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第一章、初めて会った日

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 その一言で部屋を出て、案内人の後ろを歩く。
 来た時よりも全体的に暗いのは、お城についた窓やすりガラスから、迎える光がなくなったせい。
 日が暮れた城内は、廊下に配置された明かりに照らされ、幻想的ながら不気味な雰囲気を醸し出している。
 階段をたくさん上り続けて、足がだるくなってきた頃、突然景色が変わった。
 今まで城内を囲むように、廊下と部屋が並んでいたのに、それがいきなり途切れた。
 階段の上にあったのは、大きな扉。
 ここに来るまで見てきた扉の、三個分はありそうだ。
 金色の縁に囲まれた青いそれは、あたしを拒むように立ちはだかっている。
 だけどここで、引き返すことは許されない。
 案内人が扉の端に寄って、後ろに手を組んで待機する。
 その腰に携えた細いつるぎ
 あたしの命は風前の灯火だ。
 フーと細く息を吐いて、金の取っ手に指をかける。
 さっきあたしが通された部屋のは、丸くて小さくて、回すやつだった。
 だけどここのは、四角い長方形で、手前に引くやつだ。
 かけた手に力を入れて、ずっしり重い扉を開く。
 すると、ギィと音が鳴って、徐々に部屋の中が明らかになる。
 最初に気づいたのは、滲むようなほのかな光。
 それは、部屋の中央に陣取る、青いカーテンから漏れ出している。
 そっと中に入って、扉を静かに閉めると、改めて室内の方を向いた。
 視線をあちらこちらへ、目だけコロコロ動かして確認する。
 広い。とにかく広い。
 階段がもうなかったってことは、ここがお城の一番上だ。
 ということは、この階には、この部屋しかないってこと。
 あまりに広いから、中央の明かりが届ききらなくて、端の方は薄暗くてよく見えない。
 扉から直線上に存在する青いカーテン、よく見るとそれは、天井についた金具みたいなものから垂れている。金色の硬そうな、シャラシャラした飾りみたいなやつ。
 長四角のベッドを囲むカーテンから、うっすら人型が透けているのがわかる。
 心臓が痛い。
 きっと殺される。
 おばあちゃん、おばあちゃん。

『本当に、本当に……ピケが助けてほしい時に、このペンダントを開けるんだよ』

 そう言ってた、おばあちゃんの声が蘇る。

「ユニ族の者だな」
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