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3章 天使と仔猫と風呂と俺、マスコットを添えて
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「シオン、起きているかい?起きていたら、わたしの話を聞いてくれないかな?」
さすが、兄弟。
訪いの言葉もよく似ている。
思わず笑ってしまいながら、魔法で《消臭》してからドアを開く。
「来ると思って待ってた。メルヴィンも居るぞ。」
そう言いながらジェイデンを招き入れると、メルヴィンがバツの悪そうな顔になった。
「先を越されましたか。メルヴィンが何をしに来たか、大体分かります。わたしはね、君にお願いをしに来たんです。だから今はメルヴィンが言ったことはひとまず置いておいて、話を聞いてほしいんだ。」
「わかった。取り敢えず落ち着いてからな。」
ジェイデンをベッドに座らせて、自分はテーブルセットの椅子を移動させて腰を下ろした。
「わたしの話を聞いた後でも、君がわたしを望んでくれるなら、わたしは全てを君に捧げます。だからわたしのお願いを叶えてほしいのです。メルヴィンもこちらに来て、上手く説明できるように手伝ってください。」
「わかった」と応じたメルヴィンが座るとジェイデンが話し出した。
「わたしの父は貴族なのですが、メルヴィンの御父上だけを愛しています。でもわたしの『兄弟』は何人いるか分からない程にたくさん居るのです。
わたしは父に望まれない子でした。父が望んだ子はメルヴィンだけ。父としての愛情もメルヴィンだけに注がれています。では何故たくさんの兄弟が居るのか。それは祖父が父を使って金の髪の子を産ませようとしたからです。」
「オレらのジジイは何故か父の血を引く、金髪のガキを欲しがってな。父上に金髪の女性体を娶せたり、買ったりしてあてがって子を作らせたんだ。ジジイが金髪に執着している理由は知らない。ヘタに同情なんてしたかねえから調べなかったんだ。」
「貴族は人の胎で子をなします。そして孕むことに向いている女性体が産んだ子こそ優秀だという根拠のない常識が蔓延っているのです。」
「父上はハンターの親父の子を孕みたかったらしいが、妊娠中は子づくりできねえからジジイが許さなかったらしい。だからオレは魔道具を使って産まれた子だ。それに、父上の子で金髪はジェイデンだけだ。金の髪じゃねえって売られた兄弟もいるらしい。」
「6歳の誕生日に将来の夢を聞かれて、物語のお姫様みたいに王子様や騎士様のところに嫁ぎたいと言ったら、祖父に殴られました。そして金の髪の子を増やすためだけに生きろと言われたのです。」
「それを見た親父とオレはこのままだとジェイデンが監禁されるかも知れねえと思って剣を習わせる事にしたんだ。男性体っぽい事をしてりゃあ、ジジイも暫くは放っとくかもしれんと思ってな。」
「そのおかげでわたしは大事なく育つ事ができました。でも性的に成熟すれば祖父に囚われるのはわかりきっていました。自分に許された時間を、憧れた騎士様の近くで過ごしたいと思って騎士になりました。ですが、それも良いものではなかったのです。」
「むしろクズ揃いだ。自分が努力もしてねえのにジェイデンをやっかんで、逆恨みしやがって!」
「わたしは騎士団でレイプされました。首謀者は公爵家の令嬢です。わたしの子を孕めばわたしが手に入ると頭の悪いことを考えたようです。騎士たちを買収して、わたしに魔法薬を盛りました。使われたら意思に関係なく達してしまう薬です。
令嬢がわたしの子種を胎に受けた後で、さらに、今度は騎士たちに薬を使われて、後ろに張り型を挿入れられて泣かされました。その後、異変に気付いた他の騎士に助けられて実家に戻されましたが、騎士たちに使われた魔法薬に苛まれました。
それをメルヴィンが助けてくれたのです。」
「ジェイデン、その話は止めとけ。お前が傷付く。」
「メルヴィン、あなたには申し訳ありませんが、全て彼には話します。
………そのとき使われた魔法薬は禁止薬物で、胎内に他人の子種を受けるまで発情し続け、自力では前でも、後ろでも達せない、拷問用の薬でした。薬の事は、メルヴィンの御父上がメルヴィンを呼んでくれて、わたしの症状を見た彼によって判明しました。
メルヴィンはわたしのナカには入らずに、媚薬を飲んで子種だけを注いでくれました。自分を恨んでもいい、辛ければ忘れてもいいと言って。その後わたしは騎士を辞めました。拷問用の薬を使われる程に逆恨みされていましたから。
しばらくは実家で心穏やかに過ごせていたのですが、長続きしませんでした。」
「公爵家のクソ女がジェイデンの子だとぬかして、自分が産んだ子と公爵を連れて来やがったんだ。あろうことかジジイは喜んだ。その子が金髪だったからだ。オレはその場に乗り込んで、ジェイデンの子では有り得ねえってブチかましてやったけどな!」
「騎士になる前にメルヴィンに言われたのです。必ず、前も後ろも避妊魔法をかけて、証明書も手に入れてから騎士団に入れ、と。おかげで望まない相手と、望まないまま親にならずに済みました。」
「オレはジェイデンをジジイから自由にするためにウソをついた。クソ女のおかげでジェイデンは女性体には発情できなくなった。だから女の胎に二度と子種は注げねえってな。
公爵は真っ青になって、ジジイは激怒した。唯一の金髪の子であるジェイデンが使えなくなったからだ。公爵はその場でクソ女と縁を切ってジジイに差し出した。その後どうなったかは知らんが、どんな目にあったとしても自業自得だ。
