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間章
幾星霜 凪
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狐:『幾星霜を越え 今を生きる』
『それは 人だけでは ない』
『どこまで越えれば いいのだろうか』
【間】
子供達が遊ぶ姿 何か歌を歌い、輪を作っている
それを見つめる、一つの影
狐:(人間は無邪気に笑う
何が楽しいのやら、全く解らない
弱くて、脆くて、そして……
業の塊のクセに……)
紅:あ!
狐:(チッ…)
人に見つかり、山へ消える狐
紅:待って!……行っちゃった
友達から何かあったのか声が掛かる
紅:ううん、なんでもない
ねぇ、次は川に行こう!
狐:……
(フン…)
別の日
また子供達が遊ぶ姿を見る狐
狐:(本当、飽きないね……)
紅:やっぱり、見てる?
狐:!?
(人間!?なんで……気配が全然……)
紅:えへへ、分からなかった?
私ね、得意なの
狐:……
(逃げよう、コイツ変だ)
紅:あ!待って!行かないで!
狐:ッ…
(はぁー…)
チ、近…寄ル……ナ…!
紅:えっ
狐:帰エ……レ!!
紅:喋っ……た…?
狐は山へ逃げていく
紅:あ!……守り神様…?
【間】
狐:ハァ…ハァ…
(クソ、咄嗟に言葉を使ってしまった
……もう、此処にも居られない、か)
野槌:ふふふ、ふふふ
狐:っ!?
(あれは……)
野槌:美味そう、美味そう
稀有な血を持っている
あれは、身隠し
どうして、中々……
狐:(身隠し……?)
っ!!
(まさか……!)
野槌の前へ姿を現す狐
狐:ヤメ、ロ
野槌:……
野槌の口が開き、気味悪く笑う
野槌:百年狐ェ……
そうか、この山
先住がいたのか
狐:ニンゲ…ンニ、近ヅクナ
野槌:尾が一本……惜しい、惜しい
狐:(なんだ……こいつ…
なんで流暢に言葉を使えるんだ…?)
野槌:人を喰った、いっぱい喰った
人を喰えば、強くなる
狐:(コイツ、人食いを!?
元は小動物しか食べない妖怪のはず)
野槌:人を喰えば、言葉を奪えた
百年狐、お前はまだ百年しか生きてないない
惜しい、惜しい
あと八百年生きて喰えば
さぞ……美味いんだろうなァ
狐:フザケルナ!!!
野槌:ふふふ、ふふふ
怖くない、怖くない
狐:(殺す……!!)
野槌:人を見守っていた
気まぐれ
お前に使命はない筈
情が出たのか、妖怪が
ふふふ、ふふふ
それは、それで……滑稽
狐:!!!
野槌へ飛びかかる
野槌:!?ぎゃっあ!
狐:ナメ、ルナ
野槌:アァァア!
尾を振り回す野槌、そして
狐:!?ギャッ
(しまっ……た…)
野槌:痛い、痛い痛い
許さない、ふふふ、ふふふ
許さない
ブツブツと言葉を発しながら山奥へ消えていく野槌
狐:(くっ……駄目だ、動けない…)
紅:あ!
狐:!?
紅:待って!手当するからウチに来て!
狐:(……あー…クソ…)
気を失う、狐
紅:急いで帰るから!頑張って!
守り神様!!
【間】
狐:(……うっ…此処、は…)
紅:あ!守り神様!
気がついたんですね!
狐:(守り神…?)
チガ、ウ
守リ神ジャ、ナイ……
紅:いいえ!私は聞いたことがあるの
お母様とお父様が言ってた
あの山には守り神様がいて
悪いものから私たちを守ってくれているって
その姿は、動物……狐の姿をしているって
狐:(そんな話、聞いたこともない
人間が勝手に話しているだけだ)
違ウ
紅:……だから、あの山は狐山って呼ばれてる
狐:……
(確かに、そう呼ばれているのは知っている
だけど、それは多分……もっと昔の
先住の狐たちのことだろう……)
紅:それでね、守り神…
狐:……?
紅:私のお父様とお母様は
流行病で死んじゃったんだ
狐:っ…
紅:今はね、近くの人たちが
よく見に来てくれる
だけど、この家には私しかいないから
よければ此処に住みませんか!
まだ怪我してる、だから良くなるまで
狐:(……人間と…住む……それは……)
紅:私、みんなには言わないです!
守り神様のこと、絶対!
