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奇妙な仲間たち
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「千鶴の言う通り、鉄は熱いうちに打たねばな。俺の旅館の優待券だ、今度の休日にでも妻を誘って来るがいい。この店の客なら半額にしてやろう」
パッと左隣を見てみると、人差し指で部長を示す牛坐さんがいた。
まさかこの人が助太刀してくれるとは。
そしてその内容からして、未國さんから聞いた情報は正しかったのだとわかる。
「うわっ、い、いいのかい? 牛坐くんの旅館、いつもいっぱいで予約も取れないって有名なのに」
箸を置いて、両手で掴んだ優待券を興奮気味に見つめる部長。
さすが、常連だけあって牛坐さんとも顔見知りらしく、そこにいるのが当然な振る舞いだ。
「……ありがとう、嫁さんもきっと喜ぶ。がんばって誘ってみるよ」
牛坐さんにまで背中を押され、部長は意志を固めたようだった。
初めてデートに誘う中学生を思わせるその姿に、上手くいけばいいのにな、と心の中で応援した。
しかし、人気旅館の主が十二支の一人だったとは。
外泊経験がない私にとっては縁のない世界だが、すごいことくらいわかる。
「本当に旅館の若旦那さん、してるんですね」
「いかにも……なんだ、誰かに聞いたのか?」
「はい、未國さんて方に」
私の物言いに疑問を投げかけた牛坐さんは「ほう」と顎に手を当て感心したふうだった。
「なんだ、羊の奴に会ったのか」
「子々子たちは、ずいぶん前の社員旅行以来会ってないでちね」
未國さんが十二支の一員だと再確認する中、部長だけが穏やかでない目で見てきた。
パッと左隣を見てみると、人差し指で部長を示す牛坐さんがいた。
まさかこの人が助太刀してくれるとは。
そしてその内容からして、未國さんから聞いた情報は正しかったのだとわかる。
「うわっ、い、いいのかい? 牛坐くんの旅館、いつもいっぱいで予約も取れないって有名なのに」
箸を置いて、両手で掴んだ優待券を興奮気味に見つめる部長。
さすが、常連だけあって牛坐さんとも顔見知りらしく、そこにいるのが当然な振る舞いだ。
「……ありがとう、嫁さんもきっと喜ぶ。がんばって誘ってみるよ」
牛坐さんにまで背中を押され、部長は意志を固めたようだった。
初めてデートに誘う中学生を思わせるその姿に、上手くいけばいいのにな、と心の中で応援した。
しかし、人気旅館の主が十二支の一人だったとは。
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「いかにも……なんだ、誰かに聞いたのか?」
「はい、未國さんて方に」
私の物言いに疑問を投げかけた牛坐さんは「ほう」と顎に手を当て感心したふうだった。
「なんだ、羊の奴に会ったのか」
「子々子たちは、ずいぶん前の社員旅行以来会ってないでちね」
未國さんが十二支の一員だと再確認する中、部長だけが穏やかでない目で見てきた。
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