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3章 天使と仔猫と風呂と俺、マスコットを添えて
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「ふふっ。ラースちゃんを手玉に取るなんて、シオンちゃんやるわね!それに3人はすっかり仲良しなのね。歳も近そうだし、羨ましくなっちゃったわ。」
「アンジェラさん!?俺、遊ばれてるだけだぞ!」
「はぁ、流し目も尊いです…。」
「ラースは昨日の途中まではデキるアニキっぽかったのにな。」
今ではすっかりいじられキャラだ。
「そうですね。」
「フェイトまで!じゃあ今の俺は何なんだ!?」
フェイトと視線を合わせて考える。
さすがに本人にいじられキャラと言うのは忍びない。
「………ムードメーカー、ですかね?」
さすがフェイト、優しい。
だがこっちだろう。
「マスコット。」
「「あー。」」
アンジェラママとフェイトは納得してくれた。
ちなみにラースは「俺の扱いが酷い…」とブツブツ言っているが、追撃してやった。
「機嫌直すのにもキスが必要か、ラース?」
「おまっ!その言い方!それにアンジェラさんにバラすなよ!」
「まあっ!もうそんなことまで?ラースちゃんたら手が早いわ!」
「眠たくなったシオンさんをからかって、返り討ちにあったんですよ。『礼はほっぺにキスで良いぞ』でしたっけ?ちなみに僕もしてもらいました!シオンさんの唇はとっても柔らかかったです!」
「フェイト!?お前までそんな扱いかよ!俺、泣くぞ?」
そんな情けない声出してないで花街にでも行って慰めてもらって来いよ、人気者。
「でもね、ラースさん。僕、シオンさんと出会う前よりあなたとの距離が近くなったみたいで、嬉しいし、楽しいんです。物理的には一定の距離をとっているのに不思議ですね。」
そんなことをフェイトは微笑みながら言う。
「あー、それは確かにあるな。人を纏める立場になってからこんな扱いされること無くなってたし、俺をからかうヤツなんてめったに居ないからな。」
「じゃあこれからは本人公認でイジって良いんだな?」
「そうだな。確かに楽しいって、何言わせてんだシオン!」
「許可した後に何言っても無駄だ。なあ、フェイト。」
「そうですね。これからも楽しい時間が続くと良いですね。」
「…その言い方はズルいぞ。それにしたってフェイトも言うようになったな。」
確かに昨日より明るくなったと思う。
今も楽しそうに笑ってるし。
これも我らがマスコットのおかげでなのかな。
「僕はアンジェラさんのところで暫くリフレッシュしたら、逞しく生きることに決めたので!」
「将来が楽しみね。」
アンジェラママがそう微笑む隣でラースが「俺は将来が恐ろしい」と震えていた。
「それで、シオンちゃんの話はどういったことなの?二人とは仲良しさんだし、できる事はさせて貰うわ。」
アンジェラママが俺に水を向けるが、俺には知りたいことがある。
「その前に、あなたに触れても良いだろうか?」
「え、ええ良いわよ。」
俺は席を立ち、足元を見て、少し緊張した様子のアンジェラママの左手を取り指先を確認していく。
ちなみに席順はアンジェラママの左にフェイト、右にラース、正面に俺だ。
少し身構える彼にだけ聞こえるように、耳元に口を寄せ話しかける。
「あなたの事情はわからないが、今のままでは『アンジェラ』があなたの本意では無いことが露顕してしまうぞ。」
「シオンちゃん、あなた…。」
驚きと戸惑いの表情が浮かんだ。
そんなにバレないと思ってたのか?
出会って直ぐに違和感に気づいたけどな。
「指先を飾らないのは何故なのか教えて貰えるか?あと。靴がそれなのも。」
まるでリクルートパンプスだ。
アンジェラならこの会話でどうして俺が気付いたかわかるだろう。
「マニキュアやネイルチップは品出しなんかの作業中に剥がれたり割れてしまうし、引退したけどたまにハンターの依頼もあるからしていないの。」
プラス面倒くさい、かな?
指先が荒れているのは手入れの習慣が無いからだろうし。
「靴は………。わたし、身体が大きいでしょう?だから体重もね、恥ずかしいけどかなりあるの。だから細いヒールの靴は踵が折れてしまうし、あの………床も傷んでしまうの。」
やっぱり『アンジェラ』は演技か。
でもそうやって装う事に意味があるのか…。
だとしたらバレないように少し手伝おう。
フェイトのように魔法を付与するためのアクセサリーがあれば良かったが、残念ながらアンジェラは何も身に着けていなかった。
まあ、無ければ作れば良いだけだ。
ブレスレットにしようか。
髪色に合わせて金色の華奢なチェーンにパールがいくつか使われているデザインにしよう。
1つのパールにネイルのデザインを1つ付与すれば、装いに合わせて選べるだろう。
華奢な造りを選んだのは、彼が自分には似合わないと、そういった物を避けていそうだと思ったから。
ブレスレットを作製して幻影の魔法を付与する。
できた物は取り敢えずテーブルの上に置いておく。
次は靴だ。
「アンジェラさん!?俺、遊ばれてるだけだぞ!」
「はぁ、流し目も尊いです…。」
「ラースは昨日の途中まではデキるアニキっぽかったのにな。」
今ではすっかりいじられキャラだ。
「そうですね。」
「フェイトまで!じゃあ今の俺は何なんだ!?」
フェイトと視線を合わせて考える。
さすがに本人にいじられキャラと言うのは忍びない。
「………ムードメーカー、ですかね?」
さすがフェイト、優しい。
だがこっちだろう。
「マスコット。」
「「あー。」」
アンジェラママとフェイトは納得してくれた。
ちなみにラースは「俺の扱いが酷い…」とブツブツ言っているが、追撃してやった。
「機嫌直すのにもキスが必要か、ラース?」
「おまっ!その言い方!それにアンジェラさんにバラすなよ!」
「まあっ!もうそんなことまで?ラースちゃんたら手が早いわ!」
「眠たくなったシオンさんをからかって、返り討ちにあったんですよ。『礼はほっぺにキスで良いぞ』でしたっけ?ちなみに僕もしてもらいました!シオンさんの唇はとっても柔らかかったです!」
「フェイト!?お前までそんな扱いかよ!俺、泣くぞ?」
そんな情けない声出してないで花街にでも行って慰めてもらって来いよ、人気者。
「でもね、ラースさん。僕、シオンさんと出会う前よりあなたとの距離が近くなったみたいで、嬉しいし、楽しいんです。物理的には一定の距離をとっているのに不思議ですね。」
そんなことをフェイトは微笑みながら言う。
「あー、それは確かにあるな。人を纏める立場になってからこんな扱いされること無くなってたし、俺をからかうヤツなんてめったに居ないからな。」
「じゃあこれからは本人公認でイジって良いんだな?」
「そうだな。確かに楽しいって、何言わせてんだシオン!」
「許可した後に何言っても無駄だ。なあ、フェイト。」
「そうですね。これからも楽しい時間が続くと良いですね。」
「…その言い方はズルいぞ。それにしたってフェイトも言うようになったな。」
確かに昨日より明るくなったと思う。
今も楽しそうに笑ってるし。
これも我らがマスコットのおかげでなのかな。
「僕はアンジェラさんのところで暫くリフレッシュしたら、逞しく生きることに決めたので!」
「将来が楽しみね。」
アンジェラママがそう微笑む隣でラースが「俺は将来が恐ろしい」と震えていた。
「それで、シオンちゃんの話はどういったことなの?二人とは仲良しさんだし、できる事はさせて貰うわ。」
アンジェラママが俺に水を向けるが、俺には知りたいことがある。
「その前に、あなたに触れても良いだろうか?」
「え、ええ良いわよ。」
俺は席を立ち、足元を見て、少し緊張した様子のアンジェラママの左手を取り指先を確認していく。
ちなみに席順はアンジェラママの左にフェイト、右にラース、正面に俺だ。
少し身構える彼にだけ聞こえるように、耳元に口を寄せ話しかける。
「あなたの事情はわからないが、今のままでは『アンジェラ』があなたの本意では無いことが露顕してしまうぞ。」
「シオンちゃん、あなた…。」
驚きと戸惑いの表情が浮かんだ。
そんなにバレないと思ってたのか?
出会って直ぐに違和感に気づいたけどな。
「指先を飾らないのは何故なのか教えて貰えるか?あと。靴がそれなのも。」
まるでリクルートパンプスだ。
アンジェラならこの会話でどうして俺が気付いたかわかるだろう。
「マニキュアやネイルチップは品出しなんかの作業中に剥がれたり割れてしまうし、引退したけどたまにハンターの依頼もあるからしていないの。」
プラス面倒くさい、かな?
指先が荒れているのは手入れの習慣が無いからだろうし。
「靴は………。わたし、身体が大きいでしょう?だから体重もね、恥ずかしいけどかなりあるの。だから細いヒールの靴は踵が折れてしまうし、あの………床も傷んでしまうの。」
やっぱり『アンジェラ』は演技か。
でもそうやって装う事に意味があるのか…。
だとしたらバレないように少し手伝おう。
フェイトのように魔法を付与するためのアクセサリーがあれば良かったが、残念ながらアンジェラは何も身に着けていなかった。
まあ、無ければ作れば良いだけだ。
ブレスレットにしようか。
髪色に合わせて金色の華奢なチェーンにパールがいくつか使われているデザインにしよう。
1つのパールにネイルのデザインを1つ付与すれば、装いに合わせて選べるだろう。
華奢な造りを選んだのは、彼が自分には似合わないと、そういった物を避けていそうだと思ったから。
ブレスレットを作製して幻影の魔法を付与する。
できた物は取り敢えずテーブルの上に置いておく。
次は靴だ。
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