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棘病
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「おはようございます……」
穏花は戸建ての三階である自室を出ると、よそよそしい挨拶をしながらリビングに入った。
「ああ、おはよう、のどちゃん。さ、朝ご飯食べちゃってね」
「あ、はい、ありがとうございます」
「穏花姉ちゃんおはよー!」
「今日ちょっと遅かったんじゃない? 寝坊?」
「う、うん……ちょっと、ね」
慌ただしい様子で台所に向かっている叔母に、二階の部屋から階段を駆け降りて来た穏花より五つ歳下の双子の姉妹。彼女たちは穏花の従姉妹に当たる。
穏花は両親を早くに亡くしたため、母親の妹である叔母の家に引き取られた。
双子もおり、決して裕福なわけではないのに、自分を育ててくれている叔母夫婦。優しい二人にこれ以上迷惑はかけられないと、穏花はとても病のことを話す気にはなれなかった。
先ほど口から異物を吐き出したところで食欲も湧かず、穏花はせっかく料理をしてくれた叔母を気遣い、内緒で双子の姉妹に朝食を譲ると洗面所に向かった。
セミロングの茶色みがかったやや癖のある髪を櫛で梳かしながら、穏花はぼんやりと鏡に映った自身の姿を眺めていた。
――みっちゃんに、相談……してみようかな。こんなこと、他に話せる人がいないし。
穏花の大きく澄んだ瞳は、今にも泣き出しそうに微かに潤んでいた。
穏花は戸建ての三階である自室を出ると、よそよそしい挨拶をしながらリビングに入った。
「ああ、おはよう、のどちゃん。さ、朝ご飯食べちゃってね」
「あ、はい、ありがとうございます」
「穏花姉ちゃんおはよー!」
「今日ちょっと遅かったんじゃない? 寝坊?」
「う、うん……ちょっと、ね」
慌ただしい様子で台所に向かっている叔母に、二階の部屋から階段を駆け降りて来た穏花より五つ歳下の双子の姉妹。彼女たちは穏花の従姉妹に当たる。
穏花は両親を早くに亡くしたため、母親の妹である叔母の家に引き取られた。
双子もおり、決して裕福なわけではないのに、自分を育ててくれている叔母夫婦。優しい二人にこれ以上迷惑はかけられないと、穏花はとても病のことを話す気にはなれなかった。
先ほど口から異物を吐き出したところで食欲も湧かず、穏花はせっかく料理をしてくれた叔母を気遣い、内緒で双子の姉妹に朝食を譲ると洗面所に向かった。
セミロングの茶色みがかったやや癖のある髪を櫛で梳かしながら、穏花はぼんやりと鏡に映った自身の姿を眺めていた。
――みっちゃんに、相談……してみようかな。こんなこと、他に話せる人がいないし。
穏花の大きく澄んだ瞳は、今にも泣き出しそうに微かに潤んでいた。
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