61 / 93
第三章 スタンピード
第十七話
しおりを挟む
「で、どうなのよ?」
サラは侑の態度にイライラしている。
「構わないよ?
でも、薬師って戦闘職では無いよね。」
侑はサラを危険な目に合わせたくなかった。
「薬師は戦闘には向かないけど、薬師になるにはヒーラーとレンジャーで実務の経験を積み重ねないといけないのよ。
だから、後方支援と弓による中距離攻撃は得意よ?」
サラは薬師になるのは大変なのよと呟いた。
「母さんが後方支援するから、サラは弓かな。」
侑は周りと相談しながら、フォーメーションを考えていた。
「じゃ、一回家に帰って装備を持ってくるわね。」
「サラの弓はお気に入り?」
「薬師になってからは使ってないから、部屋の片隅で埃が被ってるかも。」
「じゃ、俺が作るよ。
ちょっと試したい事もあるし。」
侑はドラゴの武器を見てから何かを思いついた。
「試したい事?
別にいいけど、ドラゴみたいにあげるものないわよ?
この大鎌は駄目だからね?」
「いや、別に要らないし。
初パーティの記念にみんなに作ろうかなって。」
侑はエリカにも作るよって微笑んだ。
「私はいいですよ、役に立ちませんから。」
エリカはシュンとしてる。
「みんなが出ている間の仔猫の世話は誰がやるの?
帰ってきてから食事作るのは疲れてるからみんな嫌だよ?」
侑は家で待つのも立派な後方支援だと言った。
「分かったわよ、仔猫の世話と帰ってきた時の食事は任せて。」
エリカが微笑んだ。
「じゃ、ギルドに行ってくるよ。」
侑はラピスとルビーを連れて馬に乗った。
ギルドの扉を開けると異常な光景だった。
一体、この人だかりは何なんだ?
こんなに一杯の冒険者は何処から湧いてきた?
人混みを避けながら受付を侑は目指した。
侑の顔を知ってる冒険者は『パーティ入るか?』
『パーティ組んだか?』と声をかけてくる。
やっとの思いで受付についた。
「ロゼ居る?」
侑はリゼに声をかけた。
「侑…
疲れた…
戦闘のほうが楽…
この状況を見て部屋から出てこなくなった…
完璧逃げた…
後でシメる…
通っていいよ。」
リゼは本当に疲れきっている。
「お疲れだな、落ち着いたら労いで何か作ってやるから頑張れ。」
侑はリゼに同情した。
「えっ?
作ってくれるの?
じゃ頑張る。」
リゼはちょっと元気になった。
「ロゼ!
入るぞ?」
侑がドアをノックする。
ドアがあき、ロゼが顔を出した。
「早く入って。」
侑の腕を引っ張り中に引き込むと素早くドアをしめた。
「あのさ、侑。
お願いだから、ギルドの中くらいはギルマスって呼んでくれない?
彼氏になるならいいけどさぁ、やっぱりメンツってもんがあるのよ?」
ロゼは侑を睨んだ。
「彼氏ならいいんだ?
ギルマスって呼ぶの面倒いから彼氏でいいよ。」
侑はソファーに座った。
「マジで言ってる?」
「冗談に決まってるだろ、ギルマス。」
ロゼは髪の色に負けない位、顔を赤くした。
「で、パーティは決まったの?」
「五人で登録する。」
「侑・ドラゴ・バトラ様・メイ様は入るとして、あと一人は?」
ロゼは私はギルマスだから無理よって言った。
「あと一人はサラだよ。」
ロゼは魂の抜けた顔をした。
「はぁ?
あの子が戦うの?
侑…
どんな手を使ったのよ?
あの子はこういう非常事態でも絶対に参加しなかった子よ?
レンジャー時代のあの子と組んでたけど、必要以上に戦わない。
体力が無い訳でも博愛主義でも無く、ただの面倒くさがり屋なのよ。
侑に紹介する時だって、服で釣るの大変だったのよ。」
ロゼは侑に詰め寄り、横に座った。
「別に何も?
母さん含めて四人で良いかって話してたら、入れてくれって言われたよ?
俺は逆に危険な目に合わせたくなかったから、サラには話を振らなかったよ?」
侑は座る位置をずらし、ロゼとの距離を作りながら話した。
「あっそう……
自分から言ったのね。
よっぽど侑の事が気に入ったのかしら?