その勢いでジジイにジェイデンと縁を切らせて実家から連れ出したんだ。」
さすが、兄弟。
訪いの言葉もよく似ている。
思わず笑ってしまいながら、魔法で《消臭》してからドアを開く。
「来ると思って待ってた。メルヴィンも居るぞ。」
そう言いながらジェイデンを招き入れると、メルヴィンがバツの悪そうな顔になった。
「先を越されましたか。メルヴィンが何をしに来たか、大体分かります。わたしはね、君にお願いをしに来たんです。だから今はメルヴィンが言ったことはひとまず置いておいて、話を聞いてほしいんだ。」
「わかった。取り敢えず落ち着いてからな。」
ジェイデンをベッドに座らせて、自分はテーブルセットの椅子を移動させて腰を下ろした。
「わたしの話を聞いた後でも、君がわたしを望んでくれるなら、わたしは全てを君に捧げます。だからわたしのお願いを叶えてほしいのです。メルヴィンもこちらに来て、上手く説明できるように手伝ってください。」
「わかった」と応じたメルヴィンが座るとジェイデンが話し出した。
「わたしの父は貴族なのですが、メルヴィンの御父上だけを愛しています。でもわたしの『兄弟』は何人いるか分からない程にたくさん居るのです。
わたしは父に望まれない子でした。父が望んだ子はメルヴィンだけ。父としての愛情もメルヴィンだけに注がれています。では何故たくさんの兄弟が居るのか。それは祖父が父を使って金の髪の子を産ませようとしたからです。」
「オレらのジジイは何故か父の血を引く、金髪のガキを欲しがってな。父上に金髪の女性体を娶せたり、買ったりしてあてがって子を作らせたんだ。ジジイが金髪に執着している理由は知らない。ヘタに同情なんてしたかねえから調べなかったんだ。」
「貴族は人の胎で子をなします。そして孕むことに向いている女性体が産んだ子こそ優秀だという根拠のない常識が蔓延っているのです。」
「父上はハンターの親父の子を孕みたかったらしいが、妊娠中は子づくりできねえからジジイが許さなかったらしい。だからオレは魔道具を使って産まれた子だ。それに、父上の子で金髪はジェイデンだけだ。金の髪じゃねえって売られた兄弟もいるらしい。」
「6歳の誕生日に将来の夢を聞かれて、物語のお姫様みたいに王子様や騎士様のところに嫁ぎたいと言ったら、祖父に殴られました。そして金の髪の子を増やすためだけに生きろと言われたのです。」
「それを見た親父とオレはこのままだとジェイデンが監禁されるかも知れねえと思って剣を習わせる事にしたんだ。男性体っぽい事をしてりゃあ、ジジイも暫くは放っとくかもしれんと思ってな。」
「そのおかげでわたしは大事なく育つ事ができました。でも性的に成熟すれば祖父に囚われるのはわかりきっていました。自分に許された時間を、憧れた騎士様の近くで過ごしたいと思って騎士になりました。ですが、それも良いものではなかったのです。」
「むしろクズ揃いだ。自分が努力もしてねえのにジェイデンをやっかんで、逆恨みしやがって!」
「わたしは騎士団でレイプされました。首謀者は公爵家の令嬢です。わたしの子を孕めばわたしが手に入ると頭の悪いことを考えたようです。騎士たちを買収して、わたしに魔法薬を盛りました。使われたら意思に関係なく達してしまう薬です。
令嬢がわたしの子種を胎に受けた後で、さらに、今度は騎士たちに薬を使われて、後ろに張り型を挿入れられて泣かされました。その後、異変に気付いた他の騎士に助けられて実家に戻されましたが、騎士たちに使われた魔法薬に苛まれました。
それをメルヴィンが助けてくれたのです。」
「ジェイデン、その話は止めとけ。お前が傷付く。」
「メルヴィン、あなたには申し訳ありませんが、全て彼には話します。
………そのとき使われた魔法薬は禁止薬物で、胎内に他人の子種を受けるまで発情し続け、自力では前でも、後ろでも達せない、拷問用の薬でした。薬の事は、メルヴィンの御父上がメルヴィンを呼んでくれて、わたしの症状を見た彼によって判明しました。
メルヴィンはわたしのナカには入らずに、媚薬を飲んで子種だけを注いでくれました。自分を恨んでもいい、辛ければ忘れてもいいと言って。その後わたしは騎士を辞めました。拷問用の薬を使われる程に逆恨みされていましたから。
しばらくは実家で心穏やかに過ごせていたのですが、長続きしませんでした。」
「公爵家のクソ女がジェイデンの子だとぬかして、自分が産んだ子と公爵を連れて来やがったんだ。あろうことかジジイは喜んだ。その子が金髪だったからだ。オレはその場に乗り込んで、ジェイデンの子では有り得ねえってブチかましてやったけどな!」
「騎士になる前にメルヴィンに言われたのです。必ず、前も後ろも避妊魔法をかけて、証明書も手に入れてから騎士団に入れ、と。おかげで望まない相手と、望まないまま親にならずに済みました。」
「オレはジェイデンをジジイから自由にするためにウソをついた。クソ女のおかげでジェイデンは女性体には発情できなくなった。だから女の胎に二度と子種は注げねえってな。
公爵は真っ青になって、ジジイは激怒した。唯一の金髪の子であるジェイデンが使えなくなったからだ。公爵はその場でクソ女と縁を切ってジジイに差し出した。その後どうなったかは知らんが、どんな目にあったとしても自業自得だ。
その勢いでジジイにジェイデンと縁を切らせて実家から連れ出したんだ。」
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