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第一章 神殿

第五話 

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「真似も習得も出来ないスキルかぁ。」


何時間も考えているが、一向に浮かばない。
俺は暗礁に乗り上げていた。

俺は自分の身体に違和感を感じた。
(何故だろう?何時間も経っているのに、喉も渇かないし腹も減らない。)

ミチルは侑を見て、神殿の説明を始めた。

「神殿はインベントリよ。
質量も時間も干渉しないの。
だから、今の侑様の時間は白い回廊に入ってから止まってるからお腹は減らないし喉も渇かないのよ。」
ミチルは声に出していない侑の疑問に答えた。

「でも、気分転換に何か飲んでみたら?」
ミチルは陽気に侑を促した。

侑は頷いて、恐る恐る魔法陣に手をかざした。
魔法陣が光った瞬間、中からラムネのビンが出てきた。

「なんでラムネ??」
ミチルは不思議がって侑を見た。

「家族でお祭りに行った時に、父さんと飲んだラムネが忘れられないんだ。」
侑は伏し目がちに家族の思い出を語った。

「お父さんが好きだったのね。」
ミチルはちょっと影のある笑顔を見せた。

「母さんもすごく素敵な人で、父さんも母さんも大好きだったよ。」
侑がそう言うと、ミチルは屈託のない笑顔に変わった。

「でも、なんで俺の考えてることが分かった?」
侑は疑問を投げかけた。

「それは創造神の加護の恩恵ね。」
ミチルはざっくりと説明した。

神殿の中では主従関係を結んでいると互いの考えてる事を共有できると侑に説明した。

「侑様も意識すれば、出来るようになりますよ。
恥ずかしいから、あまり覗かないでくださいね」
ミチルはクスッと笑った。

「良い気分転換が出来たよ、ミチルありがとう。」
侑はラムネを飲みながら、またスキルを考え始めた。

「どういたしまして、それで侑様はこの世界で何がしたいですか?
それによって、考えるスキルの方向性も決まってくるのでは?」
ミチルは侑が困っているのを黙って見ては居られなかった。
それにミチルの中でスキルは決まっていた。

「俺がしたい事かぁ。
戦いたい訳じゃないから、攻撃魔法とか武力系は違うな。」
(まともに歩く事も出来なかったのに剣とか振り回せないし)
侑は自傷気味に苦笑する。

「今までベッドから動けなかったから、これからはのんびり物を作ったり旅をしたいなぁ。」
侑はベッドで読んでいたスローライフ系のラノベを思い出した。

「では、生産系のスキルが良いんじゃない?
でも、錬金術とかはスキルとして存在するからね。」
ミチルは自分の思っている方向に話を持っていきながらも釘を刺す。

「生産系…まさか、クリエイトは貰えないよね?」
侑はダメ元で言ってみた。

「侑様?
話をちゃんと聞いてました?
ブラフマー様のユニークスキルなんですよ?
貰える訳無いでしょ?」
(やっと気付いたの?さっきからヒントを出してたけど)
ミチルは顔に出さない様に素っ気ない返事をした。

「習得は出来ないんでしょ?ちゃんと聞いてたよ。
でも、貰えないとは言ってなかったよ?」
侑はちょっと食い下がってみた。

「侑様、それは屁理屈と言うものでは…
でも、確かに言ってなかったし今まで言った人も居ないわね。」
(もう少し、そのままじゃ駄目なのよ)
ミチルはちょっとだけ、同意してみる。

「俺の居た世界にはドラえもんってアニメがあって、困ってる時にポケットから便利な道具を出して助けてくれるんだよ。
だから、のんびり暮らしながら困ってる人が居たら助けてあげたいなぁって。」
ミチルにヒントを求める為には、内容が必要だと侑は考えた。

「良いんじゃない?
特にのんびり暮らすって処が良いね、わたしが戦わずに済むしね。」
ミチルは敢えて話を逸した。
(この先はブラフマー様に任せましょ)

「えっ?ミチル戦う気だったの?」
俺は肩に乗る位の小鳥が戦うとは思ってなかった。

ミチルは広いところまで移動すると、

「ちょっとだけ本当の姿を見せてあげる、驚かないでね」
青い小鳥が、みるみる姿を変えていく。
侑が乗れるサイズで止まった鳥は青いフェニックスだった。

「初見でこの姿はビビるでしょ、それに街の中にも入れないし。だから、必要な時以外はカワイイ小鳥でいるわよ。」
ミチルはカワイイを強調してる。

ミチルは青い小鳥に戻り、侑の肩の上に乗った。

魔力による磁場の変化に気付いたブラフマーが戻ってきた。

「何事ですか?」




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