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6話 錬金術レベル その3
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私はレブラント宮殿内の錬金施設へと入ることになった。
「おや、これはラグナ様。本日は如何なさいましたか?」
「ああ、フォトスか。まだ話は通っていないと思うが、本日から新しい錬金術師が加わることになる」
施設の中へ入ると、一人の初老の男性が私達を出迎えてくれた。雰囲気から察すると、この施設の管理責任者かしら? 錬金施設そのものは、私が働いていた場所よりもかなり広い。フォトスと呼ばれた人以外にも、何人かの錬金術師が作業をしているようだった。
それにしても……ラグナ王太子殿下はもしかすると、イシューマ王国の錬金術の総責任者という立場なのかもしれないわね。
「なんと……! 新たな錬金術師でございますか?」
「そうだ、彼女がその錬金術師のウィンリー・トレートだ」
「ほう、ウィンリー殿ですか、なるほど……」
フォトスさんに私への紹介が行われた。私はそれを見計らって、彼に挨拶をする。
「ウィンリー・トレートと申します。ジドル王国では、錬金術師をしておりました。」
「これは、ご丁寧にどうもありがとうございます。イシューマ王国錬金部門の管理者、フォトス・アルサックと申します。以後、お見知りおきを」
「は、はい。ありがとうございます……フォトス、さん?」
私は何てお呼びすればいいのか分からず、とりあえずは無難に「さん」付けをすることにした。フォトスさんは特に不自然に感じている様子がないため、このままで大丈夫なんだと思う。
「採用試験というわけではないが、ウィンリーにはこれから錬金術を行って貰おうと思っている。フォトス、急なことで済まないが、準備をしてくれないか?」
「畏まりました、それでは準備に入ります」
採用試験ではないらしいけど、やっぱりここまで来ると緊張してくる。周りに居た数名の錬金術師の人たちも、私のことに気付いたのか、視線をこちらに向けて来ているみたいだし……。
-----------------------
それからすぐに私は、錬金窯の前に立つことになった。この窯でアイテム精製をしていくことになる。
「あの、ラグナ様。これから何を作ればいいんでしょうか?」
「そうだな……材料から好きな物を作ってくれても構わないが、今回はこちらで指定したアイテムを調合して貰えるかい?」
「わかりました……」
「では、フォトス。何かアイテムを数種類言ってもらえるか?」
フォトスさんは、ラグナ王太子殿下にそう言われ、少しの間思案しているようだった。
「ふむ、そうですね。では、ポーションやエーテル、ハイポーションにハイエーテルというのは如何でしょうか? どのアイテムも需要は非常に高い物になりますので」
ポーションやエーテル……それから、ハイポーションにハイエーテルか。大丈夫だ、そのクラスだったらジドル王国でも作っていたし。
「わかりました、やってみます」
私はすぐに作業に取り掛かることにした。フォトスさんが既に驚いた表情になっていることを知ったのは、もう少し後の話だったけれど……。
「おや、これはラグナ様。本日は如何なさいましたか?」
「ああ、フォトスか。まだ話は通っていないと思うが、本日から新しい錬金術師が加わることになる」
施設の中へ入ると、一人の初老の男性が私達を出迎えてくれた。雰囲気から察すると、この施設の管理責任者かしら? 錬金施設そのものは、私が働いていた場所よりもかなり広い。フォトスと呼ばれた人以外にも、何人かの錬金術師が作業をしているようだった。
それにしても……ラグナ王太子殿下はもしかすると、イシューマ王国の錬金術の総責任者という立場なのかもしれないわね。
「なんと……! 新たな錬金術師でございますか?」
「そうだ、彼女がその錬金術師のウィンリー・トレートだ」
「ほう、ウィンリー殿ですか、なるほど……」
フォトスさんに私への紹介が行われた。私はそれを見計らって、彼に挨拶をする。
「ウィンリー・トレートと申します。ジドル王国では、錬金術師をしておりました。」
「これは、ご丁寧にどうもありがとうございます。イシューマ王国錬金部門の管理者、フォトス・アルサックと申します。以後、お見知りおきを」
「は、はい。ありがとうございます……フォトス、さん?」
私は何てお呼びすればいいのか分からず、とりあえずは無難に「さん」付けをすることにした。フォトスさんは特に不自然に感じている様子がないため、このままで大丈夫なんだと思う。
「採用試験というわけではないが、ウィンリーにはこれから錬金術を行って貰おうと思っている。フォトス、急なことで済まないが、準備をしてくれないか?」
「畏まりました、それでは準備に入ります」
採用試験ではないらしいけど、やっぱりここまで来ると緊張してくる。周りに居た数名の錬金術師の人たちも、私のことに気付いたのか、視線をこちらに向けて来ているみたいだし……。
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それからすぐに私は、錬金窯の前に立つことになった。この窯でアイテム精製をしていくことになる。
「あの、ラグナ様。これから何を作ればいいんでしょうか?」
「そうだな……材料から好きな物を作ってくれても構わないが、今回はこちらで指定したアイテムを調合して貰えるかい?」
「わかりました……」
「では、フォトス。何かアイテムを数種類言ってもらえるか?」
フォトスさんは、ラグナ王太子殿下にそう言われ、少しの間思案しているようだった。
「ふむ、そうですね。では、ポーションやエーテル、ハイポーションにハイエーテルというのは如何でしょうか? どのアイテムも需要は非常に高い物になりますので」
ポーションやエーテル……それから、ハイポーションにハイエーテルか。大丈夫だ、そのクラスだったらジドル王国でも作っていたし。
「わかりました、やってみます」
私はすぐに作業に取り掛かることにした。フォトスさんが既に驚いた表情になっていることを知ったのは、もう少し後の話だったけれど……。
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