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吸血族の城
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コーエンの語り口調は、次第に熱を上げていた。
可愛らしい御伽噺は、隠された悪魔の歴史の暴露と化した。
「吸血族は、いわゆる人間たちよりも知性が高く、見目も麗しく、力も強いとされていました。……あくまでも、王女と吸血族の恋話はきっかけに過ぎなかった。吸血族に対する嫉妬と恐怖……それをねじ伏せるため、機会を窺っていた輩は山ほどいたというわけです」
「――で、でも、そんなの……吸血族は、何もしてないのに……?」
「人間は疑り深い生き物でしょう。なぜだかわかりますか? 自分たちが嘘をつくからです。自分がすることは相手もする。危険分子は徹底的に叩き潰す。それが人間でございます。その証拠に、今でも世界中で争いは絶えません。種族壊滅は吸血族に限ったことではありませんからね……」
処理能力を遥かに凌駕する事実に、穏花は目を見張ったまま微かに腕を震わすことしかできなかった。
狼狽する少女に、コーエンは険しくなった表情を緩め、安心させるように優しげな笑みを浮かべた。
「穏花お嬢様、あなた方は何から情報を得ていらっしゃいますか?」
突然、先ほどの内容から逸脱したような質問を投げかけられ、穏花は焦ったように目を泳がせ考えた。
「インターネットから、でしょうか……? 後は、テレビや、教科書、人から聞いた話、とか……?」
「ええ、ええ。その通りでしょう。では、それを提供している人物のことをご存知でしょうか?」
「えっ……」
コーエンからの問いに、穏花は困惑するばかりだ。
いつも当然のように用意されている情報たち。その源がどこなのか、なんのために記されているのか……そこまで考えたことなどなかったからだ。
可愛らしい御伽噺は、隠された悪魔の歴史の暴露と化した。
「吸血族は、いわゆる人間たちよりも知性が高く、見目も麗しく、力も強いとされていました。……あくまでも、王女と吸血族の恋話はきっかけに過ぎなかった。吸血族に対する嫉妬と恐怖……それをねじ伏せるため、機会を窺っていた輩は山ほどいたというわけです」
「――で、でも、そんなの……吸血族は、何もしてないのに……?」
「人間は疑り深い生き物でしょう。なぜだかわかりますか? 自分たちが嘘をつくからです。自分がすることは相手もする。危険分子は徹底的に叩き潰す。それが人間でございます。その証拠に、今でも世界中で争いは絶えません。種族壊滅は吸血族に限ったことではありませんからね……」
処理能力を遥かに凌駕する事実に、穏花は目を見張ったまま微かに腕を震わすことしかできなかった。
狼狽する少女に、コーエンは険しくなった表情を緩め、安心させるように優しげな笑みを浮かべた。
「穏花お嬢様、あなた方は何から情報を得ていらっしゃいますか?」
突然、先ほどの内容から逸脱したような質問を投げかけられ、穏花は焦ったように目を泳がせ考えた。
「インターネットから、でしょうか……? 後は、テレビや、教科書、人から聞いた話、とか……?」
「ええ、ええ。その通りでしょう。では、それを提供している人物のことをご存知でしょうか?」
「えっ……」
コーエンからの問いに、穏花は困惑するばかりだ。
いつも当然のように用意されている情報たち。その源がどこなのか、なんのために記されているのか……そこまで考えたことなどなかったからだ。
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