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4.お貴族様のダイニングルーム
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「凄い、豪華・・・。」
ブレア様に食堂に案内されて、食事よりも前に食堂の装飾に目が行ってしまった。
噂で聞いていた、お貴族様の細長いテーブル。に掛かっている真っ白いクロス。床は一面真っ赤な絨毯。見た目も素敵な座るところがふわふわ仕様の椅子。天井を見上げれば、豪華なシャンデリア。
まるで何処かの絵本に出てくるような素敵な食堂。
「お貴族様のダイニングルームだ。」
そう、それはまるで子供の頃に読んだ本に出てくる”お貴族様のダイニングルーム”のイメージにピッタリだった。
あれはどんな内容の本だったっけ。
景色の描写がとても豊かで繊細で綺麗な本だったけれど、内容は綺麗では無かったような気がする。
詳しくは覚えてないけれど。
「おぅ、知らなかったのか?私はモラレス子爵家の次男坊、歴としたお貴族様ってやつなんだぜ?」
「そうでした!忘れてました!」
わーっと拍手でブレア様を持ち上げると、大袈裟に片膝をついてで僕の手を握った。
「こちらへどうぞ?」
僕の目を見て柔和に微笑むその姿に不覚にもドキッとさせられてしまう。
イケメンは何をしても様になるから毒だよもぉ~。
いや待て自分。ルーランに伴侶の意味は確認したけれど、ルーランの出身も僕と同じ国のはず。もしかしたら、意味が変わってくる可能性もあるかもしれない!
ブレア様は慣れた手つきで僕をイスまで案内してくれた。
席に着くとテーブルの上には食べたことの無い豪華な食事がズラリ。これ絶対二人分じゃない。いや、ブレア様がもしかして健啖家かもしれない。
ブレア様も席に着くと、手前のお皿の左右にずらっとフォークとナイフが並んでいるのが目に付いた。
間髪入れずに、壁際に立っていたふたりがいそいそと移動してきてお皿に料理を取り分けてくれる。
まま、待って僕きちんとしたテーブルマナーなんて習ってないよ。ええと、これって外側から使っていけばいいんだっけ?いや、目の前に優秀なお手本が居るじゃないか!見様見真似で何とかやり過ごそう。
料理もわざわざ取り分けて貰わなくても自分で出来るのに、なんだか申し訳ない。
「では頂こうか。」
「っはい!」
とりあえずブレア様が手に取ったカトラリーと同じものを手にする。取り分けてくれた2人はまた壁際に立ってこっちの様子を伺っているのをひしひしと感じる。
他にもなんの為にいるのかドアの所にも人がいて、調理帽を被った人達も奥の部屋、多分キッチンだと思うところの際にたっていて、やはりこちらを伺っている。
こんな状況でご飯なんか食べられないよ。だって、多分きっとあの人たちの食事はまだだと思うし、僕が先に食べちゃっていいのか、っていうか食べる光景をずっと見られてるのかと思うと無理!せ、せめてブレア様と2人きりなら大丈夫だと思うんだけど。
自分の意思とは関係なしに手がぷるぷる震え始める。
このぷるぷる止まれー、でないと絶対なにか粗相をやらかす!そうでなくてもテーブルマナーなんて分からないのに!
必死にフォークに食材をさして口に運ぶ。
とても美味しそうなのに、いや絶対美味しいはずなのに、緊張しすぎて味が分からないなんて初めて!
暫くそうやって必死に食事を続けていると、ブレア様がカトラリーを置いた。
「ふむ。やはり緊張するか。部屋に運んで貰って2人でゆっくり食べようか。」
「いや、それもかなり申し訳ないんで大丈夫です、ここで食べます!」
ブレア様が近くの人を呼ぶ前に必死にお断りする。
これで僕の都合で部屋で食事とか、しかも食べない人に運んでもらうとか無理!申し訳なさすぎる!
