、優しい表情で労ってくれる。お互いの手を払い除けたり、口喧嘩したりして少々‥‥‥ではあるが、お水を持って来てくれたり、何かすることはないかと側で待機してくれている姿をみると、心が温かくなってくる。と同時に、それでなくても忙しい2人の時間を割いていることに申し訳なさがのし掛かってくる。
「殿下、ありがとうございます。ノアもありがとう。私はもう大丈夫ですのでお戻り下さい。お忙しいのに申し訳ございません‥。」
殿下は私の手を握り、
「いいんだよ、マリアンヌ。」と優しく微笑む。
そこへノアが分入り、
「殿下、そろそろお戻り下さい。殿下がいると傘高い従者が3人もいて医務室が狭くなります。圧迫感がありますよ。」と殿下に笑いかける。
「いやいや、マリアンヌを置いてなどいけないよ。しかも君のような危険人物を置いてなんて言語道断だ。」
2人は見つめ合い笑い合っているが、
‥‥2人とも目が笑っていない。
2人に挟まれていると、また目眩が生じて来た。下を向き、頭を両手で抑える。
「「マリアンヌ!」」
「お嬢様!!」
そこでジェム先生が両手を叩き、「さあさあ、2人は戻りなさいっ!マリアンヌ様にはアリア様と私がついているから大丈夫ですよ!」と2人に帰るよう促した。
2人は先生に睨まれ、いつでも迎えに来るからと何度も振り返りながら帰って行った。
「‥‥何で私なんだろ‥‥?」
誰もが羨む美少年二人の後ろ姿を見つめながらポツリと呟いた。
痩せて、健康に気遣うようになってから、一般的な美少女の部類には入ったと思う。だけど、カーラー様やマクゴガナル様はクールビューティーで、セリア様は可愛らしい美少女風。他にも綺麗な令嬢は沢山いるのに、何で私に固執するんだろ‥‥?これじゃあ、魅了の魔術を噂されても仕方がないかも。でも先生の言う通り、味方になって下さる方もいるんだから大丈夫よね‥‥?
それに、明日はいよいよ入学記念パーティー。ノアが毒殺されるかもしれないんだから、こんなことで悩んでる場合ではない!
その後、夕方まで医務室で過ごし、アリアと共に寮まで帰った。寮の入り口にはノアからの手紙が挟まっており、明日迎えにいくから、今晩はゆっくり休んでと書いてあった。
明日はノアがエスコートしてくれるのよね。‥‥大丈夫かしら!?うまくいくかしら!?もう一回、復習しておこう!
その夜遅くまで解毒魔法の書を読み、緊張した私はなかなか寝付けなかった。
‥‥そして、殆ど眠れないまま、当日を迎えたのだった‥‥。
0
お気に入りに追加
236
あなたにおすすめの小説
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
美人すぎる姉ばかりの姉妹のモブ末っ子ですが、イケメン公爵令息は、私がお気に入りのようで。
天災
恋愛
美人な姉ばかりの姉妹の末っ子である私、イラノは、モブな性格である。
とある日、公爵令息の誕生日パーティーにて、私はとある事件に遭う!?
女官になるはずだった妃
夜空 筒
恋愛
女官になる。
そう聞いていたはずなのに。
あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。
しかし、皇帝のお迎えもなく
「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」
そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。
秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。
朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。
そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。
皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。
縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。
誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。
更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。
多分…
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる