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閑話
箱
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骸:世の中には不思議な箱がある
怪異譚として有名なものはコトリバコだろうね
他に、鬼箱と呼ばれる物もある
僕が以前、関わった血箱という物もあったね
あとは、そのまま『箱』という怪異もある
昔話に箱が登場することもあるね
中にあるのは煙と、どうやって作ったのかな?
それと箱とは違うけど、リンフォンという物もある
まぁ、置物という点においては似ているかもね
さて、箱とは何なのだろうか
モノを入れて保管しておくものか、また別か
呪いを詰めれば、怪異
呪い殺す、老いさせる……種類も豊富だね
想いを詰めれば、タイムカプセルのような
当時のことを追憶し、懐かしむものになる
ははは、これをエモいって言うんだっけ?
装飾が綺麗な箱であれば、置物としても価値がある
箱とは、使いようで姿を変えるものだ
骸:僕は怪異屋
だから、怪異の観点からモノを言えば
箱って使いやすいんだよ
中に詰めて渡せばいいんだからさ
確実性があると思わないかい?
……そうだね
藁人形、解るかな?
藁人形に、呪う相手の髪や血、爪なんかを詰めて
木に五寸釘で打ち付ける
すると、その藁人形が呪う相手の形代になって
釘を打った場所に霊障を引き起こす、アレだよ
他にも条件だったり、世に出てないルールみたいなものも
あるんだけど、それは今話すことじゃないね
……アハハ、そうか、そうだね…
髪や血を詰めるなんて言うと
藁人形も人型の箱なのかな……フフ、面白いね
まぁ、それは置いといて
藁人形の呪いって本当に相手に渡ったのか
明確に解らないと思うんだ
恨みを込めた一発は、本当に呪った相手に向かうのか
その場に相手がいないワケだから
即効性なのかも怪しいからね
その点、箱はいいよね、渡すからさ
郵便で送るのは、解らないかもしれないけど
だったら、手渡しで渡してみたらどうだろう
恨んでる相手っていうのは大抵、顔見知りだろう?
知らない人から貰うわけではないし
少し小綺麗にしておけば、怪しさも消えるんじゃないかな?
あとは観察するだけ
……じゃあ余談はこれくらいにして本題にいこうか
これは、僕も少しだけ知っている程度なんだけど
新生児が生まれると、申請したら貰える箱があるらしいね
都道府県で名称も変わるみたいだけど
中身は新生児用に使える物みたいだね
中身を全て取り出して、新たに詰めることもできる
これはタイムカプセルと同じ機能だね
初めて履いた靴や、着た服
写真や、いろんなモノを詰めて
またいつか想いを馳せる…
親にとっては嬉しいものだろうね
じゃあ、キミが持ってきたソレは
一体、何だろう?
ネットで見つけたんだっけ?
本当、怪異って嫌なところを突くよ
こんなに嬉しい気持ちになる箱をさ
こんな醜悪なモノに変えるなんて……
フフ、だから僕は蒐めたいんだけどね
骸:おわりばこ
対の言葉…じゃあ、言葉からして、死
つまりは、終活用とも捉えられる
中身を取り出して遺したいモノを入れる
終わりなんだから自分が想いを馳せるんじゃなく
遺された人が想いを馳せる箱
まぁ、それはそれで良いものに聞こえるけど
中身は……
アッハハ!凄いね
封筒一つ
ねぇ、これが何かキミに解るかい?
全ての話は繋がってるよ
これはね?呪いだよ
藁人形みたいなものさ
この封筒に入っている紙は
呪物だよ、本物
ここに呪いたい人の名前を書くだけ
じゃあなんで、これがおわりばこなのか
相手を終わらせる為の箱?
そうだね、それも、おわりばこだ
けど違う、違うんだよ
怪異っていうのはもっと怖い
じゃあ、中身の封筒を取り出そう
さぁ、中身は空だね
何を詰める?
空いたのは封筒一つの空間
此処に
何を
詰める?
ある者は、骸の目を見た
そして、ある者は悟った
此処に入れるべきモノは
骸:そう、自分の遺書だ
人を呪わば穴二つ
呪えば呪った者も終わらないとね
これが、おわりばこ
さぁ、どうする?キミはコレを使うのかい?
ある者は箱を骸に託し、去っていく
その顔は、苦悩に満ちた顔をしていた
骸:これだから人間は面白い
ノーリスクで呪えるワケないのにさ
ね?カバネ
そんなもの……怪異じゃないだろう?
あぁ、またお客さんだ
いらっしゃい、次はキミかな?