「そうか。では人を少なくしようか。」
僕が拒否した事で新たな提案をしたブレア様が左手をすっと上げると壁際に立っていた人の殆どがその場から離れていった。
「これで少しでも緊張が解ければ良いのだが。」
「お、お心遣い痛み入ります。」
せっかく僕たちの為に来てくれてた人にいなくなって貰うのもそれはそれで申し訳ない気もしたが、そのお陰でだいぶ息を吐けるようになった。
手のぷるぷるも治まったし、素直に食事を楽しめそう!テーブルマナーを除けば!
「テーブルマナーも気にしなくて良い。どうせ2人だけだ。私はキーリーに純粋に食事を楽しんで欲しいと思っている。」
僕の心の内を読んだその柔らかな表情に、僕の心もほわほわと暖かくなって、ふにゃりと強ばっていた表情を崩して「ありがとうございます。」とお礼を言った。
テーブルマナー気にしなくていいって!言質は取ったもの!
早速僕は両手に持っていたカトラリーを置いて、フォークを右手に握り直す。
さっきまでは選ばず淡々と、取り分けられたお皿の上のものにフォークを突き刺していたが、今度は美味しそうなソースが掛かったお肉の様なものを選んで口に運ぶ。
「んんっ!美味しい!」
美味しものってなんでこんなに自然と笑顔になるのかな?柔らかいお肉の旨みとと少し酸味のあるソースの絶妙なバランス!最高以外の評価が出ない!
「ん~!これも最高!」
次はポテトサラダ!ポテトサラダに具材が沢山入ってる!様々な食感と旨みをポテトがまろやかに包み込んでて、胡椒がピリッとアクセントでこれも最高~!
さぁて次はどれ食べよう。あれもこれも、そっちも美味しそう~。
「ふふふ、焦らなくても誰も取りやしない。ゆっくり食べな。」
ブレア様のふわっと笑った顔が素敵で、つい僕もふにゃっと笑みを返してしまう。
あ、そうだ、とブレア様に聞こうと思っていたことを思い出した。
「ブレア様、あの、えと、伴侶って、伴侶ってどんなお仕事なのでしょうか?」
「・・・ふむ。仕事、か。仕事かそうか。」
すぐに返事が返ってくると思っていた僕は、悩みこんでしまったブレア様の返事を食事を堪能しながら待つしか無かった。
ブレア様に食堂に案内されて、食事よりも前に食堂の装飾に目が行ってしまった。
噂で聞いていた、お貴族様の細長いテーブル。に掛かっている真っ白いクロス。床は一面真っ赤な絨毯。見た目も素敵な座るところがふわふわ仕様の椅子。天井を見上げれば、豪華なシャンデリア。
まるで何処かの絵本に出てくるような素敵な食堂。
「お貴族様のダイニングルームだ。」
そう、それはまるで子供の頃に読んだ本に出てくる”お貴族様のダイニングルーム”のイメージにピッタリだった。
あれはどんな内容の本だったっけ。
景色の描写がとても豊かで繊細で綺麗な本だったけれど、内容は綺麗では無かったような気がする。
詳しくは覚えてないけれど。
「おぅ、知らなかったのか?私はモラレス子爵家の次男坊、歴としたお貴族様ってやつなんだぜ?」
「そうでした!忘れてました!」
わーっと拍手でブレア様を持ち上げると、大袈裟に片膝をついてで僕の手を握った。
「こちらへどうぞ?」
僕の目を見て柔和に微笑むその姿に不覚にもドキッとさせられてしまう。
イケメンは何をしても様になるから毒だよもぉ~。
いや待て自分。ルーランに伴侶の意味は確認したけれど、ルーランの出身も僕と同じ国のはず。もしかしたら、意味が変わってくる可能性もあるかもしれない!