狐:(この子は、恐ろしくないのだろうか
言葉を扱う狐なんて…)
解ッ……タ
紅:わあ!やったー!
狐:……
(傷が癒えるまで、そう
それまでだ……)
狐:(今思えば、この時が運命の別れ道だった
正解は何だったんだろう
間違いは何だったんだろう
考えても考えても答えは出ない
例え……何百年考えても……)
【間】
4年後ーーー。
狐:紅!
紅:お帰りなさい!守り神様
だけど、まだご飯の時間じゃないよ
狐:分かってるよ、そんなこと
お前、弥二郎と
紅:あら、耳が早いこと!
流石は守り神様ね
狐:……どうして、言ってくれなかったの
紅:まだ正式に決まった訳じゃないから
それに、守り神様に心配してほしくなくて
狐:喜ばしいことじゃないか!
待ってて!お祝いをしよう!
紅:ちょ!守り神様!?
……ふふっ
狐:(あの娘、紅と会ってから四年が過ぎた
傷が癒えるまでと、自分に言い聞かせ
いつの間にか、家族のように
……出ていくことが出来なくなっていた
今まで山で独りだったが
紅と暮らすことで言葉も難なく扱えるようになった)
狐が村を一人、歩いている時、村人たちから噂話を耳にする
紅が、弥二郎ともうすぐ結婚するだろう
といった噂話だった
狐:(その話を聞いた時、嬉しかった
家族を早くに亡くした紅に、家族ができることが
……浮かれていた)
野槌:ふふふ、ふふふ
狐:(だから、アイツの気配に……気づかなかった)
【間】
紅:ありがとう、守り神様
狐:山の幸くらいしか贈れるものはないけれど
紅:ううん、十分
それに、誰が贈ってくれたか、が重要なの
狐:……そっか、そうだね
紅:……私ね、守り神様と暮らせて良かった
狐:特別なことは何もしてない
紅:ううん
早くに両親を亡くして寂しくなかったって言うのは
嘘になるくらいには、あの時の私は寂しかった
みんなの前では隠してたけどね
みんな、良くしてくれていたし
友達もずっと遊んでくれてた
狐:……
紅:だけど、みんなには帰る家があって
待っている人がいるから
私は、家があっても空のまま
狐:紅……
紅:だから、守り神様が来てくれてからは
家に帰るのが楽しくなった
寂しくて泣いていた心がね?
穏やかに、澄み渡るように……
昔、両親と見た海辺の朝凪のような
狐:そんな事を言ってくれた人はいなかった
紅:え?
狐:ずっと独りだった
前に話した通り、百年は生きた
移り住んで、時には人に畏れられたりもした
紅が思う守り神ではないけど、この山に、この地に来て
紅に出会えて良かった
紅:……っ…
ごめんなさい!
狐:?どうしたの?
紅:私、私は……
この家を……
狐:……分かってるよ
弥二郎の家に行くんだよね
気にする事じゃ無い
それは、喜ばしい事なんだ
大丈夫、独りでいいんだ
あるべき姿に戻るだけ
紅:そんな…そんな寂しい事言わないで……
狐:守り神ではなけれど
紅:……
狐:君を、君の家族を守る
例え、この家に居なくても、この地には残るから
いつでも、いつまでも君を守るよ
紅:っ……うん……うん……
狐:食べよう、紅
今日は、お祝いだ
そしてーー
狐:じゃあ、紅…幸せに
紅:あの時、涙が枯れるほどに泣いたと思ったけど
やっぱり、止まらないな…
狐:駄目だよ
今日は幸せな日なんだ
笑って
紅:……うん!
狐:それに、この地に残るって決めたんだ
また会えるよ
紅:そうよね!うん、最後の別れじゃないんだもんね
狐:うん、だから
紅:うん、行ってきます!
紅を見送る狐
狐:……元気で
………ッ!?アレは…!
野槌:やっと、やっと
ふふふ、ふふふ
稀有な血、傷は癒えた、癒えた
狐:まさか……
まだあの山に隠れていたのか!
紅…ッッ!!
野槌:あーーーー
臭い、臭い臭い臭い
身隠しの匂いに紛れて人の匂いがする
あァ、お前……人と関わり過ぎたな
狐:何でまだ此処にいる
この地から消えろ
野槌:ふふふ、ふふふ
お前の山じゃないだろうに
聞く訳がない
しかし、流石は百年狐
受けた傷が中々癒えない
こんなに寝たのは久方ぶりだった
狐:人間に手を出すな!
