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38話 真実は…… その3

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(アラン王子殿下視点)

「こんな……! アラン王子殿下! これがあなたのやり口ですか……!」

「国民の集会を武力制圧するなんて……! 信じられねぇぜ……!」

「私達はあんた達なんかに、絶対付かねぇからな!」


 まったく……五月蠅いハエどもだ……。集会や暴動を順次潰していけば、このまま国民の動きを抑制し、鎮圧できるだろう。

「くそっ、どうしてこんなことになってしまったんだ……!」

「アラン王子殿下……心中お察しいたしますわ……」

「マリーナ……」


 私は民衆達の暴言を無視し、専用の馬車へと搭乗した。中に居たのは、婚約者であるマリーナ・カーストだ。


「マリーナ……私のしていることは、間違っているだろうか?」

「わかりませんわ、しかし、国王陛下の意思であれば、それに従う以外にないですわね」

「そうだな……」


 私が父上の真意を探りに行ったあの日、父上は父上でないかのようだった。

 普段は民衆達に対して優しくしている印象の父上ではあるが、私が起こしている弾圧について、何も言わなかったのだ。そう……一番初めは父上から言われた弾圧の命令ではあったが、現在では違ってきている。

 その民衆達の弾圧の中心は、私になっていたのだ。


「あれから、モーガン国王陛下は何もおっしゃっていません。だから、アラン王子殿下は悩んでいる……そうでしょう?」

「ああ、その通りだ。一体、どういうつもりだ? 父上は……くそう」


 民衆からの批判の矢面に立たされる立場を分かって貰いたいものだ……! 逆に父上は安全な場所から高みの見物と来ている……! なんなのだ、この差は……!


「……もしかしますと、モーガン国王陛下は何かを狙っているのかもしれませんわね」

「何か、だと?」

「ええ……」


 最初は私も考えていたが……一向に父上は話し出す様子を見せなかった。以前に訪れた時も同じく、何も真意を聞き出すことが出来なかったのだ。

 もしかすると、父上は統治をする気力を失っているのか? このまま民衆によって処刑され、国が崩壊することでも望んでいるのかもしれない。いや待て、あの父上に限ってそんなことは……。

「父上はこれ以上、統治をする気がないのかもしれん」

「ま、まさかそんなことは……」

「いや……私の失態を強く言及することもなかったのだ。完全に統治に見切りを付けたとしてもおかしくはない……」

「アラン王子殿下、あまり早急な判断はしないようにお願いしますね?」

「分かっている……」


 父上の真意……ダメだ、民衆たちに暴言を浴びせられ、はらわたが煮えくり返っている今では、まともに考えることが出来ない。私は深呼吸をしながら、落ち着くことにした。

 まあいい、まだ焦る必要はない……ゆっくりと時間を掛けて考えていけば良いのだ。
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