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奇妙な仲間たち

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「あの、他のお客様って、もしかして人間の?」
「もちろんだよ。いつも、ずっと、人間のお客様で満席。心の迷子さんはあとを絶たないからね」

 訝しげな表情をする私に、にっこり微笑む猫宮さん。

「今のちづちゃんなら見えるかもしれないね。食器を拭く提案をしてくれたのは彼なんだ」

 そう言って猫宮さんは私の隣に顔を向けた。
 またおかしなことを。この店には私以外に人間のお客様なんていないのに。
 そう思いながら猫宮さんの視線を追うように、ゆっくりと右隣に頭を傾ける。
 すると視界に映り込んだ人型に、目を見開き、声を失い、さらにはその横顔にビクッと身体を引いて口をぱくぱくさせた。
 涼しげな髪に、肉の落ちた頬、小さな黒目をしたスーツ姿の男性は――。

「――ぶっ……ぶちょおっ!?」

 ようやく戻ってきた力を喉に込めて発声した。
 すると部長は間抜けな顔でこちらを見たかと思うと、私とまったく同じ反応をする。

「うわっ!? す、隅田川くん!? ど、どうしてここに!?」

 それはこちらの台詞だ。
 まさか夢のような空間で、こんな現実味のある人と出くわすとは思わなかった。
 誰もいないはずの場所に人が座っていた驚きと、それが普段身近に接している相手だった衝撃。ここにいると仰天が同時多発する。

「やだなぁ、田崎さんってば、みんな理由は同じじゃないですか」

 優しく伝える猫宮さんに幾分か落ち着きを取り戻したのか、田崎部長は「あ、ああ、そうだったね」と薄い頭皮を指先で掻いた。
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