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奇妙な仲間たち

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「安心してください。万が一セクハラで訴えられたら、ちゃんと私が援護しますから」

 そう言いながら自分の席に腰を下ろすと、部長は少し驚いた表情を私に向けた。

「あ、ああ、そうかい、そりゃあ、頼もしいね」
「奥さんや子供がいたら、面倒に巻き込まれたら大変ですもんね」

 私がパソコンを立ち上げている間、部長はしゃべらなかった。
 なにかを言い淀んでいるようだった。

「まあ……そういう心配はもう、ないんだがね」

 俯いた眼差しに翳りが見える。
 かといってそこを追求するような義理も、気遣いも、勇気もなかった。
 そんな私の心理を知ってか知らずか、部長はパッと顔を上げて明るく振る舞い話を変える。

「しかし、まさか隅田川くんがフォローを入れてくれるとは思わなかったよ」
「……別に、私も直属の上司がセクハラで左遷されたら汚点になるので」
「ええ、まったく、容赦ないな君は」

 苦笑いを浮かべる部長を横目に、私自身も不思議な気持ちでいた。
 今までめくじらを立てて怒っていたことが、なんだかつまらないことに思えてきて。
 だからほんの少しだけ、一息ついて話そう。
 また会えるかもしれない、謎多き猫を思い浮かべて、そう感じただけだ。
 ――なんか、お腹空いてきた。
 猫宮さんと店のことを考えると、急に食欲が湧いてくる。
 夕方四時に差し掛かろうとしている、いつもはこんな半端な時間に食事を摂るなんてしないけれど。
 ――いいでしょう? 少しだけ。
 そんな彼の声が聞こえた気がして、お昼用に持ってきたお弁当を食べることにした。
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