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ギルドへの報告とジーンの憂鬱
01
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◇◇ユージーン◇◇
「太陽が眩しいな。」
「ああ、だが良いものだな。」
「だな。」
無事に三人揃ってダンジョンを出たので、ダンジョンに対応した重装備を脱いで移動に適した軽装備に交換する。
長期間日光にあたっていなかった二人の肌も、閉じ込められる前より白く透きとおっていて大変眩しい。
あの部屋を後にしてダンジョンの出口に向かう途中、何度かモンスターと遭遇したが、予め決めておいたとおり戦闘はジルとランに任せた。
火力の高いジルが攻撃、本職の盾役ではないが身体が大きくて安定感のあるランが大盾を持って防御を担ってくれた。
ちなみに俺は今回マッパーに専念した。
ブランクが40日もあって、どれだけ手持ちのマップとの差異が出ているか分からなかったからだ。
幸い帰り道に大きな変化は無かった。
迷宮型のダンジョンだったので一部のトラップが刷新されていたくらいだった。
それもマップにチェックを入れてギルドに報告する。
「なあジーン、先ほどまでの我らの動きはどうであった?」
「それは私も気になる。これからもジーンと探索者を続けるなら特級を目指そうかな?」
「ん?良かったぞ。もともと戦闘だけなら上級の以上の能力はあるしな。今回は俺がやったが、マッピングとかフィールド型のダンジョン探索の経験を積めばいいんじゃねえか?」
「そうしたらずっとジーンと共にいられるかな…。」
「そうだな…。ならばわたしも特級を目指そう。」
俺との未来を想像しながら歩く二人の足取りは軽い。
今は恋人だが、そのうち伴侶になりたいと言い出すのは間違いないだろう。
それ自体に問題はない。
俺だって、病むほど惚れ込んでくれた二人を手放す気なんかサラサラない。
病ませた責任を取るのもあるが、一途に俺を想うジルとランにすっかり絆された。
二人が愛おしくなっちまったんだからな。
だが俺の一族は血を絶やすことが許されない。
しかもこのまま行くと親父の次のトップは俺だ。
そしてジルとランは男の『ヴァイオレット』。
二人の実家が俺に嫁入り?婿入り?してくるのをすんなり許すか怪しいモンだ。
「なあ、お前ら。宿を取って落ち着いたら話がある。時間を作ってくれるか?」
ガラにもなく声に緊張が滲んでしまい、ジルとランの顔が強張る。
「ええと…それは良くない話かい?」
「ダンジョンも出たことだし、我らは飽きられてしまっただろうか…。」
「ったく…何でそんなこと考えるんだよ。逆だ、ジル。」
「逆?」
「そうだ。お前らは本気で俺との未来を考えてくれてるだろ?だから今話せる範囲のことだけだが、知っておいてもらおうと思ってな。お前ら俺の『ジーン』って探索者名しか知らねえだろ?」
それだけしか知らなくても、こんなに惚れ抜いてもらえるなんて、男として…いや、人として幸せなことだ。
「我らは嬉しいが、良いのか?事情があるのだろう?」
「ああ、お前らは俺のモンだ。むしろ知ってもらわなけりゃ困る。それで納得してくれたらこの先もずっと一緒だ。」
「「ジーン…。」」
「ありがとう、うれしいよ。確かにジーンの事情は知らないけれど、ジーン自身のことなら十分知っているよ。」
「そうだな、ランディ。素顔さえ見たことがなくとも、我らはジーンの人となりを良く知っている。その上でジーンを愛しているのだから……。」
「お前ら……ありがとうよ。いろいろと片がついたら髭も剃れるようになる。素顔はそれまで待っていてくれ。」
「分かったよ、ジーン。」
「いつまでも待っている。」
「さあギルドに急ぐぞ。」
ここまで言ってくれたジルとランには言いにくい話もあるが、それでも二人を離したくない。
「少し待ってくれる?パーティを組んだ初期にジーンが教えてくれた『ギルドに報告するまでが探索だ』っていうのを忘れたわけじゃないんだけど、その…キスしたくなっちゃった。触れるだけの軽いので良いんだ。ダメかな?」
「ん、いいぞ……ちゅ。ジルも来い。…ちゅ。さあその溶けた顔を戻してギルドへ行こう。」
「ん、わかったぁ……。」
「しょうち、したぁ……。」
