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僕の母様と父様
9.大人の夜は長いのです
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「しかし、意外とイルが面倒見てるね?俺に反対はしなかったけど、てっきり遠くから眺めて見てるだけかと思ってた。」
俺はイルの膝の間で彼に寄りかかって本音をぶつけた。
「いや、あのねぇ。まぁ俺も正直最初はガイがまた突拍子も無いこと言い始めたとは思ったよ。」
「またって何?」
イルの聞き捨てならない言葉に抗議をあげたが、彼は無視して続きを話し始めた。
「ビビっと!とか分からないよ、分かるわけないでしょ。でもあの兄弟見てたらなんか放っておけないというか、なんというか。まぁ別にガイが声を上げなければそのままにしていたとは思うけど。」
「まぁ、放っておけないのは他の人たちもだよ。運良く奴隷にはならなかったけど、でも孤児院じゃなぁ、何かこう、もっと希望というか、とにかく腐らないようにだけはね、なって欲しいかな。」
「それはそうだね。治安の関係にも直結するしね。」
「そうだよね。…あーあ、2人とも早く元気にならないかなぁ~。」
ソラとルナの2人は今朝、体調を崩した。
無理もない、奴隷商に運ばれてる間はまともなご飯なんて無かっただろうに、常に馬車に揺られているのだ。
暗い中で、手足を拘束されて、目隠しもされて。
体力とメンタルはボロボロだったはずだ。
夜と朝の2回、栄養たっぷりのスープを飲ませたって、すぐに元気になるわけが無いのだ。
きっと孤児院に置いてきた子達も今頃体調を崩しているだろう。
それにあの2人には馬の早駆けも体験させてしまっているし、それはただただごめんとしか言いようがないけども、熱だけでも早く下がらないかなと思う。
「ああー、俺も様子見に行きたかったぁあ!」
「え、朝行ってたよね?」
「朝だけだし、でもそれも2人が起きる前だったしぃぃいい!」
「あー、残念だったね。」
「しかもイルはちゃっかり行ってるし!なんでなの!?」
「それは、俺が子供の頃、風邪をひいたとき一人だったから。何もしなくても父上とか兄上でもいいからそばに居てくれたらなって記憶があったからね。彼らがどうかは分からないけれど、まぁ少し手隙の時に覗いて少しだけ居てあげただけだよ。」
「なるほど。イルも大変だったねぇ。」
後ろに居るイルの頭を撫でようと手を伸ばしたが、上手く届かずその手にちゅっとキスを落とされた。
「ところでガイ。ビビっと来たのはルナの方?」
「え、違うよ、ソラだよ。」
「ん?その割には随分ルナの事可愛がってない?」
「だって、だってルナは可愛い!なんか分かんないけどあの子は絶対俺の腕を噛まないっていう確信があってさ、月みたいな綺麗な髪色にさ、青鈍って言うのかな?一見あまり綺麗に見えない灰色混じりの青でさ、けどよくよく見ると瞳に綺麗な青色が混じってて引き込まれるっていうか、とにかく彼は美人になるよね!そして今はとにかく可愛い!だからついつい抱っこして構っちゃう!」
「ああ、まぁ、美人系統だよね、ルナは。でも、彼のためにも抱っこ抱っこはダメだからね?いつしかのお義父さんと同じだよそれじゃ。」
「あ。」
そういえば、俺も義父様にめっちゃ抱っこされてる時期があって、それを見つかった義母様に俺の為にならないって毎回怒られてたな。
「うんわかった、ルナのためにも抱っこじゃない方法を考える。」
「そうだね、それがいいよ。」
「ふふふっ。イルが俺よりも2人の事考えてくれて嬉しいなぁ。」
俺よりもしっかりパパをやってくれてるイルに微笑ましい気持ちで胸がいっぱいになる。
「まぁ、ガイ1人に任せてたら取り返しのつかないところまでいっちゃいそうだしね。」
「待ってなんの話し?」
待て待て本当に何の話だ。
「で?ソラのどんなとこにビビっと来たの?」
俺の疑問はスルーされて少しムッとしながらも、優しい俺は答えてあげる。
「んーとね、こいつ大物になるなっていうか、孤児院に放して腐らせるの勿体ないというか、リンクス領を良い方向に持っていってくれそうっていうか、なんかそういう感じのね、言葉にしづらいけど絶対養子に迎えても損しないぜやっちゃえよ!みたいなのがビビビー!!!っと雷みたいにね?」
「あ、ごめん全く分からないや。」
「でーすーよーねー!!!」
そんな事だろうとは思ってましたさ、でも別に良いのだ、直感っていうのは本人にしか分からないものだもの!!
「だから、だからねイル。俺はソラが何かやりたいって事があったら気持ちよく応援したいと思ってるんだけど。」
「うん、そうだね。やりたい意欲は大事だし育ててあげたいね。」
「ね!!」
その時調度良いタイミングで部屋に控えてた人がお風呂の準備が出来たと伝えてくれる。
「よし、じゃぁお風呂入ろうか。昨日はドタバタしてて温泉堪能できなかったしね。」
そう、昨日は結局引き継ぎやら色々ごちゃごちゃしてゆっくり温泉に入れなかった。
「そうだ!温泉!早く入ろう!」
「その後は、俺たちの子供を作る予行演習だね?」
「・・・え?」
大人の夜はまだまだこれからみたいだ。
俺はイルの膝の間で彼に寄りかかって本音をぶつけた。
「いや、あのねぇ。まぁ俺も正直最初はガイがまた突拍子も無いこと言い始めたとは思ったよ。」
「またって何?」
イルの聞き捨てならない言葉に抗議をあげたが、彼は無視して続きを話し始めた。
「ビビっと!とか分からないよ、分かるわけないでしょ。でもあの兄弟見てたらなんか放っておけないというか、なんというか。まぁ別にガイが声を上げなければそのままにしていたとは思うけど。」
「まぁ、放っておけないのは他の人たちもだよ。運良く奴隷にはならなかったけど、でも孤児院じゃなぁ、何かこう、もっと希望というか、とにかく腐らないようにだけはね、なって欲しいかな。」
「それはそうだね。治安の関係にも直結するしね。」
「そうだよね。…あーあ、2人とも早く元気にならないかなぁ~。」
ソラとルナの2人は今朝、体調を崩した。
無理もない、奴隷商に運ばれてる間はまともなご飯なんて無かっただろうに、常に馬車に揺られているのだ。
暗い中で、手足を拘束されて、目隠しもされて。
体力とメンタルはボロボロだったはずだ。
夜と朝の2回、栄養たっぷりのスープを飲ませたって、すぐに元気になるわけが無いのだ。
きっと孤児院に置いてきた子達も今頃体調を崩しているだろう。
それにあの2人には馬の早駆けも体験させてしまっているし、それはただただごめんとしか言いようがないけども、熱だけでも早く下がらないかなと思う。
「ああー、俺も様子見に行きたかったぁあ!」
「え、朝行ってたよね?」
「朝だけだし、でもそれも2人が起きる前だったしぃぃいい!」
「あー、残念だったね。」
「しかもイルはちゃっかり行ってるし!なんでなの!?」
「それは、俺が子供の頃、風邪をひいたとき一人だったから。何もしなくても父上とか兄上でもいいからそばに居てくれたらなって記憶があったからね。彼らがどうかは分からないけれど、まぁ少し手隙の時に覗いて少しだけ居てあげただけだよ。」
「なるほど。イルも大変だったねぇ。」
後ろに居るイルの頭を撫でようと手を伸ばしたが、上手く届かずその手にちゅっとキスを落とされた。
「ところでガイ。ビビっと来たのはルナの方?」
「え、違うよ、ソラだよ。」
「ん?その割には随分ルナの事可愛がってない?」
「だって、だってルナは可愛い!なんか分かんないけどあの子は絶対俺の腕を噛まないっていう確信があってさ、月みたいな綺麗な髪色にさ、青鈍って言うのかな?一見あまり綺麗に見えない灰色混じりの青でさ、けどよくよく見ると瞳に綺麗な青色が混じってて引き込まれるっていうか、とにかく彼は美人になるよね!そして今はとにかく可愛い!だからついつい抱っこして構っちゃう!」
「ああ、まぁ、美人系統だよね、ルナは。でも、彼のためにも抱っこ抱っこはダメだからね?いつしかのお義父さんと同じだよそれじゃ。」
「あ。」
そういえば、俺も義父様にめっちゃ抱っこされてる時期があって、それを見つかった義母様に俺の為にならないって毎回怒られてたな。
「うんわかった、ルナのためにも抱っこじゃない方法を考える。」
「そうだね、それがいいよ。」
「ふふふっ。イルが俺よりも2人の事考えてくれて嬉しいなぁ。」
俺よりもしっかりパパをやってくれてるイルに微笑ましい気持ちで胸がいっぱいになる。
「まぁ、ガイ1人に任せてたら取り返しのつかないところまでいっちゃいそうだしね。」
「待ってなんの話し?」
待て待て本当に何の話だ。
「で?ソラのどんなとこにビビっと来たの?」
俺の疑問はスルーされて少しムッとしながらも、優しい俺は答えてあげる。
「んーとね、こいつ大物になるなっていうか、孤児院に放して腐らせるの勿体ないというか、リンクス領を良い方向に持っていってくれそうっていうか、なんかそういう感じのね、言葉にしづらいけど絶対養子に迎えても損しないぜやっちゃえよ!みたいなのがビビビー!!!っと雷みたいにね?」
「あ、ごめん全く分からないや。」
「でーすーよーねー!!!」
そんな事だろうとは思ってましたさ、でも別に良いのだ、直感っていうのは本人にしか分からないものだもの!!
「だから、だからねイル。俺はソラが何かやりたいって事があったら気持ちよく応援したいと思ってるんだけど。」
「うん、そうだね。やりたい意欲は大事だし育ててあげたいね。」
「ね!!」
その時調度良いタイミングで部屋に控えてた人がお風呂の準備が出来たと伝えてくれる。
「よし、じゃぁお風呂入ろうか。昨日はドタバタしてて温泉堪能できなかったしね。」
そう、昨日は結局引き継ぎやら色々ごちゃごちゃしてゆっくり温泉に入れなかった。
「そうだ!温泉!早く入ろう!」
「その後は、俺たちの子供を作る予行演習だね?」
「・・・え?」
大人の夜はまだまだこれからみたいだ。
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