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第二章 ノアは絶対死なせない!

第四十二話 セリア・ミドルス伯爵令嬢side2

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 ベッドで寛いでいると、侍女がお客様が来られたと知らせに来た。

 「こんな夜に誰かしら!?失礼よねっ!」

 憤りながらリビングへ出ると、そこにはローラ・マクゴガナル公爵令嬢がおられた。

 !?

 「‥‥どうなされたのですか!?」

 「明日は入学式。そして明後日は入学記念パーティーがあるわね?その前に貴女に知っておいてほしいことがあるのよ。それから手伝ってほしいこともあるの。」

 優雅に微笑まれるローラ様。鋭く光る瞳に見つめられ、ゾクリと背筋が凍った。

 ‥‥何か企んでいらっしゃるのかしら‥‥?

 向かいのソファーに腰掛け、ローラ様を見つめる。

 「‥‥今日、医務室へ行ってもらったから分かったでしょう?殿下とノア様があの女に誑かされているのよ。何とかして二人を助けたいんだけど‥‥。」

 溜息をつきながら、話し始められたローラ様。

 ‥‥誑かされる!?確かにそのようにも感じたけれど、最後は二人、私に付き添われていたわ。私に好意をもたれている筈よ。

 「それはどうでしょうか?お二人はマリアンヌ様ではなく、私に付き添って下さいましたよ?こんなこと言っては何ですが‥‥私に好意を持たれていると思われます。」

 あまり顔に出してはいけないと分かっていつつも、自然と優越感に顔がにやけてしまうっ!

 「‥‥‥‥。」

 氷のように冷たい目で私を睨むローラ様。そうよね、嫉妬してしまうわよね‥‥罪な私。

 「‥‥貴女、相当なお馬鹿さんね。あの二人は確かにあの女に夢中になっているわ。だって、キスしたり抱きしめたり、愛を囁いたりしていたのよ!?」

 ‥‥‥!?

 「そんな筈はないわっ!お二人とも私を慕っているのよ!?」

 「‥‥‥は!?貴女本当に馬鹿ね!?」

 目を釣り上げて私を睨むローラ様。

 馬鹿馬鹿何回も言って‥‥失礼ね!

 「本当のことを述べているだけですわ!」

 公爵令嬢に対して失礼だが、睨み返してやった。

 「貴女を好きなわけがないでしょう?」

 腕を組み、私に詰め寄るローラ様。背が高く、スレンダーな美女に上から睨まれる。

 大体、私はモテるのよ!?大概の男性は私を好きになるわ。ローラ様ったら、私の可愛らしさに嫉妬されているのかしら!?

 「‥‥もういいわ。貴女がそんなお馬鹿さんだったなんて‥‥。貴女と話すのは時間の無駄‥‥。」

 ローラ様は大きな溜息をつき、部屋を出て行かれた。

 ‥‥公爵令嬢で凛としていらっしゃるから素敵な方だと思っていたけれど、あんな失礼でおかしな人だったなんて!!

 「人は見かけによらないものね‥‥。」

 明日は入学式。ノア様が代表挨拶をされるのよね。楽しみだわ!それに早くデートの約束もしなくっちゃ!
 

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