上 下
47 / 167

公爵家って大変ね

しおりを挟む
俺はイルの膝の上を降ろされて、フランリード公爵様、いや、お義父とう様に膝抱っこで抱きつかれている。

何故かと言うと、あの後火にあたってる俺の顔色が物凄く悪く見えたようで抱えあげようとしたら気を失って吐いたのがトラウマみたいで、どれくらいの強さで接したら良いのか見極めたい、という事らしい。

いやそれ多分タイミング悪かっただけです。その前からぐわんぐわん来てたし。
まぁ吐いたのは圧迫が原因だとは思うけど。

「もう少し力を入れても平気かな?」
「あー、多分大丈夫ですかね?」

義父とう様は先程よりぎゅっと抱きつく力を強くした。

「・・・それ以上はちょっと遠慮したいです。」
「ふむ、そうか。これくらいか、なるほど。」

義父とう様は自分の中で何回か納得をしてから解放してくれた。

ソファに俺とイル。テーブルを挟んで反対側のソファに義父とう様と義兄にい様。

「いやぁしかしやっとガイウス君がうちの子になってくれて嬉しいよ」

義父とう様は紅茶を飲みながら朗らかに話す。

ええと、こういう時はなんて言ったらいいんだ?ありがとうございますじゃ変だしな。俺も嬉しいです?いや今まで散々逃げ回ってておかしいよね?っていうか やっと って言ったよね!?

「あははは。」

笑って誤魔化せ発動。

「そういえばガイウス君はダンス踊れるのかい?」
「え、ダンス、ですか?・・・いえ、全く。」
「なんと!そうか。ではお披露目会と言うの名のダンスパーティは考えねばならんな。せっかくだから講師でも呼んで1から覚えようか!?」
「え!」

待って待ってダンスとか無理無理無理無理!
俺は首がちぎれんばかりにぶんぶんと横に振った。

「そうかぁ、それは残念だな。ぁぁ、でも基本的なものは踊れるようになってもらわないとね!」

・・・え、まぢですか。恐るべし公爵家。

「フランリード公爵様、基礎的なものでしたら俺が教えられます。」

ちょっとイルさん何立候補してるの!?

「そうだねぇ。知らない先生に教えて貰うより、イルヴェス君の方が良いよねぇ?」
「ガイは俺に教えて貰うの嫌?」

2人の目がじっと俺を見てくる。その様子をお義兄にい様が見てる。

そもそもダンスを覚えたくないんだけど、そんなの言える雰囲気では無い。うぅぅぅ、知らない人かイルかなんて言われたら勿論イルが良いんだけど。でもなぁ、ダンス嫌だなぁ。

「ガイウス君?」
「ガイ?」

4つの目が俺をじぃーっと見てくる。

「う、どーせやるなら、イルがいい。」

俺は圧に負けた。

「親父、それだけじゃダメだ。マナーと最低限の歴史、うちの家系も含めて、あと古語と古文と魔力操作と、まぁ、一通りサラッとやって足りないとこを補って行かないと。」
「え、一通り?」
「お前、びっくりする位知識偏ってるからな?」
「俺これでも団長歴1年は経ってる、」
「ガイ、もう2年近くになるよ?」
「ほら見ろ。先ず1年間の把握が怪しい。あと、お前の周りがフォローしてんだ、気付け。」

・・・・・・あれ、俺の評価って思ってたより低いのでは??

「取り敢えず確認も兼ねて一通りやってみようかね。」

義父とう様まで??

「あれ、これ俺が義兄にい様と義兄弟きょうだいになれて良かったね、ハッピーエンドって感じで終わ」
「んなわけないだろ。俺の義弟おとうととして恥ずかしくない程度にはなってもらわないとな。」
「フランリード家としてもね。ガイ君頑張ってね。」

俺はバッとイルを振り返って助けを求めた。

「俺も教えられるところは教えてあげるからね。」

・・・無駄だった。

「あ、俺年末年始はオール夜勤だから、ええと、お、お手柔らかにお願いします、ね?」

・・・公爵家って勉強沢山で大変なんだね?

「公爵家だけじゃなくて、爵位を賜ってる家は大抵こうなの。」

・・・俺の心が読まれた?

「さすがに連日連夜お仕事だから無理はさせないけど、少しづつ、ね。」

・・・あれまイルさんやる気満々ね?

「ふむ。全てある程度出来るようになったらお披露目会でもしようかね。」

義父とう様、俺のお披露目会という名のダンスパーティがどうしてもやりたいんですね・・・。

「そしたら頃合も見てイルヴェス君との、そうだなぁ、まぁそこら辺はラフホワイト公爵と相談だね。」

「!」

そ、それって、そーいう事ですか!
そうか、俺はもう平民じゃないからイルと後腐れなくそういう事も良いのか!んふ、んふふふふ!

「イル!俺頑張るから!」
「うん、俺も色々教えてあげるけど、無理はしないでね?」
「ガイウスちょろ過ぎ。」
「単純っていい事だと思いますけど?」

ようし!先ずは目の前の仕事を終わらせなくては!
俄然やる気が湧いてきた!

「よし、取り敢えず夜勤の為に俺は寝ます!」
「っとその前に夜勤はいつからか分かってんのか?」
「え?・・・そういえば俺どれくらい寝てたの?」
「丸1日。」

丸1日。ええと、残業したけど日は変わって無かったはずだから、まるっと一日寝てたとしても?

「あれ俺まだ今日入れてお休み2日ある?」
「そうだな」
「じゃぁイルとイチャイチャ出来るじゃん!?」
「いや勉強して?」
「俺にはイルが足りないんです!第2王子殿下のせいで3連休の予定は丸っと潰れちゃったし、夢に見るほどイルが足りないの!!」
「おいそれ絶対外で発言すんなよ。」
「する訳ないじゃないですか!とにかく今からはイルタイムなのですよ!」
「まぁ、そうか、まぁあんだけ準備?してたからなぁ、予定が潰れて悔しいのは分かるが、・・・はぁ、年末年始が終わったら覚悟しとけよ?」


「仲が良いのは良い事だねぇ。じゃぁ、イルヴェス君後は頼んだよ。」
「おいイルヴェス、丁度いいからお前の都合で教えて無かった閨の事も教えておけ。」

そう言って義兄にい様と義父とう様は部屋を後にした。


・・・閨の事ってえっちの事ですか?イルが足りないとは言ったけど、欲しいともえっちしたいとも言ってませんが!?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺の可愛い皇帝陛下〜けしからんモフらせろ!〜

えの
BL
獣人そして男しか居ない世界。「人」に近いほど美しく、「獣」に近いほど恐れられる。そんな中、「ほぼ人」な俺はハーデ帝国の皇帝陛下に嫁ぐことに。二足歩行の獣が多く住むハーデ帝国。えっ、モフり放題なんでしょ?行くいく!全然嫁ぎに行くよ?えっ?怖くないよ?もふもふは正義でしょ!愛でるもんでしょ!待っててね!愛しのもふもふちゃん!※本編完結済。番外編完結済。番外編のタグ確認してください! *この作品はムーンライトノベルズにも投稿しています。

【完結】うちの子は可愛い弱虫

cyan
BL
エリオットは公爵家に産まれ魔法騎士団では副団長を務めているが、幼い頃のトラウマにより自分に自信が持てず弱気な性格の持ち主だった。 そして、自分はダメな人間だと膝を抱える日々を送っている。 そんなエリオットの将来を心配した母が見つけてきたのは、ノアという魔法薬を研究する友人候補だった。 友人として親睦を深める2人がほのぼのと愛を育む。 R-18の内容が含まれる話のタイトルには※をつけています。 表紙はAIで作成しています。

王様は触手に襲われ助けてくれた騎士団長にも犯される!?

ミクリ21
BL
王様が触手に襲われて、騎士団長が助けてくれたけど王様は騎士団長にも犯されてしまう話。

俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします

椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう! こうして俺は逃亡することに決めた。

国王様は新米騎士を溺愛する

あいえだ
BL
俺はリアン18歳。記憶によると大貴族に再婚した母親の連れ子だった俺は5歳で母に死なれて家を追い出された。その後複雑な生い立ちを経て、たまたま適当に受けた騎士試験に受かってしまう。死んだ母親は貴族でなく実は前国王と結婚していたらしく、俺は国王の弟だったというのだ。そして、国王陛下の俺への寵愛がとまらなくて? R18です。性描写に★をつけてますので苦手な方は回避願います。 ジュリアン編は「騎士団長は天使の俺と恋をする」とのコラボになっています。

殿下の人選がおかしい

ひづき
BL
ヴィナード殿下のお世話係に任命されたのは、貧乏伯爵家のハレナ。 成績はいまいち、見た目は色黒で逞しい。 そんなハレナがすべき〝お世話〟とは─

宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている

飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話 アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。 無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。 ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。 朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。 連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。 ※6/20追記。 少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。 今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。 1話目はちょっと暗めですが………。 宜しかったらお付き合い下さいませ。 多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。 ストックが切れるまで、毎日更新予定です。

処理中です...