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俺の本心→さっさと帰ってイルに「お疲れ様♡」ってしてもらいたい

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とりあえず欠けてしまった物は仕方がないので、破片共々特殊なポーチに仕舞う。

「とりあえずこれ処理しちゃいますか。」

視線でカニを示すとミッキィに首を横に振られる。

「いえ、それは後回しで。先にあの御三方と一緒に戻りましょう?」

あっ、あーそうだねそうだよね。今回の目的は第2王子殿下の捜索だったね!連れて戻るのが先!
はぁぁ、俺疲れてるのかな、しょっぼい判断ミスだよこれは。

「そ、そうですね、戻りましょうか。」

団長としてあるまじき判断ミスに居た堪れなくなったので、クルッと方向転換し彼らの方へ歩き出す。

はぁ、動き回ったし、体中魔力流しまくったし、暑いな・・・。雪は止まないし、その冷たさでそのうち涼しくなるか。

そんな事を考えながら歩いていると直ぐに彼らの元へ辿り着く。

「大丈夫です?歩けます?テントまではちょっと歩きますけど。」

声をかけると茶色い人と黒い人から大丈夫だと返事を貰ったので、ミッキィを先頭にして 2人+白いモフモフ、俺という順番で歩いていく。

もちろん索敵を軽くかけながら危険がないか確認しながら進んでいく。

「はぁー。」

吐く息が白い。空から降って来る雪も白い。あの黒い人が抱いているモフモフも白い。白だらけじゃん。

結局誰が第2王子殿下なんだろう?黒い人か白いモフモフだよね。茶色い人は耳が違うからね、あれはトラじゃない。でも黒や白いトラなんて居るのか?

トラ耳か。ケモ耳いいなぁ。俺はいつになったらこの頭の上に生えて来るんだろう。もふもふの尻尾も羨ましい。ネコさんみたいなひょろっとした尻尾も素敵だけど、イルみたいなふわっともふっとしたのが良いなぁ。
ウサギみたいな丸くてちょこんとくっ付いてるのも可愛いよなぁ。
明日になったら生えてないかな、イルと同じケモ耳と尻尾。
あと肉球、肉球の間からもふ毛がはみ出てるのってちょっとエロい。あれでほっぺたむにむにされるの好き。うん、俺が獣人になったらセルフむにむに出来るじゃん。最高じゃん。明日にでもヒト族卒業してますように。

「くしゅんっ、ずびっ」

体が冷えてきてくしゃみと鼻水が出てきた。
テントまではまだ半分も戻って来ていない。

まぁ、戻ってから温かいものでも飲めばいっか。
・・・獣人だったらこんな程度じゃ風邪もひかないんだよなぁ。っていうか中には雪降って寒い方が調子良いって種族もいるし。
・・・はぁ、なんで俺だけヒト族なんだろう。

そもそもさ、この国でヒト族が殆どいないから珍しいってだけで可愛いだのなんだのってさぁ、見慣れてないだけでしょ?俺のこの顔でネズミ族だったら見向きもしないでしょ!?
爵位のある人達が俺を養子に迎えたいって騒いでるのも珍しいから囲いたいだけだけでしょ!?自慢したいだけなんでしょ!?クーグゥ様に言われなくても分かってるよそれくらい!

「へっくしゅんっずびびっ」

くしゃみと鼻水がとまらない。

暑いんだけど寒いっ!早く戻りたい!

「へくしゅっ」

ぅぅ、こんな人災に巻き込まれてなかったら今頃イルといちゃいちゃしてたのにな。こんな寒い?暑い?思いなんてしてなかったのになぁ。まぁ、色んな意味で暑い思いはしたかもしれないけど。

早く帰って暖かいベッドにダイブしたい~。イルの尻尾もふもふしたい~。んもう今日のご褒美に肉球むにむにして貰おう、うん。

だって俺頑張ったよ。でっかいサワガニっぽいの1人でやっつけたし、御三方は1人で歩けるほど無事だし、っていうかすぐ見つけた俺天才。偉いよね、最高。

「へくしゅんっずび」
「あの、私の上着貸しましょうか?」
「いえ、大丈夫でず。あと半分ぐらいでずからね。」

茶色の彼が俺の体調を気にかけてくれたが、そんな王子様の側近?みたいな人の上着なんて借りられないよ!それにそれが原因で彼が風邪を引いたら何も言えないよ!団長責務がうんたらかんたらだよ!

はぁ、とりあえず早く帰りたいな。
んまぁすんなり帰してくれるとは思わないけど。
あとどれ位で戻れるかな、3分の1位かな?ニールにとか他の団員は大丈夫かな。集合かけたけど結局ミッキィと2人で何とかしちゃったし無駄な招集かけちゃったな。無駄な残業ごめん、団員たちよ。

「おい、居たぞ!こっちだ!」

遠くから小さな明かりと声が聞こえてきた。

捜索隊かな、うちの団員じゃないな。

みるみるうちに明かりと人と声が多くなっていき、わらわらと3人、2人と1匹?の周りに人が集まり連れて行った。何人かの知らない人に、多分偉い人だろうとは思うんだけど「探し出して頂きありがとうございます」と感謝の念を伝えられた。

まぁ俺は職務を全うしただけですけれども。
ところでどっちが第2王子殿下だったのさ。・・・どっちでも良いけどさ。

「団長、強がるのもいい加減にして下さい。」

いつの間にかそばにいたミッキィに上着をかけられた。
ミッキィがさっきまで来ていた上着だから既に温まっていて温かい、でも大きくて。

「みっぎぃが風邪ひいじゃうよ。」
「鼻声のガラガラ声の人が何言ってるんですか。とにかく暖かいお茶でも淹れてもらいましょう。」

そう言ってテントのあるだろう方に歩を進める。
すると向こう側からノア様が小走りでやって来た。

耳の飾り毛がぴょんぴょんしてて可愛い。くそぅ、いいなぁ耳。俺も飾り毛が付いたケモ耳欲しい。でもやっぱりイルとお揃いが良いなぁ。

「ガイウス君っ」
「ノ゙ア様゙」
「ちょっと声が酷いよっ」
「ぢょっとはな゙詰まっでで」
「んん、・・・ヒール」

ノア様は目を瞑って呼吸を整えて俺に手を翳して小さく唱えると俺の体がほわっと暖かくなって体が軽くなった。

おぉ!これが噂の回復魔法ってやつ!?初体験だ!

「ノ゙ア様凄い!回復魔法だぁ!体がとても楽になりました!」
「いや、思ったより回復出来てないよ。それよりもちょっと厄介な事になってて」

ノア様が言うにはテント内で一部の方達が もし俺とミッキィだけで第2王子殿下を見つけて連れ戻してくることが出来たらやはり俺を平民にしておくのは勿体ない とか言い出してどこの家の養子にするか揉めてるらしい。

うん、俺が分かるようにざっくり説明してくれてありがとうございます。一応爵位のある家柄の方達だからそんな直球な言葉は使ってないだろうけどね。
しかし、お偉いさん方よそんなつっまんない話してないで第2王子殿下を探してあげて?それとも俺が来たら万事解決なのか?過剰評価すぎるぞ。

「ぶぇっくしゅ!ずびっ」

またくしゃみと鼻水が。

「ああもう。なんでそんな薄着でこの雪の中に突っ込んで行くんだろうねぇ?」

仕方のない子だねぇと言いながらノア様が来ていた上着を俺に掛けてくる。
その時俺の耳に顔を寄せて囁いた。

「もうすぐフランリード公爵様が来られるから皆に聞こえるようにはっきりと パパ って呼んであげてね?」

・・・・・・お義父とう様ではダメでしょうか?

その後フランリード公爵様は直ぐ来て下さった、らしい。

”らしい”と言うのには俺が覚えて無いからだ。

何故ならば、保護された第2王子殿下ら御三方がこの場を去って頂かないと俺たちは戻ることも儘ならないので、俺はルイ様とミッキィに連れられて暖と明かりを取るための火に当たってたんだけども、座ってお茶を飲んだてたらなんだかぐわんぐわんしてきちゃって吐き気も催してきちゃって、なんかぐわっと圧迫感が襲って来たと思ったら俺の意識は飛んでた。

俺は落ちて行く意識の中で 周りが騒がしいなぁ 位にしか思ってなかったんだよね。
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