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5章 風呂とかき氷と甘々の目撃者たち
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ラースのことは俺が最初から遠慮なくイジってしまった自覚がある。
だって俺を意識してるのがバレバレなのに、必死で俺のために我慢したり翻弄されるのが可愛らしくて微笑ましかったんだ。
そのせいか、たった数日でラースはすっかり拗らせてしまったらしい。
ラースが好きかと問われれば、好きだ。
でもメルヴィンやジェイデンとは違う好き。
恋人じゃないせいか、独占欲や肉欲は無い。
ただラースから好きだと言われたら何かが変わる予感はある。
あとはラース自身が折り合いをつけたり、俺に向って踏み出すのを待つしかできない。
そうなったら結果がどうであれ受け入れよう。
なんて、もっともらしいことを言っているが元の世界なら刺されるな。
それでも俺のところに来てくれる人には真摯に愛を捧げよう。
ラースと別れたその足でハンターギルドへ向かう。
目的は訓練場だ。
物損の心配なく身体強化の鍛錬ができるのは、《リペア》が発動できるここだけらしいので今日もお世話になる。
ギルドの扉を開けると騒がしかった空間が静まり返った。
当然視線は俺に釘付けだ。
予想はしていたから気にせず受付へと進むとルーシャが応対してくれる。
「いいいいいらっしゃいませ、シオンさん!今日のご用は何でしょう!」
盛大に噛んでるが、ルーシャには何もしていない筈だ。
「身体強化の鍛錬に来たんだ。訓練場に《リペア》を発動してもらえるか?」
そう頼むとえらく驚かれた。
しかもルーシャや他の受付嬢の視線は俺の顔と尻を行ったり来たり。
そんな中でルーシャが意を決した様子で口を開いた。
「あのぅ…差し出がましいようですが、今日は鍛錬をお休みした方が良くないですか?」
何故そんなことを?と考えていたら追加情報が上げられた。
「今日のギルマス、いつもと違うんです。ちょっとですけど、ぼ~っとしたり歩くのが遅かったり腰を擦ったり…。これって昨夜シオンさんとお楽しみだったってことですよね?なので、シオンさんの身体が心配で…。」
受付嬢たちが「良く言った!」という感じで、ルーシャに向って何かしらのリアクションをしている。
メルヴィン……そんなに分かりやすくて大丈夫なのか?
「そうか…でも俺は大丈夫、不調は無いよ。メルヴィンの方はなぁ…。いろいろ良過ぎて俺が満足するまで求めて搾り取ってしまったんだ。だからそっとしておいてやってくれ。」
「はっ、はいぃ~。」
ルーシャはそう答えるので精一杯。
受付嬢たちは悶絶。
盗み聞きしていたハンターたちからはどよめきが上がった。
まあ、嘘は言ってないし、何よりメルヴィンの名誉?は守られた筈だから良し!となったところでギルマス執務室のドアが開いた。
「何だよこの異様な雰囲気は…ってまたお前さんか、シオン。」
このタイミングで渦中の人物が登場してしまったが、どうしたものか…。
開き直って「俺のモノ」アピールでもするべきだろうか。
メルヴィンはメルヴィンで、ルーシャに「状況を説明しろ」とか言ってるけど、無理だろうなぁ。
現にルーシャは涙目だし。
そんな中で「ギルマスとシオンさんが仲良しだって教えてもらってました!」と答えたルーシャは頑張った。
ついでに俺もアピールを頑張ろう。
受付までやって来たメルヴィンの左肩に右手を置いてぴったり寄り添ってシナを作り、外野には色を含んだ流し目を送る。
左手は自分の太腿から尻を通り腰を撫で上げて、メルヴィンと愛し合いました!と強烈に主張してギャラリーを沈めてやった。
そのままメルヴィンの左手に指を絡める。
メルヴィンの左手にはアームレットに付与した幻影魔法でスレイブブレスレットが浮かび上がっている。
アームレットは使ってもらえると思っていたけど、それに付与したブレスレットまでしてもらえるとは…。
ヤバいな…テンションが上がってきた。
「そんなことよりもコレ、使ってくれてるんだな。」
指を絡めたままの左手を持ち上げてキスをする。
「似合ってる自信はねえが、お前さんがくれたモンだからな。」
「ん、似合ってるよ。」
「……………ぉぅ。それで今日はどうした?」
また照れた。
ホントにメルヴィンは可愛い。
でもそれ以上の可愛い表情は、ここではダメだからな!
