蛇に祈りを捧げたら。

碧野葉菜

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とこしえの恋路

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 蛇珀はいろりの手を握りしめた。

「……いろり、俺は……」

 なんと言えばいいのだろう? うまく自分の気持ちを伝えるのは難しい。
 だがうまくやる必要などないのだ。いろりなら、あるがまま口にすれば、きっと理解してくれる。そう思える安心感と、絶対的な信頼があるからこそ、蛇珀はここまで乗り越えることができた。これからもずっと。

「……俺は、お前といれば、いるほど……お前を愛しいと思えば、思うほど……お前を傷つけそうで、怖かったんだ…………、でも、もう、限界だ」

 ぽつり、最後を独り言のように呟くと、ついに蛇珀はいろりに振り向いた。
 そして自身を必死に見上げるいろりの頬を両の手で包んだ。

「壊していいか……?」

 吐息がかかるほど間近で視線が絡み合う。
 蛇珀の翡翠色の瞳はこの上なく熱情を孕み、今までで最も深く、美しく、輝いていた。

「――――はい……はいっ……! 壊してください、蛇珀さ――」

 いろりの呼吸を不安事奪い去るように、蛇珀は唇を合わせた。
 この瞬間、蛇珀の中のもう一人の自身は跡形もなく姿を消し、二度顔を出すことはなかった。
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