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6章 足りないのは我慢なのか適性なのか

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「あー、お前さん、今晩だ?」

夕食の最中にそんな誘いを受けても食器を落とさなかった俺を褒めてくれ。

「いや、無理にとは言わねえよ?オレだって明日も仕事だから朝まではできねえし。ってことで2発だけ……で、どうだ?」

「俺の答えなんか決まってる。嬉しいよ、メルヴィン。大好きだ。」

何でも、俺が遭遇した化物関連の調査をしていたハンターたちが帰って来て、異常ナシという結論が出たそうだ。
本来なら現地のハンターギルドが担当するのだが、ギルドの規模が小さく、化物に対応できないということでメルヴィンが預かっていたものが片付いた。
この件でメルヴィンが緊急招集されることがなくなったから誘ってくれたらしい。

2発、と指定されたからにはその間に抱き潰すことも考えた。
だがそれを思い直して試したいモノを空間収納に用意しようと思う。

しかしお客さんのいるレストランでメルヴィンから誘われるとは思わなかった。
「それでも一回じゃおさまらねえのか…」っていう呟きも聞こえてきたし。
それに気付いて「やっちまった」って表情になっていたメルヴィンが可愛い。

今日の俺は近場でできる採取依頼を受けて、ジェイデンは忙しいだろうか、メルヴィンはもう帰ってるかな、と思いながら『エンジェルスマイル』に戻ってきた。

しかしメルヴィンは居らず、そのときはジェイデンも忙しそうにしていた。
グループのお客さんがほぼ同時に複数来店して、数が多い最初の注文が重なってしまったらしい。
ハンクさんも大変そうだった。

一人の食事は少し寂しいな…と思いながらカウンター席で夕食をいただいていると、メルヴィンが帰って来て一緒にご飯を食べてくれるという。

それだけでも気分が上がるのに、そわそわもじもじしながら誘われて、何かを振り切ってしまいそうになった。
今日もメルヴィンの可愛さが凶悪だ。

それだけでもクるものがあるのに、寝室に入るなり閨の薬を準備して、さっさと服を脱ぎ捨てた。
目の前の格好良過ぎる身体にうっとりしていると、あっという間にパンツ一枚になってしまった。

「薬はお前さんが入れたいんだろ?」

そう言って俺に背を向け、壁に手をついて雄尻を突き出したメルヴィンの下着は、後ろの布が無いものだった。

俺が自分で贈った下着だが、何という破壊力か…!
ジェイデンが身に着けてくれたときも思ったけど、すごくイイ。

危うく意識を遠くに飛ばしかけ、気が付くと薬が入っていたシリンジは空になっていて、メルヴィンの逞しい背中に抱きつきながらふわふわ雄っぱいを揉みしだいていた。

「くくっ。お前さん、大興奮だな。」

メルヴィンは身体を弄る俺の手を取って向き直ると、その広い胸と太い腕で包み込んでくれた。
そのままベッドに腰掛けて、俺は膝の上に抱き上げられた。

「だってメルヴィンが自分からあの下着を履いてくれるなんて思ってなかったし。今日は積極的だけどどうしたんだ?」

「どうしたもこうしたもねえよ。しばらくご無沙汰だったじゃねえか。パンツはジェイデンに触発されたってのもあるが、オレだってお前さんとシたい。
それに単独で化物を狩るくらい強い男の種が欲しいと思うのは子を望む者の本能だろ?それが将来を約束した相手だなんてオレは果報者だ。」

「俺もだ、メルヴィン。あんたに出会えてすごく幸せ。愛してる…ちゅ。」

気持ちをキスと言葉にして、メルヴィンの引き締まった下腹を撫でると焦げ茶の毛が擦れて少しちくちくする。
この奥に子宮があるなんて本当に不思議だ。

「どうした、そんなとこ撫でまわして。」

「ここに俺との子を宿して育んでくれる場所があるんだなぁと思って。
ああ、そういえば避妊魔法をかけたときは大丈夫だったのか?」

「まあな。避妊魔法をかけに行ったときは駆け出しハンターだったし、ジェイデンは新人騎士だったからな。ぼったくられなかったぜ。
お前さんは昨日のことで心配してくれてるんだろうが、精々寄付金を吹っかけてくるくらいだろう。なに、大金貨(1000万円)出しときゃ煩く言って来ることもねえさ。」

王都のギルマスともなればいろんなところから寄付してくれって言われるんだろうな。
メルヴィンはハーレムを持っていないから余計に。

俺も教会への寄付金を半分くらい負担できるように貯金しよう。
定期預金や積立用の口座とかってあるのかな?
いや、専用の袋に分けて空間収納で十分か。
それにしても空間収納が優秀過ぎる。

「なあ、それより…ちゅ、お前さんも脱げ。オレにそのキレイな身体を見せてくれよ。」

キスしてねだられたら言うとおりにするしかない。
だが、メルヴィンの膝の上でいそいそと服を脱いだところで少し迷った。

「……………下も?」

「下も、だ。」

むちむちしたメルヴィンの腿から立ち上がってベルトに手をかける。
一応、「下着は?」と聞いてみると頷かれたので、身に着けていた物は全て取り去った。

俺のは185センチある身長に見合った大きさだとは思うが、素の状態を見られるのは少し恥ずかしい。
裸でメルヴィンに向き直ると、顔が火照りそうになる。

そんな俺を見つめながら嬉しいことを言ってくれた。

「っ!……そのカオは反則だ。脱いだだけでオレを煽れるのはお前さんだけだぞ。」

どんな顔かは分からないが、メルヴィンのお眼鏡に叶ったなら何でも良い。

「ありがと。それと俺の身体、気に入ってくれた?」

「おう、オレはお前さん以上にキレイなやつを知らねえ。持って生まれたモンだけじゃねえ、努力の跡が分かる身体だ。気に入らないワケがねえ。」






✽✽✽✽✽

本日は1話です。
明日か明後日にもう1話更新する予定です。
よろしくお願いします。
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