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究極の選択
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ぶるぶると身体が震える。
恐怖でも悲嘆でもない。歓喜でわななくなんて初めてだった。
「迷惑じゃありませんっ……嬉しいんですよこんちくしょーー!!」
我慢していたものが一つ残らず弾ける。
その瞬間、私は閻火の腕の中にいた。
苦しいほど抱きしめられて、幸せな現実をありありと感じる。
破裂しそうな動悸と心地よさが同時に襲ってきてたまらなかった。
閻火は私の左手を取った。
瞳を逸らさずしてその小指を口元に誘う。
不意に、ちくり、と刺すような痛みが走り、反射的に目を閉じた。
「な、なに……?」
「見てみろ、新しい……いや、これが本物の契約〝指契り〟だ」
おそるおそる瞼を持ち上げ、自身の左手を確認してみる。
小指のつけ根のかすかな傷。それは閻火の牙で咬みつかれた痕だ。
裂け目からこぼれていたのは血液ではなく赤い系。血のような紅色の一筋をたどっていくと、真っ直ぐに伸びた先は閻火の左手小指に繋がっていた。
骨張った長い指の根元には、幾重にも巻かれた糸が埋まるようにして固く結ばれている。
私と閻火の身体が糸を介して通じたのだ。
「たった今俺とお前の命を繋げた。鬼の寿命は長いぞ、覚悟しておけ」
「え……ええ!? そ、そんな、私まだ気持ちも伝えてないのに!」
「口に出さなくてもわかる、顔に書いてあるぞ、この閻火様を愛している、とな」
にっ、と口の両端を上げて笑う。
彼らしい自信に満ちた表情に、肩の力が抜け私まで笑いが込み上げてきた。
「はい……はい、はいはいはい、そうですよその通りです愛してますよ、これでいいですか?」
「投げやりだな、五十点」
「はあー? 告白の採点までするんですか!」
互いに真顔を見合わせたあと、ぷっと吹き出し思いきり笑った。
「これでお前はまごうことなき俺の妻だ、もう絶対逃がさんぞ」
もしかしたら天国に行ったおばあちゃんが、私を心配して閻火と巡り会えるよう祈ってくれたのかもしれない。
ある日突然現れた失礼な鬼は、私のかけがえのないご主人様へと変わった。
恐怖でも悲嘆でもない。歓喜でわななくなんて初めてだった。
「迷惑じゃありませんっ……嬉しいんですよこんちくしょーー!!」
我慢していたものが一つ残らず弾ける。
その瞬間、私は閻火の腕の中にいた。
苦しいほど抱きしめられて、幸せな現実をありありと感じる。
破裂しそうな動悸と心地よさが同時に襲ってきてたまらなかった。
閻火は私の左手を取った。
瞳を逸らさずしてその小指を口元に誘う。
不意に、ちくり、と刺すような痛みが走り、反射的に目を閉じた。
「な、なに……?」
「見てみろ、新しい……いや、これが本物の契約〝指契り〟だ」
おそるおそる瞼を持ち上げ、自身の左手を確認してみる。
小指のつけ根のかすかな傷。それは閻火の牙で咬みつかれた痕だ。
裂け目からこぼれていたのは血液ではなく赤い系。血のような紅色の一筋をたどっていくと、真っ直ぐに伸びた先は閻火の左手小指に繋がっていた。
骨張った長い指の根元には、幾重にも巻かれた糸が埋まるようにして固く結ばれている。
私と閻火の身体が糸を介して通じたのだ。
「たった今俺とお前の命を繋げた。鬼の寿命は長いぞ、覚悟しておけ」
「え……ええ!? そ、そんな、私まだ気持ちも伝えてないのに!」
「口に出さなくてもわかる、顔に書いてあるぞ、この閻火様を愛している、とな」
にっ、と口の両端を上げて笑う。
彼らしい自信に満ちた表情に、肩の力が抜け私まで笑いが込み上げてきた。
「はい……はい、はいはいはい、そうですよその通りです愛してますよ、これでいいですか?」
「投げやりだな、五十点」
「はあー? 告白の採点までするんですか!」
互いに真顔を見合わせたあと、ぷっと吹き出し思いきり笑った。
「これでお前はまごうことなき俺の妻だ、もう絶対逃がさんぞ」
もしかしたら天国に行ったおばあちゃんが、私を心配して閻火と巡り会えるよう祈ってくれたのかもしれない。
ある日突然現れた失礼な鬼は、私のかけがえのないご主人様へと変わった。
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