ブレア様は慣れた手つきで僕をイスまで案内してくれた。
席に着くとテーブルの上には食べたことの無い豪華な食事がズラリ。これ絶対二人分じゃない。いや、ブレア様がもしかして健啖家かもしれない。
ブレア様も席に着くと、手前のお皿の左右にずらっとフォークとナイフが並んでいるのが目に付いた。
間髪入れずに、壁際に立っていたふたりがいそいそと移動してきてお皿に料理を取り分けてくれる。
まま、待って僕きちんとしたテーブルマナーなんて習ってないよ。ええと、これって外側から使っていけばいいんだっけ?いや、目の前に優秀なお手本が居るじゃないか!見様見真似で何とかやり過ごそう。
料理もわざわざ取り分けて貰わなくても自分で出来るのに、なんだか申し訳ない。
「では頂こうか。」
「っはい!」
とりあえずブレア様が手に取ったカトラリーと同じものを手にする。取り分けてくれた2人はまた壁際に立ってこっちの様子を伺っているのをひしひしと感じる。
他にもなんの為にいるのかドアの所にも人がいて、調理帽を被った人達も奥の部屋、多分キッチンだと思うところの際にたっていて、やはりこちらを伺っている。
こんな状況でご飯なんか食べられないよ。だって、多分きっとあの人たちの食事はまだだと思うし、僕が先に食べちゃっていいのか、っていうか食べる光景をずっと見られてるのかと思うと無理!せ、せめてブレア様と2人きりなら大丈夫だと思うんだけど。
自分の意思とは関係なしに手がぷるぷる震え始める。
このぷるぷる止まれー、でないと絶対なにか粗相をやらかす!そうでなくてもテーブルマナーなんて分からないのに!
必死にフォークに食材をさして口に運ぶ。
とても美味しそうなのに、いや絶対美味しいはずなのに、緊張しすぎて味が分からないなんて初めて!
暫くそうやって必死に食事を続けていると、ブレア様がカトラリーを置いた。
「ふむ。やはり緊張するか。部屋に運んで貰って2人でゆっくり食べようか。」
「いや、それもかなり申し訳ないんで大丈夫です、ここで食べます!」
ブレア様が近くの人を呼ぶ前に必死にお断りする。
これで僕の都合で部屋で食事とか、しかも食べない人に運んでもらうとか無理!申し訳なさすぎる!
「そうか。では人を少なくしようか。」
僕が拒否した事で新たな提案をしたブレア様が左手をすっと上げると壁際に立っていた人の殆どがその場から離れていった。
「これで少しでも緊張が解ければ良いのだが。」
「お、お心遣い痛み入ります。」
せっかく僕たちの為に来てくれてた人にいなくなって貰うのもそれはそれで申し訳ない気もしたが、そのお陰でだいぶ息を吐けるようになった。
手のぷるぷるも治まったし、素直に食事を楽しめそう!テーブルマナーを除けば!
「テーブルマナーも気にしなくて良い。どうせ2人だけだ。私はキーリーに純粋に食事を楽しんで欲しいと思っている。」
僕の心の内を読んだその柔らかな表情に、僕の心もほわほわと暖かくなって、ふにゃりと強ばっていた表情を崩して「ありがとうございます。」とお礼を言った。
テーブルマナー気にしなくていいって!言質は取ったもの!
早速僕は両手に持っていたカトラリーを置いて、フォークを右手に握り直す。
さっきまでは選ばず淡々と、取り分けられたお皿の上のものにフォークを突き刺していたが、今度は美味しそうなソースが掛かったお肉の様なものを選んで口に運ぶ。
「んんっ!美味しい!」
美味しものってなんでこんなに自然と笑顔になるのかな?柔らかいお肉の旨みとと少し酸味のあるソースの絶妙なバランス!最高以外の評価が出ない!
「ん~!これも最高!」
次はポテトサラダ!ポテトサラダに具材が沢山入ってる!様々な食感と旨みをポテトがまろやかに包み込んでて、胡椒がピリッとアクセントでこれも最高~!
さぁて次はどれ食べよう。あれもこれも、そっちも美味しそう~。
「ふふふ、焦らなくても誰も取りやしない。ゆっくり食べな。」
ブレア様のふわっと笑った顔が素敵で、つい僕もふにゃっと笑みを返してしまう。
あ、そうだ、とブレア様に聞こうと思っていたことを思い出した。
「ブレア様、あの、えと、伴侶って、伴侶ってどんなお仕事なのでしょうか?」
「・・・ふむ。仕事、か。仕事かそうか。」
すぐに返事が返ってくると思っていた僕は、悩みこんでしまったブレア様の返事を食事を堪能しながら待つしか無かった。
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