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今日からまた通常運転です
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気が付いたらベッドに中でスリスリスリスリとイルに匂い付けされていた。
あれ、いつの間にお風呂出たんだろう?
最初は謎だったこのスリスリ行為も気がつけば普通に気持ちよく感じるようになったなぁ。
イルの頭から石鹸のいい香りがする。
香り、香り、なんだっけ何か忘れてる。香り、・・・匂い?
「あっ、俺匂い落ちた??」
「今俺の匂いで上書きしてる。」
な、なるほど。匂いの上にさらに匂いで誤魔化すって単に臭くならないかな?大丈夫?
「はぁ。もう俺以外の匂い付けてこないでね?」
「うん、ごめんなさい。とりあえず王子殿下からは逃げる事にする。マシュー義兄様はええと、無理かもしれない。。。」
「まぁ、マシュー様はね。ガイの義兄だし難しい事はあるかも知れないけど。王子殿下は本当に辞めてね?ガイは俺のなの。俺のガイ。俺だけのガイ。」
そう言って確かめるように俺にキスを降らせた。
い、今のうちに全部謝っておこう。
「い、イルっ。あのね、勝手に居なくなってごめんなさい。あと、手を叩いちゃったことも。そもそも俺何もイルに言ってないのにイルばっかりに、その、不満をぶつけてて、あ、手腫れたりしなかった?大丈夫?」
なんか言いたいことがしっちゃかめっちゃかになった気がするけど・・・。
「ん。手は大丈夫。俺もガイの事信じてあげられなくてごめんね?」
「でも、俺、イルに何も伝えずに帰らなかったから・・・。」
「うん。それは正直悲しかったよ。でも、ガイも正直、いきなり沢山やらなくちゃいけない事が増えて疲れてたでしょ?」
「え?いや全然元気でしたけど?」
「・・・うん?いや、正直このままどこか行っちゃいたいとか思ってなかった?」
「え!?少しだけだけど、思ったけど。え?別に疲れると関係ないよね?」
イルは俺にスリスリするのを止めて、俺グイッと引き上げて目線を同じ高さにした。
「あのね、ガイ。俺はガイの事責任感が強くて真面目で、自分の仕事を投げ出すような人なんかじゃないって思ってるよ。」
「うん?ありがと?」
「ガイは団長を辞めたら俺とどこか遠くへって話はするけど、仕事を投げ出して遠くへ行きたいなんて普段思わないでしょう?」
「そりゃあね?一応これでも団長ですからね?」
「だからね、少しでもどこか行きたいって思っちゃう事が普通じゃないんだよ。自覚がなくてもどこかしら疲れちゃってるって事。」
「なる、ほど??」
「疲れるのは体だけじゃないからね?」
そう言ってちゅっちゅっと頭にキスが降ってくる。
・・・疲れるのは体でしょ??
「俺も、ガイが疲れてるのに気づいてたけど、あと少しで終わるからって何もしてなくてごめんね。」
「え、イルは何も悪くないよ!確かに休みたいとは思ってたけど、でもどうせやらなくちゃいけないんだし、だったら早く終わらせちゃいたいし。」
「そう、それだよ。そういうガイの思ってる事俺に教えて?別に嫌な思いだけじゃなくて、これして楽しかったとか、こういうのが嬉しいとか、何でも。ね?」
「ん、うん。わかった。」
イルは俺の返事に満足したのか、にっこり笑ってまた俺にスリスリし始めた。
「俺まだ匂い落ちない?」
「ん?だいぶ落ちたよ。ガイが俺の匂いを纏ってるのが好きだから、沢山付けてる。」
「えへへ、もっといっぱいスリスリしていいよ?」
なんでか俺がイルの匂いを纏ってるっていう言葉に嬉しくなった。
俺には分からない匂いだけど、んふふふ。
「ガイ、まだ時間あるから寝な?明日も仕事でしょ?」
「うん、寝るね。おやすみ、イル。」
「ん、おやすみ、ガイ。」
ちゅっとお互いに唇を合わせて目を瞑る。
イルの体温は暖かくてすぐに寝入ってしまった。
翌朝、いつもの様にイルに起こされる。
「ガイ、ガイ。朝だよ起きて。」
「ん~。」
窓から入る朝日が眩しい。
ベッドの中が暖かいから出ると寒いし。いや、まだ春になってないからか。
何より、眠い!眠い眠い眠い!