どちらにしても、あの子の弓の技術は凄いから背中は任せて大丈夫よ。」
ロゼは技術に関しては太鼓判を押した。
「五人パーティで登録しておくわね。
で、従魔なんだけど今回はソードキャットは連れて行かない方がいいと思うわ。
討伐対象にソードキャットが居るから、他の冒険者に狙われる可能性もあるし同種で戦わせるのも可哀想な気がするわ。」
ロゼはオニキスを置いていくことを勧めた。
「その辺はオニキスに聞いてみるよ。
なるべく置いて行くようには心掛けるけど、どうしても行きたいって言ったら連れてくよ。」
侑はオニキスに任せると言った。
「分かったわ、首輪は必ず着けてね。
それと、報酬なんだけど今回は前払いになるわ。
いつもなら、討伐部位を持ち帰るだけでオッケーなんだけど今回は違うの。
魔素を噴き出してる穴が近いから、死体を置いておくとダンジョン化を早める可能性があるし他の魔獣を呼び寄せるかもしれない。
だから、報酬として魔導バッグを一人一袋渡すからその中に死体を入れてきて欲しいの。
勿論、一体に付き銀貨一枚は保証するしレア度が高ければ追加で報酬を出すわ。
渡すバッグには百体入るから問題無いと思うけど、一杯になったら一度ギルドに来て精算する必要があるからね。」
ロゼは魔導バッグは普通に買うと金貨三枚位するから、高額な報酬だと言った。
「分かったよ、明日の朝からスタートか?
それとも、もう少し様子を見るのか?」
「今の所、明日の朝からね。
開始の合図はギルドから狼煙が上がるわ。
今日来てもらったから、開始の時にギルドに来る必要は無いの。」
ロゼは詳細を説明した。
「分かった。
オニキスの首輪の代金はどうする?
今作るか?」
侑は帰り支度を始めた。
「バタバタしてるから、落ち着いてからにするわ。」
「いつでもいいから、デザインを描いておいてくれ。」
侑は紙を二枚渡した。
「一枚でいいよ?」
「もう一枚はリゼの分だ。
あいつも頑張ってるから、労ってやらないとな。」
「分かったわ、ありがとう。
渡しておくよ。」
「じゃ、帰るよ。」
侑は魔導バッグを五枚受け取るとギルドを後にした。
サラは侑の態度にイライラしている。
「構わないよ?
でも、薬師って戦闘職では無いよね。」
侑はサラを危険な目に合わせたくなかった。
「薬師は戦闘には向かないけど、薬師になるにはヒーラーとレンジャーで実務の経験を積み重ねないといけないのよ。
だから、後方支援と弓による中距離攻撃は得意よ?」
サラは薬師になるのは大変なのよと呟いた。
「母さんが後方支援するから、サラは弓かな。」
侑は周りと相談しながら、フォーメーションを考えていた。
「じゃ、一回家に帰って装備を持ってくるわね。」
「サラの弓はお気に入り?」
「薬師になってからは使ってないから、部屋の片隅で埃が被ってるかも。」
「じゃ、俺が作るよ。
ちょっと試したい事もあるし。」
侑はドラゴの武器を見てから何かを思いついた。
「試したい事?
別にいいけど、ドラゴみたいにあげるものないわよ?
この大鎌は駄目だからね?」
「いや、別に要らないし。
初パーティの記念にみんなに作ろうかなって。」
侑はエリカにも作るよって微笑んだ。
「私はいいですよ、役に立ちませんから。」
エリカはシュンとしてる。
「みんなが出ている間の仔猫の世話は誰がやるの?
帰ってきてから食事作るのは疲れてるからみんな嫌だよ?」
侑は家で待つのも立派な後方支援だと言った。
「分かったわよ、仔猫の世話と帰ってきた時の食事は任せて。」
エリカが微笑んだ。
「じゃ、ギルドに行ってくるよ。」
侑はラピスとルビーを連れて馬に乗った。
ギルドの扉を開けると異常な光景だった。
一体、この人だかりは何なんだ?
こんなに一杯の冒険者は何処から湧いてきた?
人混みを避けながら受付を侑は目指した。
侑の顔を知ってる冒険者は『パーティ入るか?』
『パーティ組んだか?』と声をかけてくる。
やっとの思いで受付についた。
「ロゼ居る?」
侑はリゼに声をかけた。
「侑…
疲れた…
戦闘のほうが楽…
この状況を見て部屋から出てこなくなった…
完璧逃げた…
後でシメる…
通っていいよ。」
リゼは本当に疲れきっている。
「お疲れだな、落ち着いたら労いで何か作ってやるから頑張れ。」
侑はリゼに同情した。
「えっ?
作ってくれるの?
じゃ頑張る。」
リゼはちょっと元気になった。
「ロゼ!
入るぞ?」
侑がドアをノックする。
ドアがあき、ロゼが顔を出した。
「早く入って。」
侑の腕を引っ張り中に引き込むと素早くドアをしめた。
「あのさ、侑。
お願いだから、ギルドの中くらいはギルマスって呼んでくれない?
彼氏になるならいいけどさぁ、やっぱりメンツってもんがあるのよ?」
ロゼは侑を睨んだ。
「彼氏ならいいんだ?
ギルマスって呼ぶの面倒いから彼氏でいいよ。」
侑はソファーに座った。
「マジで言ってる?」
「冗談に決まってるだろ、ギルマス。」
ロゼは髪の色に負けない位、顔を赤くした。
「で、パーティは決まったの?」
「五人で登録する。」
「侑・ドラゴ・バトラ様・メイ様は入るとして、あと一人は?」
ロゼは私はギルマスだから無理よって言った。
「あと一人はサラだよ。」
ロゼは魂の抜けた顔をした。
「はぁ?