「身体強化の鍛錬にな。」
「あー、お前さんまた派手に壊すだろうから《リペア》の動力になってる魔石に魔力を注いでからにしてくれ。」
「わかった。細かいことはルーシャに聞くよ。」
「そうしてくれ」と言ってメルヴィンは執務室に戻って行った。
その背中に向って「あのギルマスがアクセサリーを着ける日が来るなんて」というセリフが飛んで、ちょっと気分が良くなった。
ルーシャに案内された場所で魔石に魔力を注いでいく。
本来なら魔力に余裕があるハンターが、飲み代や小遣い稼ぎでやるらしい。
ただ俺は壁に穴を開けた前科があるから、あらかじめ壊す分の魔力を補充するそうだ。
ちなみに帰る時にもルーシャに捕まって魔石に魔力を補充した。
集中して気が付かないうちにいろいろ壊してしまったらしいので素直に従ったが、俺が訓練場を使う時の決まりができた。
「シオンは訓練場の使用前と使用後に魔力の補充をすること」
メルヴィンの決定だ。
だって俺を意識してるのがバレバレなのに、必死で俺のために我慢したり翻弄されるのが可愛らしくて微笑ましかったんだ。
そのせいか、たった数日でラースはすっかり拗らせてしまったらしい。
ラースが好きかと問われれば、好きだ。
でもメルヴィンやジェイデンとは違う好き。
恋人じゃないせいか、独占欲や肉欲は無い。
ただラースから好きだと言われたら何かが変わる予感はある。
あとはラース自身が折り合いをつけたり、俺に向って踏み出すのを待つしかできない。
そうなったら結果がどうであれ受け入れよう。
なんて、もっともらしいことを言っているが元の世界なら刺されるな。
それでも俺のところに来てくれる人には真摯に愛を捧げよう。
ラースと別れたその足でハンターギルドへ向かう。
目的は訓練場だ。
物損の心配なく身体強化の鍛錬ができるのは、《リペア》が発動できるここだけらしいので今日もお世話になる。
ギルドの扉を開けると騒がしかった空間が静まり返った。
当然視線は俺に釘付けだ。
予想はしていたから気にせず受付へと進むとルーシャが応対してくれる。
「いいいいいらっしゃいませ、シオンさん!今日のご用は何でしょう!」
盛大に噛んでるが、ルーシャには何もしていない筈だ。
「身体強化の鍛錬に来たんだ。訓練場に《リペア》を発動してもらえるか?」
そう頼むとえらく驚かれた。
しかもルーシャや他の受付嬢の視線は俺の顔と尻を行ったり来たり。
そんな中でルーシャが意を決した様子で口を開いた。
「あのぅ…差し出がましいようですが、今日は鍛錬をお休みした方が良くないですか?」
何故そんなことを?と考えていたら追加情報が上げられた。
「今日のギルマス、いつもと違うんです。ちょっとですけど、ぼ~っとしたり歩くのが遅かったり腰を擦ったり…。これって昨夜シオンさんとお楽しみだったってことですよね?なので、シオンさんの身体が心配で…。」
受付嬢たちが「良く言った!」という感じで、ルーシャに向って何かしらのリアクションをしている。
メルヴィン……そんなに分かりやすくて大丈夫なのか?
「そうか…でも俺は大丈夫、不調は無いよ。メルヴィンの方はなぁ…。いろいろ良過ぎて俺が満足するまで求めて搾り取ってしまったんだ。だからそっとしておいてやってくれ。」
「はっ、はいぃ~。」
ルーシャはそう答えるので精一杯。
受付嬢たちは悶絶。
盗み聞きしていたハンターたちからはどよめきが上がった。
まあ、嘘は言ってないし、何よりメルヴィンの名誉?は守られた筈だから良し!となったところでギルマス執務室のドアが開いた。
「何だよこの異様な雰囲気は…ってまたお前さんか、シオン。」
このタイミングで渦中の人物が登場してしまったが、どうしたものか…。
開き直って「俺のモノ」アピールでもするべきだろうか。
メルヴィンはメルヴィンで、ルーシャに「状況を説明しろ」とか言ってるけど、無理だろうなぁ。
現にルーシャは涙目だし。
そんな中で「ギルマスとシオンさんが仲良しだって教えてもらってました!」と答えたルーシャは頑張った。
ついでに俺もアピールを頑張ろう。
受付までやって来たメルヴィンの左肩に右手を置いてぴったり寄り添ってシナを作り、外野には色を含んだ流し目を送る。
左手は自分の太腿から尻を通り腰を撫で上げて、メルヴィンと愛し合いました!と強烈に主張してギャラリーを沈めてやった。
そのままメルヴィンの左手に指を絡める。
メルヴィンの左手にはアームレットに付与した幻影魔法でスレイブブレスレットが浮かび上がっている。
アームレットは使ってもらえると思っていたけど、それに付与したブレスレットまでしてもらえるとは…。
ヤバいな…テンションが上がってきた。
「そんなことよりもコレ、使ってくれてるんだな。」
指を絡めたままの左手を持ち上げてキスをする。
「似合ってる自信はねえが、お前さんがくれたモンだからな。」
「ん、似合ってるよ。」
「……………ぉぅ。それで今日はどうした?」
また照れた。
ホントにメルヴィンは可愛い。
でもそれ以上の可愛い表情は、ここではダメだからな!
「身体強化の鍛錬にな。」
「あー、お前さんまた派手に壊すだろうから《リペア》の動力になってる魔石に魔力を注いでからにしてくれ。」
「わかった。細かいことはルーシャに聞くよ。」
「そうしてくれ」と言ってメルヴィンは執務室に戻って行った。
その背中に向って「あのギルマスがアクセサリーを着ける日が来るなんて」というセリフが飛んで、ちょっと気分が良くなった。
ルーシャに案内された場所で魔石に魔力を注いでいく。
本来なら魔力に余裕があるハンターが、飲み代や小遣い稼ぎでやるらしい。
ただ俺は壁に穴を開けた前科があるから、あらかじめ壊す分の魔力を補充するそうだ。
ちなみに帰る時にもルーシャに捕まって魔石に魔力を補充した。
集中して気が付かないうちにいろいろ壊してしまったらしいので素直に従ったが、俺が訓練場を使う時の決まりができた。
「シオンは訓練場の使用前と使用後に魔力の補充をすること」
メルヴィンの決定だ。
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