何なんだお前は!
野槌:流暢に喋る
いいなァ、いいなァ
それは出来なかった
だから、喰べた、喰べたらできた
だから、喰べる、喰べればできる
狐:……
野槌:邪魔するならお前も喰べる
百年狐、お前を喰べたら何が出来る?
ただ、美味いだけでもいい
お前は許さない、許さない
いつかは喰べる
狐:クソ!話にならない!
守るって約束したんだ
お前は使命は無いって言った
今ならある
だから!お前は行かせない!
野槌:百年狐、何が出来る
お前は百年、赤子赤子
狐:ッ…
(確かに百年そこらしか生きていない
何百年と生きていればそれなりに
コイツを殺せる筈なのに……だけど)
神通力くらいなら!
狐は、長い年月を生きていた
その中で、神通力を得ることができた
その力を感じ取る野槌
野槌:人間と過ごして成長した?
何故?蓋があった?解らない
おかしい、おかしい
いい、いい
ふふふ、ふふふ
お前から喰えば、解る
狐:紅を…あの子を守る為なら!
死んでもいい、だから…だから!
“オ前ハ、死ネ!”
その発せられた言葉には呪いが込められていた
神通力の力で野槌に言葉を浴びせる
野槌:ッ!?ギャッア!!
ァ、ア!痛い、痛い……
中身が……中身が!!!
苦しみ、悶えて、そして静かになった野槌
狐:……ハァ…ハァ…
ゴハッ…
まだ、慣れていないのか、自分の呪いの力の反動により、吐血する狐
狐:紅……紅…
守れた、君を、ぼ
野槌:赦さない
狐:く……ァ…ガッ……
狐の胴体に野槌の尾が刺さり、貫く
野槌:痛い、赦さない、痛い、赦さない
休まなくては、また、また……
ぐったりと、身体を引き摺り山へ消える野槌
狐:ハァ…ハァ…あの身体じゃ……長くは…
幾つか、壊せた……だから…
守れた……守れたんだ……
だから、だから……
紅、紅………君は、君は……
【間】
狐:(僕は霊体になった
今まで解らなかったことが大体理解できた
僕は、長寿で百年狐と言われる狐で
千年生きれば九尾の狐に似た大妖怪になれるほどの狐だった
そして、死んだ今
格を持つほどの霊体になった)
狐:これは……ははっ、地縛霊みたいだ
未練は無い…筈だったのに…
いや、使命がある
僕は紅を、紅の家族を守るんだ
この地で、いつまでも
あはは!本当に守り神になった気分だよ、紅
【間】
そして、また月日は流れーー
紅:アナタが産まれたら
聞かせてあげなくちゃね、守り神様のこと
狐:何年も会ってないのに
まだ僕のこと、覚えててくれてるんだね
こんなに近くにいるのに、今もう……
山を見上げ、語りかける紅
紅:ふふ、なんでかな?
最近、守り神様が近くにいる様な気がする
……あの山の何処にいるのかな……
狐:……紅
おめでとう、家族が増えて僕も嬉しいよ
もう、会えないけど、ちゃんと見てるから
………なんで……なんで!!!
紅の後ろに影が見えた
それは、忌々しいモノの姿だった
野槌:ふふふ、ふふふ
赦さない、と言った
死なない限り、赦さない
それが大切なんだろう?
霊体になったのなら、死んだということ
ふふふ、ふふふ
勝った、勝った
色々喰った、治った、早かった、だから来た
狐:巫山戯るな!!
野槌に気づく紅
紅:な、何……あれ…
狐:紅!?
お前ェ!!
野槌:喰べる、喰べる
お前、守れるかな?
紅:嫌……嫌…
狐:(アイツが紅に近づく前に殺す!)
狐は守るように、そして殺すために飛びかかる
しかし、野槌の口が不気味に開く
野槌:かかった……
そしてーー
狐:えっ……
な、なん……で……
野槌:喰った、霊を喰える口を得た
だから、お前も喰える
ふふふ、ふふふふふふ
狐:うっ…あっ……
野槌:赦さない、赦さない
次は、アレ
狐:やめ……ろ……
紅:来ないで!来ないで!!
野槌:ふふふ、ふふふ
紅:……守り神様……!!
狐:!!……そうだ、僕には
使命が…あるんだ……!
だかッら!お前だけは!!
野槌:何故、お前は……何故
何度も、何度も
何故
狐の神通力は、霊体になったことで更に強力になっていた
それは、念じるだけで相手に呪いを与えるまでに
そして、狐の神通力で倒れる野槌
紅:えっ……
狐:はぁ…はぁ…紅……
紅:もしかして……守り神様…?
紅には狐は見えていなかったが、確かに何かを感じ取っていた
狐:っ!……うん、僕だよ
ちゃんと、約束守ってるから
紅:ありがとう、守り神さッ
狐:えっ
野槌:赦さない、ふふふ
もう喰うのはいい、喰わない
お前の心を壊したい
どうせ死ぬ、なら、こうすればいい
ふふふ、ふふふ、ふふふ……
野槌の尾が紅を貫く、そして
不気味に笑いながら野槌は死んだ
狐:紅ーーー!!!
紅:ハァ…ハァ……
狐:嘘、だ……嘘だ、嘘だ!
紅:守り神……様…?
死期が近いのか、狐の姿が見えるようになっていた
狐:っ!?なん…で
紅:私……
狐:喋らないで!
紅:守ってくれたのに…私…
狐:違う!違うんだ!僕が……僕が…
紅:約束……守ってくれて……ありがとう……
狐:嫌だ……嫌だ!紅!君はまだ生きて
生きて、生きて生きて!幸せに!
紅:最期に……守り神様に会えて……
…………良かった……
狐:あっ…あぁ……あぁぁあぁあ!!
【間】
狐:(紅が死んで僕の使命は消えた
消えて縛りが無くなった
だけど、僕はこの地から離れられなかった)
狐:奇跡だ……あぁ、あぁ……
(紅は死んだ、その事実は変わらない
だけど、子供は助かった
早産だった…しかし、子供は生きた)
狐:………さよなら、紅
(使命を全う出来ず、何も守れなかった
だから、僕は……この地を離れた)
【間】
狐:(独り、もう、それでいい
長い年月を、独り永遠に
それが、僕の業だ)
現在ーー
紅:守り神様
狐:!?
……なんだ、今の…
(あれから何百年と経っても
忘れることのできない、業)
紅:守り神様!助けて!
狐:紅……?
ある家、窓から中を覗く狐
狐:紅……?紅!!!
茜:はっ!…はぁ…はぁ…だ…め、ダメだ…
あ、あれ…見ちゃいけないやつだ…
尾先さんが言ってた…本能が教えてくれてる
身体が…重い…動けない…
見たらダメ、考えちゃダメ…だけど…見たい
知りたい、見たい、理解シたい、知ってル、みタい
見なキゃ、見なイと…
狐:違う、紅じゃない……だけど、あれは…
茜:クダ様が…助けてくれて
狐:なんだ、コイツ…狐、それもあれは……
この子も……
狐:生まれ変わり?それとも子孫……
確かに、紅は子を産めた
子は生きていた……
この子は、紅の……
茜:…凪…あなたの名前、凪でいい?
狐:な……ぎ…
茜:凪に助けてもらった時、頭の中がぐちゃぐちゃで
私、どうなってたのかも分からなくて
ただ、鈴の音が聞こえた時だけ
頭の中がスッキリして、澄み渡ってたような
そんな気がして
狐:あぁ……そうか、そうなんだ……
紅:家に帰るのが楽しくなった
寂しくて泣いていた心がね?
穏やかに、澄み渡るように……
昔、両親と見た海辺の朝凪のような
狐:僕に凪の名を与えた……
君は、君は……
…………そうだ、僕は守り神だ
凪、僕は凪
凪:僕の使命は紅が教えてくれた
そして、僕が約束した
意味のなかった僕に意味を
君が……茜が与えてくれた
だから…次は、必ず
僕は君を守り続ける
玉は割れ、砕け消える
茜:えっ!?
凪:……これは…
茜:凪!お帰り!
凪:茜……
紅:(お帰りなさい!守り神様!)
凪:……ただいま、茜
【間】
凪:『幾星霜を越え 今を生きる』
『それは 人だけでは ない』
『どこまで越えれば いいのだろうか』
『どこまで越えれば 僕は赦されるのだろうか』
『赦されなくていい 背負い続ける』
『何度、星が流れても 僕は 君を』
凪:茜
茜:ん?どうしたの?
凪:ううん、なんでもない
(僕は、君を守り続ける)
【間】
茜:凪
凪:どうしたの?
茜:私ね、尾先さんに言わなきゃいけないことがあるの
凪:っ……知ってるよ
茜:凪が戻ってきてくれて、力が湧いてきた…
って言うのかな?なんだか今なら話せる気がして
凪:気のせいじゃないの?
茜:ううん、だから凪
一緒に来て
凪:茜の頼みじゃ断れないよ
茜:凪にもちゃんと聞いて欲しいから
凪:……うん、分かった
大丈夫、僕が憑いてる
茜:ふふ、そうだね
私の守り神様だからね
凪:……ははっ!うん!
幾星霜 凪 終
『それは 人だけでは ない』
『どこまで越えれば いいのだろうか』
【間】
子供達が遊ぶ姿 何か歌を歌い、輪を作っている
それを見つめる、一つの影
狐:(人間は無邪気に笑う
何が楽しいのやら、全く解らない
弱くて、脆くて、そして……
業の塊のクセに……)
紅:あ!
狐:(チッ…)
人に見つかり、山へ消える狐
紅:待って!……行っちゃった
友達から何かあったのか声が掛かる
紅:ううん、なんでもない
ねぇ、次は川に行こう!
狐:……
(フン…)
別の日
また子供達が遊ぶ姿を見る狐
狐:(本当、飽きないね……)
紅:やっぱり、見てる?
狐:!?
(人間!?なんで……気配が全然……)
紅:えへへ、分からなかった?
私ね、得意なの
狐:……
(逃げよう、コイツ変だ)
紅:あ!待って!行かないで!
狐:ッ…
(はぁー…)
チ、近…寄ル……ナ…!
紅:えっ
狐:帰エ……レ!!
紅:喋っ……た…?
狐は山へ逃げていく
紅:あ!……守り神様…?
【間】
狐:ハァ…ハァ…
(クソ、咄嗟に言葉を使ってしまった
……もう、此処にも居られない、か)
野槌:ふふふ、ふふふ
狐:っ!?
(あれは……)
野槌:美味そう、美味そう
稀有な血を持っている
あれは、身隠し
どうして、中々……
狐:(身隠し……?)
っ!!
(まさか……!)
野槌の前へ姿を現す狐
狐:ヤメ、ロ
野槌:……
野槌の口が開き、気味悪く笑う
野槌:百年狐ェ……
そうか、この山
先住がいたのか
狐:ニンゲ…ンニ、近ヅクナ
野槌:尾が一本……惜しい、惜しい
狐:(なんだ……こいつ…
なんで流暢に言葉を使えるんだ…?)
野槌:人を喰った、いっぱい喰った
人を喰えば、強くなる
狐:(コイツ、人食いを!?
元は小動物しか食べない妖怪のはず)
野槌:人を喰えば、言葉を奪えた
百年狐、お前はまだ百年しか生きてないない
惜しい、惜しい
あと八百年生きて喰えば
さぞ……美味いんだろうなァ
狐:フザケルナ!!!
野槌:ふふふ、ふふふ
怖くない、怖くない
狐:(殺す……!!)
野槌:人を見守っていた
気まぐれ
お前に使命はない筈
情が出たのか、妖怪が
ふふふ、ふふふ
それは、それで……滑稽
狐:!!!
野槌へ飛びかかる
野槌:!?ぎゃっあ!
狐:ナメ、ルナ
野槌:アァァア!
尾を振り回す野槌、そして
狐:!?ギャッ
(しまっ……た…)
野槌:痛い、痛い痛い
許さない、ふふふ、ふふふ
許さない
ブツブツと言葉を発しながら山奥へ消えていく野槌
狐:(くっ……駄目だ、動けない…)
紅:あ!
狐:!?
紅:待って!手当するからウチに来て!
狐:(……あー…クソ…)
気を失う、狐
紅:急いで帰るから!頑張って!
守り神様!!
【間】
狐:(……うっ…此処、は…)
紅:あ!守り神様!
気がついたんですね!
狐:(守り神…?)
チガ、ウ
守リ神ジャ、ナイ……
紅:いいえ!私は聞いたことがあるの
お母様とお父様が言ってた
あの山には守り神様がいて
悪いものから私たちを守ってくれているって
その姿は、動物……狐の姿をしているって
狐:(そんな話、聞いたこともない
人間が勝手に話しているだけだ)
違ウ
紅:……だから、あの山は狐山って呼ばれてる
狐:……
(確かに、そう呼ばれているのは知っている
だけど、それは多分……もっと昔の
先住の狐たちのことだろう……)
紅:それでね、守り神…
狐:……?
