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秘密

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 穏花が棘病を患い、一月ひとつきの時が流れた。
 カレンダーがまた一枚めくられ、十一月を過ぎ、雪国ではすでに季節を匂わせる赤や黄色の落ち葉が地面を彩っていた。

 あれから穏花と美汪は、ずっと一緒にいる。
 時間帯は学校にいる間だけではあったが、美汪は休憩の度に穏花を視線だけで誘い、教室から連れ出した。
 移動教室の際も、下校する際も、穏花が気づいた時には美汪は必ず側にいる。
 美汪にとって自分はただの食糧に過ぎないと思っている穏花からすれば、この片時も離れない状況はあまりに予想外だった。
 しかしそんな時を重ねれば重ねるほど、当初の戸惑いは薄れ、まるで昔からの習慣のように、穏花の中で美汪との日々は違和感をなくしていった。

 美汪は“人間”として認められている食事を取らなかった。
 野菜や果物、鶏や豚、牛の肉に魚介類。スーパーに並んでいる食材、菓子類、すべてである。
 美汪は血液しか食すことができなかった。
 それは以前見た、あの記事に書かれてあった『純血の吸血族は人間と同じ食事をすることが難しい』……その通りであった。
 そのため美汪は昼食の時間、教室にいることはなかった。
 小学校などで給食が出ていた時は、食べているふりをしてそれ自体を消していた。と話した。
 穏花がみちると美汪を尾行した時、音もなく突然背後に現れたこともあり、美汪には何か特別な力があるのだろうと、穏花なりに感じていた。
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