閑話 箱 終
怪異譚として有名なものはコトリバコだろうね
他に、鬼箱と呼ばれる物もある
僕が以前、関わった血箱という物もあったね
あとは、そのまま『箱』という怪異もある
昔話に箱が登場することもあるね
中にあるのは煙と、どうやって作ったのかな?
それと箱とは違うけど、リンフォンという物もある
まぁ、置物という点においては似ているかもね
さて、箱とは何なのだろうか
モノを入れて保管しておくものか、また別か
呪いを詰めれば、怪異
呪い殺す、老いさせる……種類も豊富だね
想いを詰めれば、タイムカプセルのような
当時のことを追憶し、懐かしむものになる
ははは、これをエモいって言うんだっけ?
装飾が綺麗な箱であれば、置物としても価値がある
箱とは、使いようで姿を変えるものだ
骸:僕は怪異屋
だから、怪異の観点からモノを言えば
箱って使いやすいんだよ
中に詰めて渡せばいいんだからさ
確実性があると思わないかい?
……そうだね
藁人形、解るかな?
藁人形に、呪う相手の髪や血、爪なんかを詰めて
木に五寸釘で打ち付ける
すると、その藁人形が呪う相手の形代になって
釘を打った場所に霊障を引き起こす、アレだよ
他にも条件だったり、世に出てないルールみたいなものも
あるんだけど、それは今話すことじゃないね
……アハハ、そうか、そうだね…
髪や血を詰めるなんて言うと
藁人形も人型の箱なのかな……フフ、面白いね
まぁ、それは置いといて
藁人形の呪いって本当に相手に渡ったのか
明確に解らないと思うんだ
恨みを込めた一発は、本当に呪った相手に向かうのか
その場に相手がいないワケだから
即効性なのかも怪しいからね
その点、箱はいいよね、渡すからさ
郵便で送るのは、解らないかもしれないけど
だったら、手渡しで渡してみたらどうだろう
恨んでる相手っていうのは大抵、顔見知りだろう?
知らない人から貰うわけではないし
少し小綺麗にしておけば、怪しさも消えるんじゃないかな?
あとは観察するだけ
……じゃあ余談はこれくらいにして本題にいこうか
これは、僕も少しだけ知っている程度なんだけど
新生児が生まれると、申請したら貰える箱があるらしいね
都道府県で名称も変わるみたいだけど
中身は新生児用に使える物みたいだね
中身を全て取り出して、新たに詰めることもできる
これはタイムカプセルと同じ機能だね
初めて履いた靴や、着た服
写真や、いろんなモノを詰めて
またいつか想いを馳せる…
親にとっては嬉しいものだろうね
じゃあ、キミが持ってきたソレは
一体、何だろう?
ネットで見つけたんだっけ?
本当、怪異って嫌なところを突くよ
こんなに嬉しい気持ちになる箱をさ
こんな醜悪なモノに変えるなんて……
フフ、だから僕は蒐めたいんだけどね
骸:おわりばこ
対の言葉…じゃあ、言葉からして、死
つまりは、終活用とも捉えられる
中身を取り出して遺したいモノを入れる
終わりなんだから自分が想いを馳せるんじゃなく
遺された人が想いを馳せる箱
まぁ、それはそれで良いものに聞こえるけど
中身は……
アッハハ!凄いね
封筒一つ
ねぇ、これが何かキミに解るかい?
全ての話は繋がってるよ
これはね?呪いだよ
藁人形みたいなものさ
この封筒に入っている紙は
呪物だよ、本物
ここに呪いたい人の名前を書くだけ
じゃあなんで、これがおわりばこなのか
相手を終わらせる為の箱?
そうだね、それも、おわりばこだ
けど違う、違うんだよ
怪異っていうのはもっと怖い
じゃあ、中身の封筒を取り出そう
さぁ、中身は空だね
何を詰める?
空いたのは封筒一つの空間
此処に
何を
詰める?
ある者は、骸の目を見た
そして、ある者は悟った
此処に入れるべきモノは
骸:そう、自分の遺書だ
人を呪わば穴二つ
呪えば呪った者も終わらないとね
これが、おわりばこ
さぁ、どうする?キミはコレを使うのかい?
ある者は箱を骸に託し、去っていく
その顔は、苦悩に満ちた顔をしていた
骸:これだから人間は面白い
ノーリスクで呪えるワケないのにさ
ね?カバネ
そんなもの……怪異じゃないだろう?
あぁ、またお客さんだ
いらっしゃい、次はキミかな?
閑話 箱 終
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