紅:私のお父様とお母様は
流行病で死んじゃったんだ
狐:っ…
紅:今はね、近くの人たちが
よく見に来てくれる
だけど、この家には私しかいないから
よければ此処に住みませんか!
まだ怪我してる、だから良くなるまで
狐:(……人間と…住む……それは……)
紅:私、みんなには言わないです!
守り神様のこと、絶対!
狐:(この子は、恐ろしくないのだろうか
言葉を扱う狐なんて…)
解ッ……タ
紅:わあ!やったー!
狐:……
(傷が癒えるまで、そう
それまでだ……)
狐:(今思えば、この時が運命の別れ道だった
正解は何だったんだろう
間違いは何だったんだろう
考えても考えても答えは出ない
例え……何百年考えても……)
【間】
4年後ーーー。
狐:紅!
紅:お帰りなさい!守り神様
だけど、まだご飯の時間じゃないよ
狐:分かってるよ、そんなこと
お前、弥二郎と
紅:あら、耳が早いこと!
流石は守り神様ね
狐:……どうして、言ってくれなかったの
紅:まだ正式に決まった訳じゃないから
それに、守り神様に心配してほしくなくて
狐:喜ばしいことじゃないか!
待ってて!お祝いをしよう!
紅:ちょ!守り神様!?
……ふふっ
狐:(あの娘、紅と会ってから四年が過ぎた
傷が癒えるまでと、自分に言い聞かせ
いつの間にか、家族のように
……出ていくことが出来なくなっていた
今まで山で独りだったが
紅と暮らすことで言葉も難なく扱えるようになった)
狐が村を一人、歩いている時、村人たちから噂話を耳にする
紅が、弥二郎ともうすぐ結婚するだろう
といった噂話だった
狐:(その話を聞いた時、嬉しかった
家族を早くに亡くした紅に、家族ができることが
……浮かれていた)
野槌:ふふふ、ふふふ
狐:(だから、アイツの気配に……気づかなかった)
【間】
紅:ありがとう、守り神様
狐:山の幸くらいしか贈れるものはないけれど
紅:ううん、十分
それに、誰が贈ってくれたか、が重要なの
狐:……そっか、そうだね
紅:……私ね、守り神様と暮らせて良かった
狐:特別なことは何もしてない
紅:ううん
早くに両親を亡くして寂しくなかったって言うのは
嘘になるくらいには、あの時の私は寂しかった
みんなの前では隠してたけどね
みんな、良くしてくれていたし
友達もずっと遊んでくれてた
狐:……
紅:だけど、みんなには帰る家があって
待っている人がいるから
私は、家があっても空のまま
狐:紅……
紅:だから、守り神様が来てくれてからは
家に帰るのが楽しくなった
寂しくて泣いていた心がね?
穏やかに、澄み渡るように……
昔、両親と見た海辺の朝凪のような
狐:そんな事を言ってくれた人はいなかった
紅:え?
狐:ずっと独りだった
前に話した通り、百年は生きた
移り住んで、時には人に畏れられたりもした
紅が思う守り神ではないけど、この山に、この地に来て
紅に出会えて良かった
紅:……っ…
ごめんなさい!
狐:?どうしたの?
紅:私、私は……
この家を……
狐:……分かってるよ
弥二郎の家に行くんだよね
気にする事じゃ無い
それは、喜ばしい事なんだ
大丈夫、独りでいいんだ
あるべき姿に戻るだけ
紅:そんな…そんな寂しい事言わないで……
狐:守り神ではなけれど
紅:……
狐:君を、君の家族を守る
例え、この家に居なくても、この地には残るから
いつでも、いつまでも君を守るよ
紅:っ……うん……うん……
狐:食べよう、紅
今日は、お祝いだ
そしてーー
狐:じゃあ、紅…幸せに
紅:あの時、涙が枯れるほどに泣いたと思ったけど
やっぱり、止まらないな…
狐:駄目だよ
今日は幸せな日なんだ
笑って
紅:……うん!
狐:それに、この地に残るって決めたんだ
また会えるよ
紅:そうよね!うん、最後の別れじゃないんだもんね
狐:うん、だから
紅:うん、行ってきます!
紅を見送る狐
狐:……元気で
………ッ!?アレは…!
