143 / 182
とこしえの恋路
1
しおりを挟む
「…………ん……?」
いろりは身体をよじり、やや顔をしかめて声を漏らした。
重い瞼が徐々に持ち上がると、いろりの視界には黄色みを帯びた明かりが入った。
目覚めて最初に認識できたのは、四角い傘を被った古めかしい照明だった。
目を擦りながら身体を起こすと、自身がよもぎ色の畳に寝ていたことがわかる。
――私……一体いつの間に寝て……? 確か、蛇珀様とまた逢えて、それから印が現れて……。
なぜかいろりの記憶はそこからぷつりと途絶えており、徐々に頭が覚醒し始めると、もしや蛇珀とのあの逢瀬が夢だったのかと恐ろしくなった。
「蛇珀様!? 蛇珀さ、ま――……?」
思わず焦り辺りを見回しながら蛇珀を呼ぶいろりだったが、目当ての相手はすぐ側にいた。
いろりが座っているすぐ隣で、蛇珀は未だ夢の中――で、そこまでは理解できたのだが。その寝姿に、いろりは仰天の表情をした。
「じゃ……じゃは、く、さま……!?」
「……んん? なんだ? 俺らあれからどうして」
「じゃっ、蛇珀様! か、髪が」
「髪?」
いろりは驚きの余り手元を狂わせそうになりながらも、セーラー服のポケットに入れていた小さな手鏡を取り出した。
そしてそれをまどろみつつ起きた蛇珀に向け、自身の姿を確認できるように見せた。
すると……
いろりは身体をよじり、やや顔をしかめて声を漏らした。
重い瞼が徐々に持ち上がると、いろりの視界には黄色みを帯びた明かりが入った。
目覚めて最初に認識できたのは、四角い傘を被った古めかしい照明だった。
目を擦りながら身体を起こすと、自身がよもぎ色の畳に寝ていたことがわかる。
――私……一体いつの間に寝て……? 確か、蛇珀様とまた逢えて、それから印が現れて……。
なぜかいろりの記憶はそこからぷつりと途絶えており、徐々に頭が覚醒し始めると、もしや蛇珀とのあの逢瀬が夢だったのかと恐ろしくなった。
「蛇珀様!? 蛇珀さ、ま――……?」
思わず焦り辺りを見回しながら蛇珀を呼ぶいろりだったが、目当ての相手はすぐ側にいた。
いろりが座っているすぐ隣で、蛇珀は未だ夢の中――で、そこまでは理解できたのだが。その寝姿に、いろりは仰天の表情をした。
「じゃ……じゃは、く、さま……!?」
「……んん? なんだ? 俺らあれからどうして」
「じゃっ、蛇珀様! か、髪が」
「髪?」
いろりは驚きの余り手元を狂わせそうになりながらも、セーラー服のポケットに入れていた小さな手鏡を取り出した。
そしてそれをまどろみつつ起きた蛇珀に向け、自身の姿を確認できるように見せた。
すると……
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
連れ子が中学生に成長して胸が膨らむ・・・1人での快感にも目覚て恥ずかしそうにベッドの上で寝る
マッキーの世界
大衆娯楽
連れ子が成長し、中学生になった。
思春期ということもあり、反抗的な態度をとられる。
だが、そんな反抗的な表情も妙に俺の心を捉えて離さない。
「ああ、抱きたい・・・」
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
女の子にされちゃう!?「……男の子やめる?」彼女は優しく撫でた。
広田こお
恋愛
少子解消のため日本は一夫多妻制に。が、若い女性が足りない……。独身男は女性化だ!
待て?僕、結婚相手いないけど、女の子にさせられてしまうの?
「安心して、いい夫なら離婚しないで、あ・げ・る。女の子になるのはイヤでしょ?」
国の決めた結婚相手となんとか結婚して女性化はなんとか免れた。どうなる僕の結婚生活。
花鈿の後宮妃 皇帝を守るため、お毒見係になりました
秦朱音@アルファポリス文庫より書籍発売中
キャラ文芸
旧題:花鈿の後宮妃 ~ヒロインに殺される皇帝を守るため、お毒見係になりました
青龍国に住む黄明凛(こう めいりん)は、寺の階段から落ちたことをきっかけに、自分が前世で読んだ中華風ファンタジー小説『玲玉記』の世界に転生していたことに気付く。
小説『玲玉記』の主人公である皇太后・夏玲玉(か れいぎょく)は、皇帝と皇后を暗殺して自らが皇位に着くという強烈キャラ。
玲玉に殺される運命である皇帝&皇后の身に起こる悲劇を阻止して、二人を添い遂げさせてあげたい!そう思った明凛は後宮妃として入内し、二人を陰から支えることに決める。
明凛には額に花鈿のようなアザがあり、その花鈿で毒を浄化できる不思議な力を持っていた。
この力を使って皇帝陛下のお毒見係を買って出れば、とりあえず毒殺は避けられそうだ。
しかしいつまでたっても皇后になるはずの鄭玉蘭(てい ぎょくらん)は現れず、皇帝はただのお毒見係である明凛を寵愛?!
そんな中、皇太后が皇帝の実母である楊淑妃を皇統から除名すると言い始め……?!
毒を浄化できる不思議な力を持つ明凛と、過去の出来事で心に傷を負った皇帝の中華後宮ラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる