13 / 24
僕の母様と父様
13.お荷物だけは勘弁
しおりを挟む
結局母様は噂に聞いてた黒龍の神子様で間違いは無いけれども、噂に聞いた話はどれも嘘で、母様が森の奥で討伐で魔力を使い切ってしまって倒れた所に、愛馬のピグが迎えに来た。そして母様は何ヶ月もの間目が覚めず、その間に真実を知らない人達が勝手に母様を勝手に黒龍の神子様にした、ということかな。
母様は黒龍には会ってもないし見てもいないって言うけど、黒髪でヒト族で、伝説の物語に出てくる容姿と同じだし、黒龍の神子様にされても仕方の無いことだったのかも知れない。
でも実際に黒竜を見た人はいるって話だし、うーん、噂の全部が嘘だとは信じ難いんだよね。
でも、父様も母様もお祖母様までそうだと言うんだから、きっと世間的にはその通りなのだろう。
そして更に聞いた話だと、ミッキィもエディスもアランも、他にも数名志願して騎士団を辞めて新興貴族の母様に着いてきたらしい。
安定した職を捨ててまで着いて行きたいって事だよね。
母様ってやっぱり凄い人なんだなぁと思う。
あと吃驚したのがルナが剣術を覚えたいと言ったこと。
いや、正確に剣術やりたいとは言ってないけど、レオンみたいに強くなりたいって事はそういう事だよね。ルナが剣を振り回して魔獣や魔物を討伐、もしくは危険な人から護衛対象を守る、うーん、例えルナが成人した後だとしてもにぃにはちょっとだけ複雑だ。
食休みの後、母様はお祖母様を連れて領内の案内に出掛けた。
今母様たちは領地の温泉を観光地にする為に急ピッチで工事をしてるらしい。温泉っていうのが地下から湧き出る暖かいお湯らしくて、それが健康に良くて、それに浸かる大きなお風呂場みたいな物を作って、それを売りにするみたい。
母様の説明をそのまま覚えて復唱しただけだけど、自分で言っててよく分かんない。
そもそもなんでお湯が地下から湧き出るのか、なんで健康に良いのか、全部がさっぱりだ。
今度エディスが図解してくれるらしい。
多分母様よりも理解できると思う。だって母様言葉足りないんだもの。
「この木はですね、ガイウス様が首都の教会から頂いてきた種を育てたものなんですよ。」
敷地内の入り口に近い所に植えられた木をエディスが説明してくれている。
「なんで首都の教会から?」
「なんでも、ずっと花を付けてなかった木で、ええーと、女神様が瀕死の黒竜に分け与えた実がなる木?らしいですよ。」
エディスの説明に「そうなんだ」と相槌を打つ。
「あれ?でも花を付けなかったら種も出来ないですよね?これどうして?」
「それがですね!ガイウス様が木に魔力を奉納したその年に花を咲かせて実を付けたんですよ!これはその種を育てたものなんです!」
「え、母様やっぱり神子様じゃん。」
僕の感想にエディスはスススっと僕に寄ってきて耳打ちした。
「ガイウス様は黒龍に会ってないって仰いますけどね、実際には会ってたんじゃないかって僕を含めて思ってる人は結構居ますよ。」
「あー、僕も正直思ってる。」
「だって花も実も付けたところを見たことがない木がガイウス様が魔力を奉納したその年に、花も実も付けちゃうなんて、絶対良い意味で普通じゃないですもん!」
「かーさますごーい!」
「うん、凄いね。」
黒龍に会ったかどうかは別として、その出来事がもう黒龍の神子様じゃないか。
「母様やっぱり伝説級の人。」
「ですよね!僕もそう思います。」
ポツリと言った言葉もエディスはきちんと拾ってくれる。
「そういえば母様って騎士団長だったんだよね?エディスから見てどんな団長だったの?」
僕から見た母様は、突拍子もなくて言葉が足りなくて、でも自信たっぷりで頼れる母様だけど、職を捨ててまで着いてきた人にとってはもっと凄い人かもしれない、と思って聞いてみた。
「そうですね、事務仕事が嫌でいつも逃げ出しましたね。」
「え!?」
「正式に参加申請を出した体験会に副団長から却下されて、内緒で無理やり参加したりとか。」
「それいいんですか!?」
「良くないですね。あとは、年末年始の祭りの警備でいつもイカ焼きを美味しく食べてたりとか。」
「警備中に!?」
「皆さんそれなりに楽しみながら警備してるんですけどね~。」
「まさかの規定内行動?」
「食べないと働けないですから。あとは、あー、入団初年度の年末警備で悪い奴らを足止めしようとして凍らせちゃったとか。」
「凍ら?え?」
「はい、僕はまだ入団していないんですけどお陰で1人も残さず捕まえられたそうです。足切断者が出ましたが。」
「ひぇっ。」
「ビッグベアーも1人で倒せてそれがまたかっこよくて!」
「え、嘘っ。」
「ビッグベアーのお肉って食べれるんですよ!知ってました?」
「知らない!」
「それを教えてくれたのもガイウス様なんですよ!」
「そうなの!?」
「あとは連続勤務日数更新中に討伐隊に参加してなんか隊員に抱えられて帰団したりとか。」
「母様休もう!?」
「まだまだ他にも伝説残してるんですけど、そろそろ、教会の方が来る時間なので戻りましょうか。」
「はいっ、うぅ、緊張してきた。」
「あっという間に終わるので大丈夫です。」
午前中にエディスがやる事で呟いていた事の1つ、僕たちの魔力鑑定だ。
僕は村で魔力を使う生活をしてこなかったから、どんな属性かも全く予想がつかない。
世の中には生きるのに最低限の魔力量だけで全く外に放出できない人もいるって聞いたし。
せめて、せめて父様と母様のお荷物になるような鑑定結果だけにはなりませんように!
母様は黒龍には会ってもないし見てもいないって言うけど、黒髪でヒト族で、伝説の物語に出てくる容姿と同じだし、黒龍の神子様にされても仕方の無いことだったのかも知れない。
でも実際に黒竜を見た人はいるって話だし、うーん、噂の全部が嘘だとは信じ難いんだよね。
でも、父様も母様もお祖母様までそうだと言うんだから、きっと世間的にはその通りなのだろう。
そして更に聞いた話だと、ミッキィもエディスもアランも、他にも数名志願して騎士団を辞めて新興貴族の母様に着いてきたらしい。
安定した職を捨ててまで着いて行きたいって事だよね。
母様ってやっぱり凄い人なんだなぁと思う。
あと吃驚したのがルナが剣術を覚えたいと言ったこと。
いや、正確に剣術やりたいとは言ってないけど、レオンみたいに強くなりたいって事はそういう事だよね。ルナが剣を振り回して魔獣や魔物を討伐、もしくは危険な人から護衛対象を守る、うーん、例えルナが成人した後だとしてもにぃにはちょっとだけ複雑だ。
食休みの後、母様はお祖母様を連れて領内の案内に出掛けた。
今母様たちは領地の温泉を観光地にする為に急ピッチで工事をしてるらしい。温泉っていうのが地下から湧き出る暖かいお湯らしくて、それが健康に良くて、それに浸かる大きなお風呂場みたいな物を作って、それを売りにするみたい。
母様の説明をそのまま覚えて復唱しただけだけど、自分で言っててよく分かんない。
そもそもなんでお湯が地下から湧き出るのか、なんで健康に良いのか、全部がさっぱりだ。
今度エディスが図解してくれるらしい。
多分母様よりも理解できると思う。だって母様言葉足りないんだもの。
「この木はですね、ガイウス様が首都の教会から頂いてきた種を育てたものなんですよ。」
敷地内の入り口に近い所に植えられた木をエディスが説明してくれている。
「なんで首都の教会から?」
「なんでも、ずっと花を付けてなかった木で、ええーと、女神様が瀕死の黒竜に分け与えた実がなる木?らしいですよ。」
エディスの説明に「そうなんだ」と相槌を打つ。
「あれ?でも花を付けなかったら種も出来ないですよね?これどうして?」
「それがですね!ガイウス様が木に魔力を奉納したその年に花を咲かせて実を付けたんですよ!これはその種を育てたものなんです!」
「え、母様やっぱり神子様じゃん。」
僕の感想にエディスはスススっと僕に寄ってきて耳打ちした。
「ガイウス様は黒龍に会ってないって仰いますけどね、実際には会ってたんじゃないかって僕を含めて思ってる人は結構居ますよ。」
「あー、僕も正直思ってる。」
「だって花も実も付けたところを見たことがない木がガイウス様が魔力を奉納したその年に、花も実も付けちゃうなんて、絶対良い意味で普通じゃないですもん!」
「かーさますごーい!」
「うん、凄いね。」
黒龍に会ったかどうかは別として、その出来事がもう黒龍の神子様じゃないか。
「母様やっぱり伝説級の人。」
「ですよね!僕もそう思います。」
ポツリと言った言葉もエディスはきちんと拾ってくれる。
「そういえば母様って騎士団長だったんだよね?エディスから見てどんな団長だったの?」
僕から見た母様は、突拍子もなくて言葉が足りなくて、でも自信たっぷりで頼れる母様だけど、職を捨ててまで着いてきた人にとってはもっと凄い人かもしれない、と思って聞いてみた。
「そうですね、事務仕事が嫌でいつも逃げ出しましたね。」
「え!?」
「正式に参加申請を出した体験会に副団長から却下されて、内緒で無理やり参加したりとか。」
「それいいんですか!?」
「良くないですね。あとは、年末年始の祭りの警備でいつもイカ焼きを美味しく食べてたりとか。」
「警備中に!?」
「皆さんそれなりに楽しみながら警備してるんですけどね~。」
「まさかの規定内行動?」
「食べないと働けないですから。あとは、あー、入団初年度の年末警備で悪い奴らを足止めしようとして凍らせちゃったとか。」
「凍ら?え?」
「はい、僕はまだ入団していないんですけどお陰で1人も残さず捕まえられたそうです。足切断者が出ましたが。」