野槌:やっと、やっと
ふふふ、ふふふ
稀有な血、傷は癒えた、癒えた
狐:まさか……
まだあの山に隠れていたのか!
紅…ッッ!!
野槌:あーーーー
臭い、臭い臭い臭い
身隠しの匂いに紛れて人の匂いがする
あァ、お前……人と関わり過ぎたな
狐:何でまだ此処にいる
この地から消えろ
野槌:ふふふ、ふふふ
お前の山じゃないだろうに
聞く訳がない
しかし、流石は百年狐
受けた傷が中々癒えない
こんなに寝たのは久方ぶりだった
狐:人間に手を出すな!
何なんだお前は!
野槌:流暢に喋る
いいなァ、いいなァ
それは出来なかった
だから、喰べた、喰べたらできた
だから、喰べる、喰べればできる
狐:……
野槌:邪魔するならお前も喰べる
百年狐、お前を喰べたら何が出来る?
ただ、美味いだけでもいい
お前は許さない、許さない
いつかは喰べる
狐:クソ!話にならない!
守るって約束したんだ
お前は使命は無いって言った
今ならある
だから!お前は行かせない!
野槌:百年狐、何が出来る
お前は百年、赤子赤子
狐:ッ…
(確かに百年そこらしか生きていない
何百年と生きていればそれなりに
コイツを殺せる筈なのに……だけど)
神通力くらいなら!
狐は、長い年月を生きていた
その中で、神通力を得ることができた
その力を感じ取る野槌
野槌:人間と過ごして成長した?
何故?蓋があった?解らない
おかしい、おかしい
いい、いい
ふふふ、ふふふ
お前から喰えば、解る
狐:紅を…あの子を守る為なら!
死んでもいい、だから…だから!
“オ前ハ、死ネ!”
その発せられた言葉には呪いが込められていた
神通力の力で野槌に言葉を浴びせる
野槌:ッ!?ギャッア!!
ァ、ア!痛い、痛い……
中身が……中身が!!!
苦しみ、悶えて、そして静かになった野槌
狐:……ハァ…ハァ…
ゴハッ…
まだ、慣れていないのか、自分の呪いの力の反動により、吐血する狐
狐:紅……紅…
守れた、君を、ぼ
野槌:赦さない
狐:く……ァ…ガッ……
狐の胴体に野槌の尾が刺さり、貫く
野槌:痛い、赦さない、痛い、赦さない
休まなくては、また、また……
ぐったりと、身体を引き摺り山へ消える野槌
狐:ハァ…ハァ…あの身体じゃ……長くは…
幾つか、壊せた……だから…
守れた……守れたんだ……
だから、だから……
紅、紅………君は、君は……
【間】
狐:(僕は霊体になった
今まで解らなかったことが大体理解できた
僕は、長寿で百年狐と言われる狐で
千年生きれば九尾の狐に似た大妖怪になれるほどの狐だった
そして、死んだ今
格を持つほどの霊体になった)
狐:これは……ははっ、地縛霊みたいだ
未練は無い…筈だったのに…
いや、使命がある
僕は紅を、紅の家族を守るんだ
この地で、いつまでも
あはは!本当に守り神になった気分だよ、紅
【間】
そして、また月日は流れーー
紅:アナタが産まれたら
聞かせてあげなくちゃね、守り神様のこと
狐:何年も会ってないのに
まだ僕のこと、覚えててくれてるんだね
こんなに近くにいるのに、今もう……
山を見上げ、語りかける紅
紅:ふふ、なんでかな?
最近、守り神様が近くにいる様な気がする
……あの山の何処にいるのかな……
狐:……紅
おめでとう、家族が増えて僕も嬉しいよ
もう、会えないけど、ちゃんと見てるから
………なんで……なんで!!!
紅の後ろに影が見えた
それは、忌々しいモノの姿だった
野槌:ふふふ、ふふふ
赦さない、と言った
死なない限り、赦さない
それが大切なんだろう?
霊体になったのなら、死んだということ
ふふふ、ふふふ
勝った、勝った
色々喰った、治った、早かった、だから来た
狐:巫山戯るな!!
野槌に気づく紅
紅:な、何……あれ…
狐:紅!?
お前ェ!!
野槌:喰べる、喰べる
お前、守れるかな?
紅:嫌……嫌…
狐:(アイツが紅に近づく前に殺す!)
狐は守るように、そして殺すために飛びかかる
しかし、野槌の口が不気味に開く
野槌:かかった……
そしてーー
狐:えっ……
な、なん……で……
野槌:喰った、霊を喰える口を得た
だから、お前も喰える
ふふふ、ふふふふふふ
狐:うっ…あっ……
野槌:赦さない、赦さない
次は、アレ
狐:やめ……ろ……
紅:来ないで!来ないで!!
野槌:ふふふ、ふふふ
紅:……守り神様……!!
狐:!!……そうだ、僕には
使命が…あるんだ……!
だかッら!お前だけは!!
野槌:何故、お前は……何故
何度も、何度も
何故
狐の神通力は、霊体になったことで更に強力になっていた
それは、念じるだけで相手に呪いを与えるまでに
そして、狐の神通力で倒れる野槌
紅:えっ……
狐:はぁ…はぁ…紅……
紅:もしかして……守り神様…?
紅には狐は見えていなかったが、確かに何かを感じ取っていた
狐:っ!……うん、僕だよ
ちゃんと、約束守ってるから
紅:ありがとう、守り神さッ
狐:えっ
野槌:赦さない、ふふふ
もう喰うのはいい、喰わない
お前の心を壊したい
どうせ死ぬ、なら、こうすればいい
ふふふ、ふふふ、ふふふ……
野槌の尾が紅を貫く、そして
不気味に笑いながら野槌は死んだ
狐:紅ーーー!!!
紅:ハァ…ハァ……
狐:嘘、だ……嘘だ、嘘だ!
紅:守り神……様…?
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狐:っ!?なん…で
紅:私……
狐:喋らないで!
紅:守ってくれたのに…私…
狐:違う!違うんだ!僕が……僕が…
紅:約束……守ってくれて……ありがとう……
狐:嫌だ……嫌だ!紅!君はまだ生きて
生きて、生きて生きて!幸せに!
紅:最期に……守り神様に会えて……
…………良かった……
狐:あっ…あぁ……あぁぁあぁあ!!
【間】
狐:(紅が死んで僕の使命は消えた
消えて縛りが無くなった
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狐:奇跡だ……あぁ、あぁ……
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【間】
狐:(独り、もう、それでいい
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それが、僕の業だ)
現在ーー
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狐:!?
……なんだ、今の…
(あれから何百年と経っても
忘れることのできない、業)
紅:守り神様!助けて!
狐:紅……?
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狐:紅……?紅!!!
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身体が…重い…動けない…
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知りたい、見たい、理解シたい、知ってル、みタい
見なキゃ、見なイと…
狐:違う、紅じゃない……だけど、あれは…
茜:クダ様が…助けてくれて
狐:なんだ、コイツ…狐、それもあれは……
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子は生きていた……
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狐:な……ぎ…
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狐:あぁ……そうか、そうなんだ……
紅:家に帰るのが楽しくなった
寂しくて泣いていた心がね?
穏やかに、澄み渡るように……
昔、両親と見た海辺の朝凪のような
狐:僕に凪の名を与えた……
君は、君は……
…………そうだ、僕は守り神だ
凪、僕は凪
凪:僕の使命は紅が教えてくれた
そして、僕が約束した
意味のなかった僕に意味を
君が……茜が与えてくれた
だから…次は、必ず
僕は君を守り続ける
玉は割れ、砕け消える
茜:えっ!?
凪:……これは…
茜:凪!お帰り!
凪:茜……
紅:(お帰りなさい!守り神様!)
凪:……ただいま、茜
【間】
凪:『幾星霜を越え 今を生きる』
『それは 人だけでは ない』
『どこまで越えれば いいのだろうか』
『どこまで越えれば 僕は赦されるのだろうか』
『赦されなくていい 背負い続ける』
『何度、星が流れても 僕は 君を』
凪:茜
茜:ん?どうしたの?
凪:ううん、なんでもない
(僕は、君を守り続ける)
【間】
茜:凪
凪:どうしたの?
茜:私ね、尾先さんに言わなきゃいけないことがあるの
凪:っ……知ってるよ
茜:凪が戻ってきてくれて、力が湧いてきた…
って言うのかな?なんだか今なら話せる気がして
凪:気のせいじゃないの?
茜:ううん、だから凪
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凪:茜の頼みじゃ断れないよ
茜:凪にもちゃんと聞いて欲しいから
凪:……うん、分かった
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茜:ふふ、そうだね
私の守り神様だからね
凪:……ははっ!うん!
幾星霜 凪 終
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