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14.呪いの公爵家
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「ふむ、やはりどれも丈は良いのだが、身幅がな。よし、これとこれとそこのやつ今少し詰めれるか?」
「「「はい!」」」
僕は今、ブレアと使用人3人の前でファッションショーをさせられている。
ブレアは僕の服の確認に行ったのではなくて、自分がサイズアウトした服、俗に言うお古を持ってきたのだ。
ルーランが「恋人には自分の服を着せたがるものなんですよ。彼シャツと言うやつですね!」と言われたけど全くもって理解できない。っていうか彼シャツって何。
使用人の方たちは、さささっと余裕のありすぎた肩幅や身幅を詰めていき、あっという間に僕にピッタリのサイズにしてしまった。
「すごい。そういう職の人みたい。」
「お褒めに預かり光栄ですわ。」
僕がぼそっと呟いた言葉に笑顔で返事をしてくれる。こういう所もプロなんだよね、すごい。
幾つか僕のサイズに合わせてくれた洋服のうち、ブレアの好みでシンプルな白いシャツに濃いめの紫のボタンベスト、シックな濃い灰色のパンツになった。
「僕、ブレアの服ちゃんと着れてる?服に着せられてる状態じゃないよね?大丈夫かな?」
「うむ、大丈夫だ。これはこれで私は嬉しいが、今度きちんと新しいの仕立てような。」
「え、でも僕お仕事らしいお仕事してないのに、申し訳な、」
「大丈夫だ、ちゃんと当初提示した仕事を立派に熟しているぞ?」
「え、何かお仕事貰ったっけ?」
「まずお風呂のお供だろ?それから夜のお供だろ?」
「あー!!!」
そうでしたね!それが最初に貰ったお仕事でした!!
まだ部屋にいる使用人達に聞かれたくなくて大きな声でブレアの言葉に被せたつもりだったけど、効果が無かったようで皆さんニコニコと僕たちの会話を聞いている。
恥ずかしいからやめてよもう!!!
「では、私たちはこれで失礼致します。」
「「失礼致します。」」
と一部始終を微笑ましく見守っていた使用人達は声を揃えて退室して行った。ドアが閉まる直前に「仲が良すぎるわぁ」というような声が聞こえた気がしたけど気の所為と思うことにした。
部屋に残ったのはブレアと僕と、着なかった残りの服をまとめて片付けようとしているルーラン。
「さて、今日のスケジュールだが、」
「はいっ。」
今日は何をするのかな?っとワクワクしながらブレアの方を向く。
「っと、その前に、」
ちゅっ。
「へ?」
今、僕の唇にブレアの唇が触れた?
フレンチキスっていうやつ?
反応出来ずにぽけっとしていると、ブレアは更に顔中の至る所に唇を触れてきた。
「ちょちょ、ちょっと待ってブレア!」
「ん?どうした?」
どうした?じゃないよ!
ムスッとしながら「今日の!スケジュール!」と先を促した。
ルーランが服をまとめて僕の部屋に持って戻っていく際に「キーリー様愛されてるー。」と言われたのは聞こえないふりをした。
「そうだな、ちょっと急な書類仕事があってだな。それの手伝いをして欲しい。簡単な読み書き計算は出来るのだろう?」
「合点承知!ブレアは執務室持ってるの?」
「ああ。気に入ってくれると嬉しいが。」
「っすごい楽しみ!早く行こう!」
軽く軽食を取って向かったブレアの執務室は、艶のあるダークブラウンの家具で統一された、それはそれは素晴らしい執務室だった。
待ってこんなの、絵本に出てくる公爵様の執務室じゃない!?素敵すぎるよ。
「ちょっとおじさん臭いかな?」
僕が部屋を見て固まってしまったからか、不安げな声を出すブレア。
「えっ、全然!?むしろ昔読んだ絵本に出てくる公爵様の執務室みたい!」
10代の執務室にしては大人びすぎてる気がするけど、っていうかそもそも10代で執務室って凄くない?
「見ていい?見ていい?」
「ああ。ここは昨日の叔父さんの使ってた執務室をそのまま譲り受けたんだ。だから俺にしては大人びた執務室なんだ。」
「へー、そうなんだぁ。あれ、僕この本のタイトルと全く同じ絵本読んだことあるよ。」
僕が背伸びしても上まで手が届かない大きな本棚の中に懐かしいタイトルを見つけた。でも、僕が読んだことあるのはこんなにしっかりした本じゃなくて、絵が多くて文字も少ない、目の前にある本の半分の厚さもない子供向けの絵本だ。
「お、キーリーは"呪いの公爵家"を知っているのか。これは元々絵本ではなくてな、原作を読んだ人が子供にも素晴らしい物語を、と絵本にして広めたんだ。絵本の方が有名になってしまったが、元は目の前にある本が最初だぞ。」
「へー、そうだったんだぁ。あ、ねぇこれ僕読んでみたい!読んでいい?」
「ああ、もちろんだ。もし難しいところがあれば教えてやろう。ただし、」
「ただし?」
「今日のお仕事を終えてからな?」
「イエッサー!」
僕は元いた国の国境の門番の兵士の如く、握った右手を左肩に置いて、よく聞いていた門番の兵士の返事を口にした。
ブレアから与えられた仕事は、とある地域の収穫量と出荷量、消費量などの資料を見て提出された在庫と計算した在庫に差異が無いか確認する仕事だった。
こういうの得意なんだよね~と思いながらサクサクと進めていたら、僕の計算の速さにブレアが驚いていてちょっといい気持ちだった。
ふふん、僕ね計算は得意なんだよ!
「「「はい!」」」
僕は今、ブレアと使用人3人の前でファッションショーをさせられている。
ブレアは僕の服の確認に行ったのではなくて、自分がサイズアウトした服、俗に言うお古を持ってきたのだ。
ルーランが「恋人には自分の服を着せたがるものなんですよ。彼シャツと言うやつですね!」と言われたけど全くもって理解できない。っていうか彼シャツって何。
使用人の方たちは、さささっと余裕のありすぎた肩幅や身幅を詰めていき、あっという間に僕にピッタリのサイズにしてしまった。
「すごい。そういう職の人みたい。」
「お褒めに預かり光栄ですわ。」
僕がぼそっと呟いた言葉に笑顔で返事をしてくれる。こういう所もプロなんだよね、すごい。
幾つか僕のサイズに合わせてくれた洋服のうち、ブレアの好みでシンプルな白いシャツに濃いめの紫のボタンベスト、シックな濃い灰色のパンツになった。
「僕、ブレアの服ちゃんと着れてる?服に着せられてる状態じゃないよね?大丈夫かな?」
「うむ、大丈夫だ。これはこれで私は嬉しいが、今度きちんと新しいの仕立てような。」
「え、でも僕お仕事らしいお仕事してないのに、申し訳な、」
「大丈夫だ、ちゃんと当初提示した仕事を立派に熟しているぞ?」
「え、何かお仕事貰ったっけ?」
「まずお風呂のお供だろ?それから夜のお供だろ?」
「あー!!!」
そうでしたね!それが最初に貰ったお仕事でした!!
まだ部屋にいる使用人達に聞かれたくなくて大きな声でブレアの言葉に被せたつもりだったけど、効果が無かったようで皆さんニコニコと僕たちの会話を聞いている。
恥ずかしいからやめてよもう!!!
「では、私たちはこれで失礼致します。」
「「失礼致します。」」
と一部始終を微笑ましく見守っていた使用人達は声を揃えて退室して行った。ドアが閉まる直前に「仲が良すぎるわぁ」というような声が聞こえた気がしたけど気の所為と思うことにした。
部屋に残ったのはブレアと僕と、着なかった残りの服をまとめて片付けようとしているルーラン。
「さて、今日のスケジュールだが、」
「はいっ。」
今日は何をするのかな?っとワクワクしながらブレアの方を向く。
「っと、その前に、」
ちゅっ。
「へ?」
今、僕の唇にブレアの唇が触れた?
フレンチキスっていうやつ?
反応出来ずにぽけっとしていると、ブレアは更に顔中の至る所に唇を触れてきた。
「ちょちょ、ちょっと待ってブレア!」
「ん?どうした?」
どうした?じゃないよ!
ムスッとしながら「今日の!スケジュール!」と先を促した。
ルーランが服をまとめて僕の部屋に持って戻っていく際に「キーリー様愛されてるー。」と言われたのは聞こえないふりをした。
「そうだな、ちょっと急な書類仕事があってだな。それの手伝いをして欲しい。簡単な読み書き計算は出来るのだろう?」
「合点承知!ブレアは執務室持ってるの?」
「ああ。気に入ってくれると嬉しいが。」
「っすごい楽しみ!早く行こう!」
軽く軽食を取って向かったブレアの執務室は、艶のあるダークブラウンの家具で統一された、それはそれは素晴らしい執務室だった。
待ってこんなの、絵本に出てくる公爵様の執務室じゃない!?素敵すぎるよ。
「ちょっとおじさん臭いかな?」
僕が部屋を見て固まってしまったからか、不安げな声を出すブレア。
「えっ、全然!?むしろ昔読んだ絵本に出てくる公爵様の執務室みたい!」
10代の執務室にしては大人びすぎてる気がするけど、っていうかそもそも10代で執務室って凄くない?
「見ていい?見ていい?」
「ああ。ここは昨日の叔父さんの使ってた執務室をそのまま譲り受けたんだ。だから俺にしては大人びた執務室なんだ。」
「へー、そうなんだぁ。あれ、僕この本のタイトルと全く同じ絵本読んだことあるよ。」
僕が背伸びしても上まで手が届かない大きな本棚の中に懐かしいタイトルを見つけた。でも、僕が読んだことあるのはこんなにしっかりした本じゃなくて、絵が多くて文字も少ない、目の前にある本の半分の厚さもない子供向けの絵本だ。
「お、キーリーは"呪いの公爵家"を知っているのか。これは元々絵本ではなくてな、原作を読んだ人が子供にも素晴らしい物語を、と絵本にして広めたんだ。絵本の方が有名になってしまったが、元は目の前にある本が最初だぞ。」
「へー、そうだったんだぁ。あ、ねぇこれ僕読んでみたい!読んでいい?」
「ああ、もちろんだ。もし難しいところがあれば教えてやろう。ただし、」
「ただし?」
「今日のお仕事を終えてからな?」
「イエッサー!」
僕は元いた国の国境の門番の兵士の如く、握った右手を左肩に置いて、よく聞いていた門番の兵士の返事を口にした。
ブレアから与えられた仕事は、とある地域の収穫量と出荷量、消費量などの資料を見て提出された在庫と計算した在庫に差異が無いか確認する仕事だった。
こういうの得意なんだよね~と思いながらサクサクと進めていたら、僕の計算の速さにブレアが驚いていてちょっといい気持ちだった。
ふふん、僕ね計算は得意なんだよ!
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