あの子が戦うの?
侑…
どんな手を使ったのよ?
あの子はこういう非常事態でも絶対に参加しなかった子よ?
レンジャー時代のあの子と組んでたけど、必要以上に戦わない。
体力が無い訳でも博愛主義でも無く、ただの面倒くさがり屋なのよ。
侑に紹介する時だって、服で釣るの大変だったのよ。」
ロゼは侑に詰め寄り、横に座った。
「別に何も?
母さん含めて四人で良いかって話してたら、入れてくれって言われたよ?
俺は逆に危険な目に合わせたくなかったから、サラには話を振らなかったよ?」
侑は座る位置をずらし、ロゼとの距離を作りながら話した。
「あっそう……
自分から言ったのね。
よっぽど侑の事が気に入ったのかしら?
どちらにしても、あの子の弓の技術は凄いから背中は任せて大丈夫よ。」
ロゼは技術に関しては太鼓判を押した。
「五人パーティで登録しておくわね。
で、従魔なんだけど今回はソードキャットは連れて行かない方がいいと思うわ。
討伐対象にソードキャットが居るから、他の冒険者に狙われる可能性もあるし同種で戦わせるのも可哀想な気がするわ。」
ロゼはオニキスを置いていくことを勧めた。
「その辺はオニキスに聞いてみるよ。
なるべく置いて行くようには心掛けるけど、どうしても行きたいって言ったら連れてくよ。」
侑はオニキスに任せると言った。
「分かったわ、首輪は必ず着けてね。
それと、報酬なんだけど今回は前払いになるわ。
いつもなら、討伐部位を持ち帰るだけでオッケーなんだけど今回は違うの。
魔素を噴き出してる穴が近いから、死体を置いておくとダンジョン化を早める可能性があるし他の魔獣を呼び寄せるかもしれない。
だから、報酬として魔導バッグを一人一袋渡すからその中に死体を入れてきて欲しいの。
勿論、一体に付き銀貨一枚は保証するしレア度が高ければ追加で報酬を出すわ。
渡すバッグには百体入るから問題無いと思うけど、一杯になったら一度ギルドに来て精算する必要があるからね。」
ロゼは魔導バッグは普通に買うと金貨三枚位するから、高額な報酬だと言った。
「分かったよ、明日の朝からスタートか?
それとも、もう少し様子を見るのか?」
「今の所、明日の朝からね。
開始の合図はギルドから狼煙が上がるわ。
今日来てもらったから、開始の時にギルドに来る必要は無いの。」
ロゼは詳細を説明した。
「分かった。
オニキスの首輪の代金はどうする?
今作るか?」
侑は帰り支度を始めた。
「バタバタしてるから、落ち着いてからにするわ。」
「いつでもいいから、デザインを描いておいてくれ。」
侑は紙を二枚渡した。
「一枚でいいよ?」
「もう一枚はリゼの分だ。
あいつも頑張ってるから、労ってやらないとな。」
「分かったわ、ありがとう。
渡しておくよ。」
「じゃ、帰るよ。」
侑は魔導バッグを五枚受け取るとギルドを後にした。
0
お気に入りに追加
498
あなたにおすすめの小説
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?
N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、
生まれる世界が間違っていたって⁇
自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈
嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!!
そう意気込んで転生したものの、気がついたら………
大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い!
そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!!
ーーーーーーーーーーーーーー
※誤字・脱字多いかもしれません💦
(教えて頂けたらめっちゃ助かります…)
※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
女神様から同情された結果こうなった
回復師
ファンタジー
どうやら女神の大ミスで学園ごと異世界に召喚されたらしい。本来は勇者になる人物を一人召喚するはずだったのを女神がミスったのだ。しかも召喚した場所がオークの巣の近く、年頃の少女が目の前にいきなり大量に現れ色めき立つオーク達。俺は妹を守る為に、女神様から貰ったスキルで生き残るべく思考した。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
退屈な人生を歩んでいたおっさんが異世界に飛ばされるも無自覚チートで無双しながらネットショッピングしたり奴隷を買ったりする話
菊池 快晴
ファンタジー
無難に生きて、真面目に勉強して、最悪なブラック企業に就職した男、君内志賀(45歳)。
そんな人生を歩んできたおっさんだったが、異世界に転生してチートを授かる。
超成熟、四大魔法、召喚術、剣術、魔力、どれをとっても異世界最高峰。
極めつけは異世界にいながら元の世界の『ネットショッピング』まで。
生真面目で不器用、そんなおっさんが、奴隷幼女を即購入!?
これは、無自覚チートで無双する真面目なおっさんが、元の世界のネットショッピングを楽しみつつ、奴隷少女と異世界をマイペースに旅するほんわか物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる