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第四章 素材を求めて

第十二話

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「「「なぁ、メシ奢っから一緒に食おーぜ?」」」
チンピラみたいな三人組が入り口を塞いで通せんぼしている。

「待ち合わせしているから結構です。」
サラは面倒くさそうに対応している。

「何、どうかした?」
侑は男達の後ろから声をかけた。

「何だお前?
お前には関係ねぇから大人しくあっち行ってろよ。」
「「そうだ!そうだ!」」
男達は振り向いて弱そうな男と見た目で判断して強気に出た。


「侑!ウザいからどうにかしてよ!」
サラは侑が居た事に喜び、後ろで固まっているエリカは安堵した。


「はぁ?
お前一人でどうにか出来ると思ってんの?
頭ん中大丈夫か?」
強気な男は捲し立てるが、一緒にいる男はサラの呼びかけに反応して青くなっていた。

「ちょっと待つっす…
今、ユウって呼んでたっす…
もしかして…」
青くなっていた男が呟くと侑のポケットからラピスが顔を出した。


「侑さん、どうしたの?
絡まれてる感じかな?
殺っちゃう?」
ラピスはいつもと違う好戦的な言葉を残すと侑の前にピョンと降りた。


「やっぱりそうっす。
待つっす!ヤバイっすよ!
この人だけは絶対に逆らっちゃ駄目な奴っすよ!」
青くなっていた男は捲し立てる男の裾を思いっきり引っ張った。


「何なんだよ!
こんな奴ヨユーだろ!」
「馬鹿っすか?
それとも知らないんすか?
ギルドと国の両方から全幅の信頼を置かれてる冒険者っすよ?
魔獣より恐ろしいっすよ、相手になんかできるわけ無いっす!
命がいくつ有っても足らないっすよ!」
青くなっていた男が叫ぶと他の男達はギョッとした顔でそそくさと逃げ出そうとした。


逃げ出そうとした先にはラピスとルビーが挟む形でピョンピョンと跳ねている。


「「「すんませんでした!!!」」」
男達は逃げられないと分かるとその場で土下座した。

「あのさぁ、こんだけ可愛い二人を見れば声を掛けたくなるのは理解出来るんだけどさぁ…

…仲良くなりたいんだよね?
傍目からは嫌われたい様にしか見えないんだけど?」
侑の後ろに移動していた二人が可愛いと言われて照れてる。


「もちろん仲良くなりたいんすよ。
だから、声をかけまくってるんす。」
威勢の良かった男は口をパクパクさせて喋れないので止めに入った男が答えた。


「でも、嫌われてるよね…」


「この方法しか知らないんすよ…
仲良くなりたいから、死ぬまでこの方法を続けるしか無いんす。」
店の前で土下座をしながら項垂れている三人組と呆れ顔の侑、周りにはギャラリーが集まってる。


「…じゃ、取り敢えず一回死ぬか。」

「死にたくないっす。」
男は首を横にブルブルと振った。


「いや、物の喩えだよ。
仲良くなれる方法を教えるから、今までの自分を捨てろって事。」
侑が『はぁ…』とため息をつくと男達はほっとした。


「仲良くなれるなら、今までの自分を捨てるっす。
宜しくお願いするっす。」



侑はその言葉を聞くとラピスを呼んだ。
肩の上に乗ったラピスは侑が念話で伝えた事を理解すると男達の前にピョンと飛んだ。
男達は目の前にスライムが来てビクついたが脚が痺れて動けなかった。

ラピスは三匹に分離すると男達を飲み込んだ。

周りのギャラリーから悲鳴が聞こえる。
男達は苦しいのかくすぐったいのか悶えている。

暫くするとラピスは男達を吐き出す様に離れ一匹に戻った。
悶えていた男達は何が起きたのか分からず、キョトンとしている。


「今迄のあんた達はスライムに食べられて死んだよ。
自分達の今の姿を見合ってみなよ。
別人とは言わないけど、多少はマシになってるよ。」
侑がそう言うと男達は隣通しを見合わせて驚く。


「「「何だこりゃ!」」」

男達の服は綺麗になっただけだが、無精髭やボサボサだった髪がさっぱりしている。

「うちのスライムは優秀だからね。」
侑は肩に乗っているラピスを撫でている。


「身なりだけじゃ何も変わらないからね。
本当に女の子と仲良くなりたいなら、これから言う事をしっかりと守れよ?」
小綺麗になってイケると勘違いしていそうな男達に釘を差す。

「まず、女性には片っ端から声をかける。
だけど今までみたいにしつこくしない。
一日一回。挨拶代わりに『今日も可愛いね』程度な。
あと、薬草採取専門の冒険者になる。」

「ちょっと待つっす。
挨拶代わりに一日一回は分かるっすけど、薬草採取専門って何すか?
女の子と仲良くなるのに関係あるんすか?」


「薬草を冒険者に依頼するのは誰だ?
ポーションを作る薬師や錬金術師、あとは薬屋とかだろ?」
侑の言葉に男達はうんうんと頷く。


「初心者がブチブチと適当に採ってくる薬草と丁寧に採られてきた薬草と必要なのはどっちだ?
丁寧に採ってきてもらう為には会って説明したいよな?
向こうから話しかけてくれるんだぞ?
しかも、死活問題だから時間をかけて丁寧に教えてくれるんだぞ?
ちなみにここに居る可愛い娘も薬師だぞ。」
侑はサラを指差した。


「ここで私を出す?
まぁ、確かに薬草は質が全てだから丁寧に説明するでしょうね。
私は自分で採りに行けるけど、行けない人は冒険者に頼るしかないからね。
実績と信頼が得られれば薬草を採りに行く護衛依頼もあるかもね。」
サラは男達がやる気を出す様なポジティブな話だけをした。


「マジっすか!
俺はなるっすよ!
薬草採取王に俺はなるっす!」
男は右手を高々と上げて宣言した。
他の二人も頷いている。
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