蛇に祈りを捧げたら。

碧野葉菜

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とこしえの恋路

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「ほ、本当に、こんなところに、家が……!」
「なかなかに風情があるであろう。そこがそなたたちの新居となる。よって、蛇珀にはそこの神主として暮らしてもらう」
「俺が、神主……? 前の神主はどうしたんだよ?」
「元よりそこに人の神主はおらぬ。仙界との通路になっておる故、神圧が漂っておるのでな。私が操る狐の霊を人間に仕立てた人型が神主をしておったが、そなたがおるうちはその必要もなくなる。下界に神圧が充満しないよう、今のそなたならしかと抑制できるであろう」
「そういうことか」
「代わりにその期間は地の神の責務は免除とする」

 いろりは落ち着かない様子で辺りを見ながら、もう一度蛇珀の側に腰を下ろした。
 
「蛇珀、そなたは今まで地に関する神の賽銭をまったく使っていなかったであろう。よほど贅沢をしなければ十二分に生活できよう」
「そ、そうなんですか? 蛇珀様」 
「そういやそうだな、考えたこともなかったぜ、いろりに出逢うまでは人間界に興味すらなかったからな。でもおかげでお前に苦労をかけずに済む」

 蛇珀は嬉しそうにいろりに笑いかけた。

「狐雲様、蛇珀様は、今は人間のお身体ということは、神様の力? のようなものはないんですか?」
「いや、ある」
「あるんですか!?」
「そやつの目が物語っておるが、神力は残っておる。半分ほど天獄様が預かっておられるが、知ってのように蛇珀の神力は並ではない。半分とはいえ強力なものであろう。しかしそれ故安心して神社を任せることもできる。もちろん悪事に使おうものなら取り上げるが……まあ、心配ないであろう」
「じゃあもしいろりが病になった時は治してやれるのか?」
「造作もないことである。蛇珀は神力がある身体故病も寄ってこぬし、二人とも人としての長寿をまっとうできよう」

 狐雲の言葉に、しかと理解が及んだ蛇珀といろりは互いの顔を見た。
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