猫の罪深い料理店～迷子さんの拠り所～

お礼

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「きっとワタシなんて、神様の気まぐれで、選ばれただけなんでス、だから、見た目もこんな、適当デ」　　　　

　俯きながら一点を見つめ、呪文のようにぶつぶつ文言を並べる白鳥さん。
　今しがた「似ている」と言われた私からすれば、見た目が適当という部分は複雑に感じたが、確かに他の干支たちの整った容姿に比べると、いじけたくなる気持ちもわからないでもない。

「そんなワタシに、猫様はとても優しく、してくださったのデス」

　そこまで言われて、あっ、と思った。
　白鳥さんが猫宮さんに惹かれた理由、それはあの店に来るお客さんみんなと共通している。そしてそれは、私も例外ではない。

「周りが不気味がってモ、猫様は、普通に接してくれましタ。『お互いはぐれ者同士だね』と笑って……」

　それがいつの話かはわからない。
　けれど、数百、数千年前だとしても、きっと猫宮さんは今と変わらない笑顔で、同じ接客をしていたのだろう。

「……わかる……」

　気づけば私の口からそんな台詞がこぼれていた。
　少しキョトンとして驚いた様子の白鳥さん。
　私は思いきってベッドから降りると、彼女の隣に座り正面から向かい合った。

「猫宮さんって、不思議な力がありますよね……？　なんていうかこう、一緒にいる人を和ませるというか、ほぐすというか……ああ、私は私でいいんだ、って思わせてくれるというか」

　私の言葉に、白鳥さんはハッとしたあと、勢いよく相槌を打った。
　あまりに激しく頭を縦に振るので、細い首が取れそうで怖かった。