でも起きなくちゃ。うぅ、でも眠くて目が開かないよう!
「ほら、早く起きないと遅刻しちゃうよ?」
「・・・うん。起きる。」
のたのたと顔を洗ってイルが準備してくれた朝ごはんをもそもそと食べる。
手のひらサイズの丸パンとトロトロに具材が煮込まれた具沢山の野菜スープ。うん美味しい。
その時パタパタとハトが俺目掛けて飛んできた。
ハトは俺の目の前で手紙に変わる。
「ガイ、仕事の?」
「んー、多分違う。ぁ、やっぱり。」
それは、剣を直してもらってるハルトの町の猛禽類の彼からだった。急いで出てきちゃったから挨拶が出来てなくて、鍛冶屋の扉に、俺宛のハトと急遽帰らなくちゃ行けなくなった旨を書いて隙間にスっと入れてきたのだ。
きちんと彼の手に渡って良かった。
じっくり読みたいけど、今は時間が無い!読んでお返事も書きたいんだけど、時間が無さすぎる!
「ガイ、読んでたら時間無くなっちゃうよ?」
「知ってる分かってる、タイミングが悪すぎるのぉ~。」
とりあえず、ポッケに突っ込んで、のたのた着替えてる俺をイルに一瞬で着替えさせられて、見送られる。
はぁー。春も近いって言うのに寒いな!
はぁ、と息を吐いてみる。息は全く白くならない。
うん!
ただの寝不足!今日は集中して早く終わらせて、終わるか?違うな、1枚でも多く捌いて、さっさと帰ってさっさと寝よう!そうしよう!
休憩時間にハトも読んで返事も書いて、うんうん。
今日一日のスケジュールをざっくり考えながら出勤する。
俺は気合いを入れて執務室のドアを潜った。
あれ、いつの間にお風呂出たんだろう?
最初は謎だったこのスリスリ行為も気がつけば普通に気持ちよく感じるようになったなぁ。
イルの頭から石鹸のいい香りがする。
香り、香り、なんだっけ何か忘れてる。香り、・・・匂い?
「あっ、俺匂い落ちた??」
「今俺の匂いで上書きしてる。」
な、なるほど。匂いの上にさらに匂いで誤魔化すって単に臭くならないかな?大丈夫?
「はぁ。もう俺以外の匂い付けてこないでね?」
「うん、ごめんなさい。とりあえず王子殿下からは逃げる事にする。マシュー義兄様はええと、無理かもしれない。。。」
「まぁ、マシュー様はね。ガイの義兄だし難しい事はあるかも知れないけど。王子殿下は本当に辞めてね?ガイは俺のなの。俺のガイ。俺だけのガイ。」
そう言って確かめるように俺にキスを降らせた。
い、今のうちに全部謝っておこう。
「い、イルっ。あのね、勝手に居なくなってごめんなさい。あと、手を叩いちゃったことも。そもそも俺何もイルに言ってないのにイルばっかりに、その、不満をぶつけてて、あ、手腫れたりしなかった?大丈夫?」
なんか言いたいことがしっちゃかめっちゃかになった気がするけど・・・。
「ん。手は大丈夫。俺もガイの事信じてあげられなくてごめんね?」
「でも、俺、イルに何も伝えずに帰らなかったから・・・。」
「うん。それは正直悲しかったよ。でも、ガイも正直、いきなり沢山やらなくちゃいけない事が増えて疲れてたでしょ?」
「え?いや全然元気でしたけど?」
「・・・うん?いや、正直このままどこか行っちゃいたいとか思ってなかった?」
「え!?少しだけだけど、思ったけど。え?別に疲れると関係ないよね?」
イルは俺にスリスリするのを止めて、俺グイッと引き上げて目線を同じ高さにした。
「あのね、ガイ。俺はガイの事責任感が強くて真面目で、自分の仕事を投げ出すような人なんかじゃないって思ってるよ。」
「うん?ありがと?」
「ガイは団長を辞めたら俺とどこか遠くへって話はするけど、仕事を投げ出して遠くへ行きたいなんて普段思わないでしょう?」
「そりゃあね?一応これでも団長ですからね?」
「だからね、少しでもどこか行きたいって思っちゃう事が普通じゃないんだよ。自覚がなくてもどこかしら疲れちゃってるって事。」
「なる、ほど??」
「疲れるのは体だけじゃないからね?」
そう言ってちゅっちゅっと頭にキスが降ってくる。
・・・疲れるのは体でしょ??
