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予定が潰れたので暴れてやろうと思います!
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早速現場に着くと待ってましたとばかりに お偉いさんっぽい人に声をかけられた。
「ガイウス騎士団長、あちらのテントに皆集まっておりまして、」
「はぁ、そうですか。」
俺は足を止めずにテントの方向では無い森の中に入っていく。
何としても定時に帰るんだ俺は!テントでお喋りする時間など無い!
「えっどちらへ?」
そのまま少し進んで広範囲に索敵をかける。
それっぽい反応が三箇所。ええと、居なくなったのは従者2人と本人の3人だから、年齢も考えて、あっちの方角のが確率高いし、多分間違ってない。
「ミッキィ、誰か指示出し出来る人居たぁ?」
とにかく誰かに指示出し依頼して早くこれ終わらせて定時で帰りたい俺は、後ろを振り返った。そこにはニールが居た。
「団長、私が!」
「ニール、よしお願いします!」
「はい!」
「今索敵かけてそれっぽい反応が3つありました。俺は1番可能性のある10時の方向にミッキィと向かいます。他の2箇所、あーっと、テントから森に向かった位置に向いて12時と2時の方向に人数集まったらそれぞれ向かわせて下さい。あとこれ邪魔だからごめん預ける。じゃぁ行ってきます。」
言いながら制服の中に来てた長袖のシャツを脱いで預けた。その下にランニングシャツタイプの黒い下着を着てるんだけどそれ1枚になった時にニールが「ぅひゃ」と声をあげたけど気にしない事にしておこう。ニールはよく分かんない所で変な声をあげる変な人・・・。
因みに立ち位置を指示したのは基点を示して置かないとしっちゃかめっちゃかになるから、こういうのはここからきちんと考えてね!って言っておかないと大変な事になるのは経験談からで・・・。
「団長、寒くないですか?」
「んー、今は少し寒いけど直に暖まりますよ。」
辺りは薄ら暗くなって来ていて、雪も俺の腰くらいまで積もっている。
雪で足場が良くないので走るよりは遅い位のスピードで進む。身体強化に加えて瞬足、滑り止めの魔術もバッチリかけてある。
単純に帰り道が分からなくなったとかだったら楽なんだけど、冬眠出来なかった何かに遭遇してたら厄介だなぁ。可能性は低いけど魔物だったらもっと最悪だなぁ。
「ミッキィなんか感じたら教えて下さい!」
「リョーカイです!」
匂いとか音とかは犬のミッキィの方が格段に異変に感じやすいのでお願いしておく。
こういう時はマジで獣人羨ましく感じる。俺なら更に嗅覚強化と聴覚強化をかけなければいけないから。体力も筋力も格段に違うし。本当に羨ましい!心の底から羨ましい!なんで俺はヒト族なんだ!生えてこないの分かってるけどいつかケモ耳とフサフサの尻尾が生えてきてくれるんじゃないかって思っちゃうもん!ずるい、俺もケモ耳とフサフサ尻尾が欲しい!!
「団長、何か大きいのが暴れてるっぽいです!」
「ええええー、最悪!」
「血の匂いは多くは無いです!」
「急ぎましょう!」
瞬足でスピードを上げる。
段々とミッキィと距離を離していく。
俺でも次第に何かが暴れているのとそれよりも小さな何かが動いているのが分かってきた。
段々近づいていくと姿が分かってくる。
辺りが暗いせいではっきりとは分からないが、大きな鋏みたいなのを振り回してる・・・?
木々を抜けたら少しだけ開けてる場所に出た。
そこにはやはり大きなカニのような大きい生き物がハサミを振り回していた。右だけ鋏が大きい、サワガニか?
そいつの視界に入らないような右斜め後ろの近くに尻もち着いて半分雪に埋まってる黒い色の青年?とその傍に片腕から血を流してる白い彼より年下と思われる焦げ茶色の少年が居たので救助に向かう。
3人と聞いてたけど、もう1人はどこだ?
どういう状況かは分からないが、カニはそこの2人を狙っていると言うより、怒って鋏を振り回している感じがする。視界から外れてるしね。
狙われて2人が襲われても大変なので、カニの死角に入りながら近づく。
「大丈夫ですか?歩けます?」
傍まで寄って2人に声をかけて覗き込む。
黒い彼の腕の中には、白いもふもふが抱えられていた。
「その、私は歩けるのだが、彼が・・・。」
焦げ茶の少年が答えると、黒い青年が抱えていた白いもふもふがもぞもぞと動き出した。
え、うごっ?ん?耳と、目!?白い獣???ぁ、獣化してるって事??で、どれが第2王子殿下なんだ??
ええと、確か王族ってトラ族だっけ?焦げ茶さんはどう見てもトラの耳じゃないから違う、黒さんは何だ!?トラの耳!?トラの耳ってどんなだっけ?ネズミと似てるよね!?どうしよう、訳わかんなくなってきた!
「団長どうしました!?」
追いついたミッキィが声をかけてくる。
ど、どれが王子様か?なんて本人を前にして聞けない・・・。いや、ここはミッキィに任せて俺はあのカニを討伐しよう!そうしよう!
「ミッキィ、とりあえずここの方たちをお願いします。あの木の後ろ以降に下がって手当を、茶色の彼は動けるそうですが、黒い彼は動けないそうなのでお願いします。」
「承知しました!団長は?」
「あの美味しくなさそうなカニをやっつけます!寒さで動きも鈍いのでなんとかなるでしょう!」
「美味しくなさそうな・・・?」
「おっと、つい本音が」
にヘヘッと反応してくれた茶色い彼に笑顔を向ける。
こういう時こそユーモアって大事だよね!
そしてカニを観察する。
「うーん、何だか冬眠中を無理やり起こされて怒り狂ってる感じだね。」
「ッ!?」
黒い彼、じゃないな。それに抱えられてる白いもふもふがピクっと反応した。
・・・まじかよ、人災じゃん!
「はぁぁ。よし、ミッキィ、俺が後ろを回って逆方面に意識を向けるのでその隙にお願いします。救急セットは?」
「大丈夫です!」
「じゃぁ行ってきます!」
双剣を構えてカニの後ろを通って反対側に出る。
こっちに注意を向けるように、狙うは左目!
「サンダーアロー!」
バチバチバチッ
俺の目の前からカニの左目に向かって敢えて音を大きく鳴らして雷の矢を放つ。
距離があるので俺から真っ直ぐ放たれた雷は難なく避けられる。
でもそれでいい。今の雷はこっちに注意を向ける為のものだ。
狙い通りにカニの視線がこちらに据えられる。
大きな鋏がこちらに振り下ろされるがそれを軽くいなす。寒さのせいか、動きはそこまで速くは無い。
順当に潰していけば楽勝だね。
「ふぅ、運が悪かったね。俺、熊の次に得意なのはカニなんだ。しかも俺ちょっと機嫌悪いんだよね今。」
だってこれほぼ確実に人災だしね!
だってどれが王子様か分かんなかったしね!
だってもう確実に定時には終わらないしね!
1番の機嫌の悪い理由は俺の休みの予定が台無しって事なんだ!
「ガイウス騎士団長、あちらのテントに皆集まっておりまして、」
「はぁ、そうですか。」
俺は足を止めずにテントの方向では無い森の中に入っていく。
何としても定時に帰るんだ俺は!テントでお喋りする時間など無い!
「えっどちらへ?」
そのまま少し進んで広範囲に索敵をかける。
それっぽい反応が三箇所。ええと、居なくなったのは従者2人と本人の3人だから、年齢も考えて、あっちの方角のが確率高いし、多分間違ってない。
「ミッキィ、誰か指示出し出来る人居たぁ?」
とにかく誰かに指示出し依頼して早くこれ終わらせて定時で帰りたい俺は、後ろを振り返った。そこにはニールが居た。
「団長、私が!」
「ニール、よしお願いします!」
「はい!」
「今索敵かけてそれっぽい反応が3つありました。俺は1番可能性のある10時の方向にミッキィと向かいます。他の2箇所、あーっと、テントから森に向かった位置に向いて12時と2時の方向に人数集まったらそれぞれ向かわせて下さい。あとこれ邪魔だからごめん預ける。じゃぁ行ってきます。」
言いながら制服の中に来てた長袖のシャツを脱いで預けた。その下にランニングシャツタイプの黒い下着を着てるんだけどそれ1枚になった時にニールが「ぅひゃ」と声をあげたけど気にしない事にしておこう。ニールはよく分かんない所で変な声をあげる変な人・・・。
因みに立ち位置を指示したのは基点を示して置かないとしっちゃかめっちゃかになるから、こういうのはここからきちんと考えてね!って言っておかないと大変な事になるのは経験談からで・・・。
「団長、寒くないですか?」
「んー、今は少し寒いけど直に暖まりますよ。」
辺りは薄ら暗くなって来ていて、雪も俺の腰くらいまで積もっている。
雪で足場が良くないので走るよりは遅い位のスピードで進む。身体強化に加えて瞬足、滑り止めの魔術もバッチリかけてある。
単純に帰り道が分からなくなったとかだったら楽なんだけど、冬眠出来なかった何かに遭遇してたら厄介だなぁ。可能性は低いけど魔物だったらもっと最悪だなぁ。
「ミッキィなんか感じたら教えて下さい!」
「リョーカイです!」
匂いとか音とかは犬のミッキィの方が格段に異変に感じやすいのでお願いしておく。
こういう時はマジで獣人羨ましく感じる。俺なら更に嗅覚強化と聴覚強化をかけなければいけないから。体力も筋力も格段に違うし。本当に羨ましい!心の底から羨ましい!なんで俺はヒト族なんだ!生えてこないの分かってるけどいつかケモ耳とフサフサの尻尾が生えてきてくれるんじゃないかって思っちゃうもん!ずるい、俺もケモ耳とフサフサ尻尾が欲しい!!
「団長、何か大きいのが暴れてるっぽいです!」
「ええええー、最悪!」
「血の匂いは多くは無いです!」
「急ぎましょう!」
瞬足でスピードを上げる。
段々とミッキィと距離を離していく。
俺でも次第に何かが暴れているのとそれよりも小さな何かが動いているのが分かってきた。
段々近づいていくと姿が分かってくる。
辺りが暗いせいではっきりとは分からないが、大きな鋏みたいなのを振り回してる・・・?
木々を抜けたら少しだけ開けてる場所に出た。
そこにはやはり大きなカニのような大きい生き物がハサミを振り回していた。右だけ鋏が大きい、サワガニか?
そいつの視界に入らないような右斜め後ろの近くに尻もち着いて半分雪に埋まってる黒い色の青年?とその傍に片腕から血を流してる白い彼より年下と思われる焦げ茶色の少年が居たので救助に向かう。
3人と聞いてたけど、もう1人はどこだ?
どういう状況かは分からないが、カニはそこの2人を狙っていると言うより、怒って鋏を振り回している感じがする。視界から外れてるしね。
狙われて2人が襲われても大変なので、カニの死角に入りながら近づく。
「大丈夫ですか?歩けます?」
傍まで寄って2人に声をかけて覗き込む。
黒い彼の腕の中には、白いもふもふが抱えられていた。
「その、私は歩けるのだが、彼が・・・。」
焦げ茶の少年が答えると、黒い青年が抱えていた白いもふもふがもぞもぞと動き出した。
え、うごっ?ん?耳と、目!?白い獣???ぁ、獣化してるって事??で、どれが第2王子殿下なんだ??
ええと、確か王族ってトラ族だっけ?焦げ茶さんはどう見てもトラの耳じゃないから違う、黒さんは何だ!?トラの耳!?トラの耳ってどんなだっけ?ネズミと似てるよね!?どうしよう、訳わかんなくなってきた!
「団長どうしました!?」
追いついたミッキィが声をかけてくる。
ど、どれが王子様か?なんて本人を前にして聞けない・・・。いや、ここはミッキィに任せて俺はあのカニを討伐しよう!そうしよう!
「ミッキィ、とりあえずここの方たちをお願いします。あの木の後ろ以降に下がって手当を、茶色の彼は動けるそうですが、黒い彼は動けないそうなのでお願いします。」
「承知しました!団長は?」
「あの美味しくなさそうなカニをやっつけます!寒さで動きも鈍いのでなんとかなるでしょう!」
「美味しくなさそうな・・・?」
「おっと、つい本音が」
にヘヘッと反応してくれた茶色い彼に笑顔を向ける。
こういう時こそユーモアって大事だよね!
そしてカニを観察する。
「うーん、何だか冬眠中を無理やり起こされて怒り狂ってる感じだね。」
「ッ!?」
黒い彼、じゃないな。それに抱えられてる白いもふもふがピクっと反応した。
・・・まじかよ、人災じゃん!
「はぁぁ。よし、ミッキィ、俺が後ろを回って逆方面に意識を向けるのでその隙にお願いします。救急セットは?」
「大丈夫です!」
「じゃぁ行ってきます!」
双剣を構えてカニの後ろを通って反対側に出る。
こっちに注意を向けるように、狙うは左目!
「サンダーアロー!」
バチバチバチッ
俺の目の前からカニの左目に向かって敢えて音を大きく鳴らして雷の矢を放つ。
距離があるので俺から真っ直ぐ放たれた雷は難なく避けられる。
でもそれでいい。今の雷はこっちに注意を向ける為のものだ。
狙い通りにカニの視線がこちらに据えられる。
大きな鋏がこちらに振り下ろされるがそれを軽くいなす。寒さのせいか、動きはそこまで速くは無い。
順当に潰していけば楽勝だね。
「ふぅ、運が悪かったね。俺、熊の次に得意なのはカニなんだ。しかも俺ちょっと機嫌悪いんだよね今。」
だってこれほぼ確実に人災だしね!
だってどれが王子様か分かんなかったしね!
だってもう確実に定時には終わらないしね!
1番の機嫌の悪い理由は俺の休みの予定が台無しって事なんだ!
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