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キノコの里
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「わ、すごい!キノコだらけだ!」
「団長!あんまり遠くに行かれると俺がメイソン様に怒られてしまいます。」
俺は今団員のうちの一人コルテスと一緒に崩落現場の奥の森に入ってきている。
コルテスはフェネック獣人の平民でしかも俺と同期の4年目である。同期ってだけで無駄に親近感湧くよね?しかも同じ平民ひゃっほーい!である。同期だけど年齢は2つ上。彼とは今日初めて喋ったんだけど、フェネック特有の大きい耳が可愛いなぁ。
そして何故ここに居るのかと言うと、ジェントルドに追い払われたから、である。今回の災害派遣、俺に仕事を与えてくれる気が無いらしい。あれ俺団長だよね?
取り敢えず周りの魔物の間引きならして来ても良いですよって言われたからお目付け役としてのコルテスも一緒である。
コルテスは武闘派と言うよりもその大きな耳で微かな音を拾って異変等を察知するのが得意らしい。
今日も作業ではなく身辺警備のメンバーだった。
そしてなんとなく入った森でなんとなく進んでたらここですよ!キノコの群生地!
すごい、ここまで一気に大量のキノコに出会える日なんてこの先無いんじゃない?って位のキノコ量だ。だってなんか岩に生えてるのもあるよ?うわーすげーすげー。
「コルテス!すごい珍しいキノコ!ほらこっちこっち!ぁ、キノコなるべく踏まないようにね。」
俺は本でしか見たことないキノコを見つけて興奮状態でコルテスの裾を引っ張って近づいた。
それは真っ白くて細長く、傘もあまり拡がらず丸っこい感じの小さな頼り無さげなキノコ。それが5本だけぎゅっと固まって生えていた。
「ぇ、これ珍しいんですか?まぁ、真っ白いキノコって確かに珍しいですけど。」
「ふふふ、これは俺の知識が間違って居なければ音楽妖精が宿るキノコと言いましてですねぇ」
ぴーぴーぴーぴー
俺は説明もおざなりに口笛を吹き始めた。
ぴーぴーぴーぴー
んーどれくらい吹き続ければいいんだ?
ぴーぴーぴーぴー
口笛吹き続けるのって意外と疲れるね!?
ぴーぴーぴーぴー
ちょっと気持ちが諦めかけてた時ゆらゆら~っと小さな白い傘が揺れだした。
ぴーぴーぴーぴー
すごい!ほんとに踊り出した!
止めずに口笛を吹き続けていると、口笛のリズムに合わせて揺れだした。リズムと言う程でも無いんだけど。面白い!白くてちっちゃいからか可愛くも思える!
ぴーぴーぴーぴー
口笛は止めずにコルテスの方を見ると驚きのあまり固まってた。ふふふ、うける!
ぴーぴぴぴーぴー
ぴーぴぴぴーぴー
ぴーぴぴぴーぴー
楽しくなってきたのでリズムを変えてみる。
すると今度は真っ白だった傘の色が上から赤の色の線が降りてきて下まで行ったと思ったら黄色の線、次に緑、青と4色の色の線が通って行った。
「えええ、やばっ綺麗!お前すごいな、触ってもいいかな?」
指先をちょんっと傘の上の方に触れてみる。
ぅーん、触った感じは普通のキノコ!
指先で摘んでみる。
うん、フニっとしたいい弾力!
傘を少し裏返して中を見てみる。
意外と肉厚!
「だ、団長、そんな得体の知れないキノコ触っちゃダメですよ・・・。」
コルテスがそっと俺の両脇に手を入れてキノコから離された。
「音楽妖精の宿るキノコですよ!それにこれ食べられるやつですから大丈夫です!」
「え、これ食べたやつ居るんですか!?」
「そーですよー。どんな味かは知らないけれど、このキノコはね鳥のさえずりに反応して美味しそうな香りを出すんだって。その時に体を揺らして遠くに匂いを運んで、自分を食べに来た鳥に胞子を降って繁殖に利用してるんですよ!でもまさか色が変わるとは!すごい!感動!」
そこでハッとしてコルテスに確認した。
「美味しそうな匂いって何かしました!?」
「いやぁ、特には何も感じなかったですね。」
「そーですか。っていうか鳥が感じる美味しそうな匂いって何だろう?」
「虫とか木の実ですかね?」
「あー、地面だから虫の匂いでも出してるのかな!そりゃ俺達には美味しそうには感じれないですね!」
「そうですねぇ、流石に虫は感じられないですね。」
「踊ってる姿可愛かったからこれは食べたら可哀想!あっちのキノコ採って戻りません?焼きキノコにしたら美味しそう!」
それから2人で持って帰れるだけ採って崩落現場へ戻った。
キノコの群生地から出る時にチラッと音楽妖精の宿るキノコの方を見たらそこだけ空気がキラキラと光っていた。おそらく放出された胞子が光に反射してキラキラしたんだと思う。
2人で沢山のキノコを持って戻ったからジェントルドには?って顔された。まぁ、うん、想定内だよ!