「ひぇっ。」
「ビッグベアーも1人で倒せてそれがまたかっこよくて!」
「え、嘘っ。」
「ビッグベアーのお肉って食べれるんですよ!知ってました?」
「知らない!」
「それを教えてくれたのもガイウス様なんですよ!」
「そうなの!?」
「あとは連続勤務日数更新中に討伐隊に参加してなんか隊員に抱えられて帰団したりとか。」
「母様休もう!?」
「まだまだ他にも伝説残してるんですけど、そろそろ、教会の方が来る時間なので戻りましょうか。」
「はいっ、うぅ、緊張してきた。」
「あっという間に終わるので大丈夫です。」
午前中にエディスがやる事で呟いていた事の1つ、僕たちの魔力鑑定だ。
僕は村で魔力を使う生活をしてこなかったから、どんな属性かも全く予想がつかない。
世の中には生きるのに最低限の魔力量だけで全く外に放出できない人もいるって聞いたし。
せめて、せめて父様と母様のお荷物になるような鑑定結果だけにはなりませんように!
0
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
【R18】満たされぬ俺の番はイケメン獣人だった
佐伯亜美
BL
この世界は獣人と人間が共生している。
それ以外は現実と大きな違いがない世界の片隅で起きたラブストーリー。
その見た目から女性に不自由することのない人生を歩んできた俺は、今日も満たされぬ心を埋めようと行きずりの恋に身を投じていた。
その帰り道、今月から部下となったイケメン狼族のシモンと出会う。
「なんで……嘘つくんですか?」
今まで誰にも話したことの無い俺の秘密を見透かしたように言うシモンと、俺は身体を重ねることになった。
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
【完結】召喚された勇者は贄として、魔王に美味しく頂かれました
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
BL
美しき異形の魔王×勇者の名目で召喚された生贄、執着激しいヤンデレの愛の行方は?
最初から贄として召喚するなんて、ひどいんじゃないか?
人生に何の不満もなく生きてきた俺は、突然異世界に召喚された。
よくある話なのか? 正直帰りたい。勇者として呼ばれたのに、碌な装備もないまま魔王を鎮める贄として差し出され、美味しく頂かれてしまった。美しい異形の魔王はなぜか俺に執着し、閉じ込めて溺愛し始める。ひたすら優しい魔王に、徐々に俺も絆されていく。もういっか、帰れなくても……。
ハッピーエンド確定
※は性的描写あり
【完結】2021/10/31
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、エブリスタ
2021/10/03 エブリスタ、BLカテゴリー 1位
モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。
ぼくは男なのにイケメンの獣人から愛されてヤバい!!【完結】
ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。
雪狐 氷の王子は番の黒豹騎士に溺愛される
Noah
BL
【祝・書籍化!!!】令和3年5月11日(木)
読者の皆様のおかげです。ありがとうございます!!
黒猫を庇って派手に死んだら、白いふわもこに転生していた。
死を望むほど過酷な奴隷からスタートの異世界生活。
闇オークションで競り落とされてから獣人の国の王族の養子に。
そこから都合良く幸せになれるはずも無く、様々な問題がショタ(のちに美青年)に降り注ぐ。
BLよりもファンタジー色の方が濃くなってしまいましたが、最後に何とかBLできました(?)…
連載は令和2年12月13日(日)に完結致しました。
拙い部分の目立つ作品ですが、楽しんで頂けたなら幸いです。
Noah
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる