124 / 158
転機
9
しおりを挟む
「え? え?」と動揺の声を繰り返しながら彼女と葉月ちゃんを交互に見る。
「お母さん、食べる系インフルエンサーなんです。SNSを通じて自分が気に入ったお店の紹介をしてて」
「ええっ、じゃあ昨日葉月ちゃんは知ってて黙ってたの!?」
「それは違うんですよ、実は私もお母さんがどんなふうにお店を回ってるか知らなくて」
驚くべきことに葉月ちゃんも昨日の変質者のような服装をした女性が自分の母親だとは知らなかったらしい。
調査する店や気分に合わせ、時に大和撫子、時にゴスロリ、時に男性のふりまでするのが彼女のこだわりだとか。
なぜそんなことをするのかと聞くと、見た目で差別せず平等な接客をしているか知るためだそうだ。
なにが琴線に触れたのか定かではないけれど、とにかく彼女は私とこの店を気に入り褒め称える感想を書いてくれたようだ。ネット界隈に疎い私は彼女のSNSでの存在感を知る由もなかったけれど、これだけの人数が一気に集まるところを見るとかなり影響力がありそうだ。
「リーフムーンって見聞きしたことないっ? 食事のライターとしてカフェ雑誌とかでもたまに書いてるんだけど」
彼女は周りに聞こえないようにこそっと私に耳打ちした。顔バレを防いでいるようだ。
リーフムーン……そういわれてみればどこかでお目にかかったことがあるような?
その回答はすぐ後ろからやってきた。
「お前が持っていた雑誌に載っていたぞ、俺がフレンチトーストを出した……」
閻火の助言で「ああっ!」とすっきり思い出す。
私がたまに買っていたおしゃれなカフェ雑誌。そこの紹介文を書いている人の名前だったのだ。ついおいしそうな写真にばかり目が行き、文章やライターにまで気が行かなかったのではっきり記憶していなかった。
それを考えると閻火はさすがだ。
そしてそんなに有名な人が葉月ちゃんの母親で私を勧めてくれたなんて、いろんな方向から驚きがあり、嘘のような話だった。
「お母さん、食べる系インフルエンサーなんです。SNSを通じて自分が気に入ったお店の紹介をしてて」
「ええっ、じゃあ昨日葉月ちゃんは知ってて黙ってたの!?」
「それは違うんですよ、実は私もお母さんがどんなふうにお店を回ってるか知らなくて」
驚くべきことに葉月ちゃんも昨日の変質者のような服装をした女性が自分の母親だとは知らなかったらしい。
調査する店や気分に合わせ、時に大和撫子、時にゴスロリ、時に男性のふりまでするのが彼女のこだわりだとか。
なぜそんなことをするのかと聞くと、見た目で差別せず平等な接客をしているか知るためだそうだ。
なにが琴線に触れたのか定かではないけれど、とにかく彼女は私とこの店を気に入り褒め称える感想を書いてくれたようだ。ネット界隈に疎い私は彼女のSNSでの存在感を知る由もなかったけれど、これだけの人数が一気に集まるところを見るとかなり影響力がありそうだ。
「リーフムーンって見聞きしたことないっ? 食事のライターとしてカフェ雑誌とかでもたまに書いてるんだけど」
彼女は周りに聞こえないようにこそっと私に耳打ちした。顔バレを防いでいるようだ。
リーフムーン……そういわれてみればどこかでお目にかかったことがあるような?
その回答はすぐ後ろからやってきた。
「お前が持っていた雑誌に載っていたぞ、俺がフレンチトーストを出した……」
閻火の助言で「ああっ!」とすっきり思い出す。
私がたまに買っていたおしゃれなカフェ雑誌。そこの紹介文を書いている人の名前だったのだ。ついおいしそうな写真にばかり目が行き、文章やライターにまで気が行かなかったのではっきり記憶していなかった。
それを考えると閻火はさすがだ。
そしてそんなに有名な人が葉月ちゃんの母親で私を勧めてくれたなんて、いろんな方向から驚きがあり、嘘のような話だった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
YESか農家
ノイア異音
キャラ文芸
中学1年生の東 伊奈子(あずま いなこ)は、お年玉を全て農機具に投資する変わり者だった。
彼女は多くは語らないが、農作業をするときは饒舌にそして熱く自分の思想を語る。そんな彼女に巻き込まれた僕らの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる