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26話 貴賓室にて その1
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貴賓室……その名の通り、貴族たちを迎え入れる為の部屋。広義の意味では応接室と変わらないけれど、イシューマ王国では非常に豪華な造りが売りになっていた。他国との交渉をする際、この貴賓室に飾られているトロフィーや宝石類、家具などを見せつけ威嚇する役割を担っているんだと思う。
ただし、今回の交渉はそんなのとは無関係だったけど……。
「お久しぶりですな、モーガン・ジドル陛下。お待ちしておりましたぞ」
「これはスミス国王陛下、ご丁寧にありがとうございます」
「本日は正式な会談とは少し内容が異なります為、簡素な挨拶で済ませておきましょうか」
「よろしいのですか? それではお言葉に甘えまして……」
スミス国王陛下とモーガン国王陛下は、それぞれ用意されていた豪華な椅子に腰を掛ける。それを見計らって、ユエナ様もスミス様の隣に設けられていた椅子に着席した。
私やラグナ王太子殿下、アラン王子殿下の椅子は用意されていない。私はともかくとして、二人の王子様の椅子も用意しないとか……まあ、今回は国王陛下同士の会談だし仕方ないのかもしれない。内容も相当に特殊だから。
先ほど、私とラグナ王太子殿下、マリアベルはモーガン国王陛下とアラン王子殿下を玄関先でもてなし、ここまで連れてきた。マリーナ様やヘンリックさんも居たけれど、自分たちの立場の弱さを実感したと思う。貴賓室に入るまで、イシューマ王国のトップの二人とは会えなかったのだから。
「さて……今回の件ですが、ラグナよ」
スミス国王陛下がラグナ王太子殿下に目配せをした。待ってましたとばかりに、ラグナ王太子殿下は話し始める。
「はい……今回の件はそちらに居る、アラン王子殿下が身勝手な理由でウィンリー・トレートを追放したところから始まります」
一つ一つ丁寧に、順を追ってラグナ王太子殿下は話している。ここに居る誰もが知っている事態ではあるけれど、敢えて言ってるんだと思う。相手側に精神的なダメージを与える為に。
「……ということで、以前の交渉ではアラン王子殿下は月に40万ゴールドでウィンリーを雇うと言いました。ですが、私はその2倍払い、さらには私との婚約話が進んでいることも伝えております。ここまでは相違ありませんね?」
ここまでは単なる確認作業でしかなかった。お互いが交渉に入る為の準備段階……しかし、いきなり予期せぬことが起こった。
「ラグナ王太子殿下との婚約だと……? 私はそんなこと聞いていないぞ……?」
「ち、父上……!」
あれ……なんだか、おかしな空気になっている。イシューマ王国側ではなく、ジドル王国側だけれど。もしかして、アラン王子殿下は全てを伝えていないんじゃ。
「どういうことだ? アラン!」
二度目の交渉は早くも想定外の方向に行きそうだった……。
ただし、今回の交渉はそんなのとは無関係だったけど……。
「お久しぶりですな、モーガン・ジドル陛下。お待ちしておりましたぞ」
「これはスミス国王陛下、ご丁寧にありがとうございます」
「本日は正式な会談とは少し内容が異なります為、簡素な挨拶で済ませておきましょうか」
「よろしいのですか? それではお言葉に甘えまして……」
スミス国王陛下とモーガン国王陛下は、それぞれ用意されていた豪華な椅子に腰を掛ける。それを見計らって、ユエナ様もスミス様の隣に設けられていた椅子に着席した。
私やラグナ王太子殿下、アラン王子殿下の椅子は用意されていない。私はともかくとして、二人の王子様の椅子も用意しないとか……まあ、今回は国王陛下同士の会談だし仕方ないのかもしれない。内容も相当に特殊だから。
先ほど、私とラグナ王太子殿下、マリアベルはモーガン国王陛下とアラン王子殿下を玄関先でもてなし、ここまで連れてきた。マリーナ様やヘンリックさんも居たけれど、自分たちの立場の弱さを実感したと思う。貴賓室に入るまで、イシューマ王国のトップの二人とは会えなかったのだから。
「さて……今回の件ですが、ラグナよ」
スミス国王陛下がラグナ王太子殿下に目配せをした。待ってましたとばかりに、ラグナ王太子殿下は話し始める。
「はい……今回の件はそちらに居る、アラン王子殿下が身勝手な理由でウィンリー・トレートを追放したところから始まります」
一つ一つ丁寧に、順を追ってラグナ王太子殿下は話している。ここに居る誰もが知っている事態ではあるけれど、敢えて言ってるんだと思う。相手側に精神的なダメージを与える為に。
「……ということで、以前の交渉ではアラン王子殿下は月に40万ゴールドでウィンリーを雇うと言いました。ですが、私はその2倍払い、さらには私との婚約話が進んでいることも伝えております。ここまでは相違ありませんね?」
ここまでは単なる確認作業でしかなかった。お互いが交渉に入る為の準備段階……しかし、いきなり予期せぬことが起こった。
「ラグナ王太子殿下との婚約だと……? 私はそんなこと聞いていないぞ……?」
「ち、父上……!」
あれ……なんだか、おかしな空気になっている。イシューマ王国側ではなく、ジドル王国側だけれど。もしかして、アラン王子殿下は全てを伝えていないんじゃ。
「どういうことだ? アラン!」
二度目の交渉は早くも想定外の方向に行きそうだった……。
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