「俺も、ガイが疲れてるのに気づいてたけど、あと少しで終わるからって何もしてなくてごめんね。」
「え、イルは何も悪くないよ!確かに休みたいとは思ってたけど、でもどうせやらなくちゃいけないんだし、だったら早く終わらせちゃいたいし。」
「そう、それだよ。そういうガイの思ってる事俺に教えて?別に嫌な思いだけじゃなくて、これして楽しかったとか、こういうのが嬉しいとか、何でも。ね?」
「ん、うん。わかった。」
イルは俺の返事に満足したのか、にっこり笑ってまた俺にスリスリし始めた。
「俺まだ匂い落ちない?」
「ん?だいぶ落ちたよ。ガイが俺の匂いを纏ってるのが好きだから、沢山付けてる。」
「えへへ、もっといっぱいスリスリしていいよ?」
なんでか俺がイルの匂いを纏ってるっていう言葉に嬉しくなった。
俺には分からない匂いだけど、んふふふ。
「ガイ、まだ時間あるから寝な?明日も仕事でしょ?」
「うん、寝るね。おやすみ、イル。」
「ん、おやすみ、ガイ。」
ちゅっとお互いに唇を合わせて目を瞑る。
イルの体温は暖かくてすぐに寝入ってしまった。
翌朝、いつもの様にイルに起こされる。
「ガイ、ガイ。朝だよ起きて。」
「ん~。」
窓から入る朝日が眩しい。
ベッドの中が暖かいから出ると寒いし。いや、まだ春になってないからか。
何より、眠い!眠い眠い眠い!
でも起きなくちゃ。うぅ、でも眠くて目が開かないよう!
「ほら、早く起きないと遅刻しちゃうよ?」
「・・・うん。起きる。」
のたのたと顔を洗ってイルが準備してくれた朝ごはんをもそもそと食べる。
手のひらサイズの丸パンとトロトロに具材が煮込まれた具沢山の野菜スープ。うん美味しい。
その時パタパタとハトが俺目掛けて飛んできた。
ハトは俺の目の前で手紙に変わる。
「ガイ、仕事の?」
「んー、多分違う。ぁ、やっぱり。」
それは、剣を直してもらってるハルトの町の猛禽類の彼からだった。急いで出てきちゃったから挨拶が出来てなくて、鍛冶屋の扉に、俺宛のハトと急遽帰らなくちゃ行けなくなった旨を書いて隙間にスっと入れてきたのだ。
きちんと彼の手に渡って良かった。
じっくり読みたいけど、今は時間が無い!読んでお返事も書きたいんだけど、時間が無さすぎる!
「ガイ、読んでたら時間無くなっちゃうよ?」
「知ってる分かってる、タイミングが悪すぎるのぉ~。」
とりあえず、ポッケに突っ込んで、のたのた着替えてる俺をイルに一瞬で着替えさせられて、見送られる。
はぁー。春も近いって言うのに寒いな!
はぁ、と息を吐いてみる。息は全く白くならない。
うん!
ただの寝不足!今日は集中して早く終わらせて、終わるか?違うな、1枚でも多く捌いて、さっさと帰ってさっさと寝よう!そうしよう!
休憩時間にハトも読んで返事も書いて、うんうん。
今日一日のスケジュールをざっくり考えながら出勤する。
俺は気合いを入れて執務室のドアを潜った。
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