猫の罪深い料理店～迷子さんの拠り所～

奇妙な仲間たち

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　だからって派遣のあなたが残業しなくたって、と言ったところ、できる時に恩を売っておくと自分が困った時助けてもらえるから、とのことだ。
　専門的な知識はなくとも、できることはある。数少ない派遣同士の仕事に、システムエンジニアやプログラマーの事務処理など。
　これがまた、なかなかの速度で正確にこなすのだ。
　服装や素行を改めれば悪くないと思うし、アイメイクも濃すぎるより今の方がよく見える。
　調子に乗りそうだから絶対口に出して言わないけれど。

「怪しいって、なにが？」
「だってさっきから超時間気にしてるじゃないですか」

　カタカタとキーボードを打ちながら、私の方をチラッと見てまたすぐにディスプレイに戻す。
　黙々と作業しているかと思いきや、私の様子もチェックしていたとは。
　本当は定時から気になっていた。
　まだ早いと思い、仕事に集中しつつも、一段落置きに確認していた。
　六時はまだ余裕があった。
　七時になると、自分でも落ち着きがなくなるのがわかった。
　
「いや……ちょっとね、もう少ししたら帰ろうかなって」

　笹原くんと藤本さんが動きを止めた。
　同じような顔をしてこちらを見ている。
　なに、お化けでも出たの？

「……隅田川課長が、帰宅を待ち侘びているなんて」
「課長が帰りたくてソワついてるなんて絶対変！　なにか悪いものでも食べたんですかっ！？」

　席に戻る途中で青い顔をしながら内股で震える笹原くんに、デスクを叩いて椅子が倒れる勢いで立ち上がる藤本さん。