でもみんなで食べたキノコ美味しかったから良かったんだよ。
翌日も作業メンバーに入れて貰えなかった俺はまたコルテスと2人でキノコ採りに行ったんだけど、あの群生地には行けなかった。おかしいな、方角も道も間違えてないと思うんだけど。
残念がってたコルテスに
「きっと昨日はキノコの里に招待されたのかもね?」
って言ったらなんとも言えない顔をしてた。
コルテスはキノコ好きっていうことは分かったよ。
「団長!あんまり遠くに行かれると俺がメイソン様に怒られてしまいます。」
俺は今団員のうちの一人コルテスと一緒に崩落現場の奥の森に入ってきている。
コルテスはフェネック獣人の平民でしかも俺と同期の4年目である。同期ってだけで無駄に親近感湧くよね?しかも同じ平民ひゃっほーい!である。同期だけど年齢は2つ上。彼とは今日初めて喋ったんだけど、フェネック特有の大きい耳が可愛いなぁ。
そして何故ここに居るのかと言うと、ジェントルドに追い払われたから、である。今回の災害派遣、俺に仕事を与えてくれる気が無いらしい。あれ俺団長だよね?
取り敢えず周りの魔物の間引きならして来ても良いですよって言われたからお目付け役としてのコルテスも一緒である。
コルテスは武闘派と言うよりもその大きな耳で微かな音を拾って異変等を察知するのが得意らしい。
今日も作業ではなく身辺警備のメンバーだった。
そしてなんとなく入った森でなんとなく進んでたらここですよ!キノコの群生地!
すごい、ここまで一気に大量のキノコに出会える日なんてこの先無いんじゃない?って位のキノコ量だ。だってなんか岩に生えてるのもあるよ?うわーすげーすげー。
「コルテス!すごい珍しいキノコ!ほらこっちこっち!ぁ、キノコなるべく踏まないようにね。」
俺は本でしか見たことないキノコを見つけて興奮状態でコルテスの裾を引っ張って近づいた。
それは真っ白くて細長く、傘もあまり拡がらず丸っこい感じの小さな頼り無さげなキノコ。それが5本だけぎゅっと固まって生えていた。
「ぇ、これ珍しいんですか?まぁ、真っ白いキノコって確かに珍しいですけど。」
「ふふふ、これは俺の知識が間違って居なければ音楽妖精が宿るキノコと言いましてですねぇ」
ぴーぴーぴーぴー
俺は説明もおざなりに口笛を吹き始めた。
ぴーぴーぴーぴー
んーどれくらい吹き続ければいいんだ?
ぴーぴーぴーぴー
口笛吹き続けるのって意外と疲れるね!?
ぴーぴーぴーぴー
ちょっと気持ちが諦めかけてた時ゆらゆら~っと小さな白い傘が揺れだした。
ぴーぴーぴーぴー
すごい!ほんとに踊り出した!
止めずに口笛を吹き続けていると、口笛のリズムに合わせて揺れだした。リズムと言う程でも無いんだけど。面白い!白くてちっちゃいからか可愛くも思える!
ぴーぴーぴーぴー
口笛は止めずにコルテスの方を見ると驚きのあまり固まってた。ふふふ、うける!
ぴーぴぴぴーぴー
ぴーぴぴぴーぴー
ぴーぴぴぴーぴー
楽しくなってきたのでリズムを変えてみる。
すると今度は真っ白だった傘の色が上から赤の色の線が降りてきて下まで行ったと思ったら黄色の線、次に緑、青と4色の色の線が通って行った。
「えええ、やばっ綺麗!お前すごいな、触ってもいいかな?」
指先をちょんっと傘の上の方に触れてみる。
ぅーん、触った感じは普通のキノコ!
指先で摘んでみる。
うん、フニっとしたいい弾力!
傘を少し裏返して中を見てみる。
意外と肉厚!
「だ、団長、そんな得体の知れないキノコ触っちゃダメですよ・・・。」
コルテスがそっと俺の両脇に手を入れてキノコから離された。
「音楽妖精の宿るキノコですよ!それにこれ食べられるやつですから大丈夫です!」
「え、これ食べたやつ居るんですか!?」
「そーですよー。どんな味かは知らないけれど、このキノコはね鳥のさえずりに反応して美味しそうな香りを出すんだって。その時に体を揺らして遠くに匂いを運んで、自分を食べに来た鳥に胞子を降って繁殖に利用してるんですよ!でもまさか色が変わるとは!すごい!感動!」
そこでハッとしてコルテスに確認した。
「美味しそうな匂いって何かしました!?」
「いやぁ、特には何も感じなかったですね。」
「そーですか。っていうか鳥が感じる美味しそうな匂いって何だろう?」
「虫とか木の実ですかね?」
「あー、地面だから虫の匂いでも出してるのかな!そりゃ俺達には美味しそうには感じれないですね!」
「そうですねぇ、流石に虫は感じられないですね。」
「踊ってる姿可愛かったからこれは食べたら可哀想!あっちのキノコ採って戻りません?焼きキノコにしたら美味しそう!」
それから2人で持って帰れるだけ採って崩落現場へ戻った。
キノコの群生地から出る時にチラッと音楽妖精の宿るキノコの方を見たらそこだけ空気がキラキラと光っていた。おそらく放出された胞子が光に反射してキラキラしたんだと思う。
2人で沢山のキノコを持って戻ったからジェントルドには?って顔された。まぁ、うん、想定内だよ!
でもみんなで食べたキノコ美味しかったから良かったんだよ。
翌日も作業メンバーに入れて貰えなかった俺はまたコルテスと2人でキノコ採りに行ったんだけど、あの群生地には行けなかった。おかしいな、方角も道も間違えてないと思うんだけど。
残念がってたコルテスに
「きっと昨日はキノコの里に招待されたのかもね?」
って言ったらなんとも言えない顔をしてた。
コルテスはキノコ好きっていうことは分かったよ。
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