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第二章 鍛冶と鉱山の国トトリ

第十三話

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「まだ終わらないのですかね。」
リビングでは、メイとミチルがお茶を飲んで会話を楽しんでいる。

「ミチル様は東の島国の料理に精通されていらっしゃいますが、もしかしてお住みになっていた事が御座いますか?」
メイはミチルの事を、会話ができる珍しい鳥位にしか思ってなかった。

「私は今は召喚獣ですが元ブラフマー様の使徒なので、日本に居た事が有りますよ。
メイ様も日本に住んでた事が有りますよね?
でなければ、あの食材は手に入れない筈です。」
ミチルはメイと話しているうちに、誤解している部分に気付いた。

「ミチル様は元使徒でしたか、しかもブラフマー様の使徒ですか。
大変失礼致しました。
無礼な振る舞いお許し下さい。」
メイは青くなって畏まった。

「気にしないで下さい、『元』ですから。
それに、メイ様とお話していると楽しいですからもっと仲良くなりたいです。
なので、『様』も要りません。」
ミチルは本心でメイと仲良くしたがっている。

「そうですか、分かりました。
それではミチルさんとお呼びしますね。
それから私は昔にですが、日本に居た事が有ります。
場所は東北です。」
メイもミチルと心から仲良くしたいと思っている。

「東北ですか、私は関東でした。
此方ではあまりお米を食べる習慣がないので不安でしたが、メイさんが居れば大丈夫そうですね。」
メイに尋ねる。

「私も初めて食べたご飯の味がすごく美味しくて、此方に戻ったあとも探し回りました。
東の島国で見つけた時は飛びはねて喜びましたよ。
ちなみに、夫はイタリアとスペインですので自分でパスタを作りましたけど。」
メイは本当に楽しそうに話している。

「東の島国は何と言う名前の国ですか?」
ミチルは『東の島国』は言い難いと国名を聞いた。

「国の名前は『トウケイ』です。火の神アグニ様の直轄領になります。
アグニ様も使徒時代に日本の東京に居たらしいです。
らしい名前ですよね。」
メイはクスクス笑った。

話が盛り上がっていると、侑とバトラが入ってきた。
3人がソファーに座り、ミチルは定位置の肩の上に座った。

「侑様?
かなり運動されたのですね、汗が凄いですよ?」
ミチルは濡れてる服にちょっと不快になった。

「ごめん、ちょっと着替えてくるね。」
侑が立とうとした時、メイが呼び止めた。

「ちょっとお待ち下さい。」
指を『パチン』と鳴らし、クリーンと魔法を発動した。

侑の周りを光の風が纏い、渦を巻くように昇った。

「凄い、汗も汚れも落ちてる。髪もサラサラになってる。
クリーンの概念を教えてもらっても良いですか?」
侑は野営の時などに使えると思い、覚えたいとお願いした。

「魔法の名前はクリーンです。風魔法のエアーと聖魔法のキュアを合成した魔法です。
キュアの効力がありますので、すり傷位なら同時に治ります。」
メイは丁寧に説明した。

「ありがとうございます、もうお昼ですね。
これから準備しますから、ちょっと待ってて下さいね。」
侑はお礼を言うと、昼食の準備を初めようとした。

「今日は軽食をお持ちしましたので、此方を御一緒に。」
メイはカバンの中から、サンドイッチやおにぎりを出した。
中には、肉じゃがが見えた。

「肉じゃが!!」
侑とミチルは思わぬオカズに目を奪われた。

「あっ、そうだ。」
侑はインベントリから、カニ飯のオニギリと天むすを出した。

テーブルの上は料理で溢れた。
「それでは、戴きましょう。」
声を出したのは、ミチルだった。

…ミチル、食い意地ダダ漏れだよ。

侑は肉じゃがを皿に取って口に入れると素材の味と調味料の味が絶妙に絡み合い、複雑でとても優しい味だった。

「美味しい…」
侑とミチルは顔を見合わせた。

メイは二人の幸せそうな顔を見ると嬉しくなり
「レシピを差し上げましょうか?」
と声をかけた。

「是非、お願いします。」
先に声を出したのは、やはりミチルだった。

楽しい食事の後、侑は書斎の片付けとラボにバトラと向かった。



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