この程度のキスでこれかよ。
ギルドに到着してからのことを考えるとアタマが痛いぜ。
「太陽が眩しいな。」
「ああ、だが良いものだな。」
「だな。」
無事に三人揃ってダンジョンを出たので、ダンジョンに対応した重装備を脱いで移動に適した軽装備に交換する。
長期間日光にあたっていなかった二人の肌も、閉じ込められる前より白く透きとおっていて大変眩しい。
あの部屋を後にしてダンジョンの出口に向かう途中、何度かモンスターと遭遇したが、予め決めておいたとおり戦闘はジルとランに任せた。
火力の高いジルが攻撃、本職の盾役ではないが身体が大きくて安定感のあるランが大盾を持って防御を担ってくれた。
ちなみに俺は今回マッパーに専念した。
ブランクが40日もあって、どれだけ手持ちのマップとの差異が出ているか分からなかったからだ。
幸い帰り道に大きな変化は無かった。
迷宮型のダンジョンだったので一部のトラップが刷新されていたくらいだった。
それもマップにチェックを入れてギルドに報告する。
「なあジーン、先ほどまでの我らの動きはどうであった?」
「それは私も気になる。これからもジーンと探索者を続けるなら特級を目指そうかな?」
「ん?良かったぞ。もともと戦闘だけなら上級の以上の能力はあるしな。今回は俺がやったが、マッピングとかフィールド型のダンジョン探索の経験を積めばいいんじゃねえか?」
「そうしたらずっとジーンと共にいられるかな…。」
「そうだな…。ならばわたしも特級を目指そう。」
俺との未来を想像しながら歩く二人の足取りは軽い。
今は恋人だが、そのうち伴侶になりたいと言い出すのは間違いないだろう。
それ自体に問題はない。
俺だって、病むほど惚れ込んでくれた二人を手放す気なんかサラサラない。
病ませた責任を取るのもあるが、一途に俺を想うジルとランにすっかり絆された。
二人が愛おしくなっちまったんだからな。
だが俺の一族は血を絶やすことが許されない。
しかもこのまま行くと親父の次のトップは俺だ。
そしてジルとランは男の『ヴァイオレット』。
二人の実家が俺に嫁入り?婿入り?してくるのをすんなり許すか怪しいモンだ。
「なあ、お前ら。宿を取って落ち着いたら話がある。時間を作ってくれるか?」
ガラにもなく声に緊張が滲んでしまい、ジルとランの顔が強張る。
「ええと…それは良くない話かい?」
「ダンジョンも出たことだし、我らは飽きられてしまっただろうか…。」
「ったく…何でそんなこと考えるんだよ。逆だ、ジル。」
「逆?」
「そうだ。お前らは本気で俺との未来を考えてくれてるだろ?だから今話せる範囲のことだけだが、知っておいてもらおうと思ってな。お前ら俺の『ジーン』って探索者名しか知らねえだろ?」
それだけしか知らなくても、こんなに惚れ抜いてもらえるなんて、男として…いや、人として幸せなことだ。
「我らは嬉しいが、良いのか?事情があるのだろう?」
「ああ、お前らは俺のモンだ。むしろ知ってもらわなけりゃ困る。それで納得してくれたらこの先もずっと一緒だ。」
「「ジーン…。」」
「ありがとう、うれしいよ。確かにジーンの事情は知らないけれど、ジーン自身のことなら十分知っているよ。」
「そうだな、ランディ。素顔さえ見たことがなくとも、我らはジーンの人となりを良く知っている。その上でジーンを愛しているのだから……。」
「お前ら……ありがとうよ。いろいろと片がついたら髭も剃れるようになる。素顔はそれまで待っていてくれ。」
「分かったよ、ジーン。」
「いつまでも待っている。」
「さあギルドに急ぐぞ。」
ここまで言ってくれたジルとランには言いにくい話もあるが、それでも二人を離したくない。
「少し待ってくれる?パーティを組んだ初期にジーンが教えてくれた『ギルドに報告するまでが探索だ』っていうのを忘れたわけじゃないんだけど、その…キスしたくなっちゃった。触れるだけの軽いので良いんだ。ダメかな?」
「ん、いいぞ……ちゅ。ジルも来い。…ちゅ。さあその溶けた顔を戻してギルドへ行こう。」
「ん、わかったぁ……。」
「しょうち、したぁ……。」
この程度のキスでこれかよ。
ギルドに到着してからのことを考えるとアタマが痛いぜ。
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