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じゃんけん

じゃんけん(2)

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 主人公の男子、高校2年生、玖山修斗くやましゅうと。部活はサッカー部で体力には自信有り。見た目も爽やかで女子からの人気も高い。仲間を大切にし、弱い者を放っておけない正義感の強い人物だ。

 そんな彼は第一試練でどうするのがよいか悩んでいる時に、今後パートナーとして共に行動することになる高校3年生の男子、栗並昂くりなみすばると出会う。

 昴は冷静沈着で頭の回転も早く、とても用心深い。主人公同様体力には自信があり、格闘技をやっているので肉体的にも相当強い。愛想はないのであまり女子からはモテるような存在ではなかったという記載があったはずだ。

 打ち解けた2人だが、昴はルール内容の説明のセリフに違和感を感じる部分があることを修斗に伝えた。

 その内容は、2000人がじゃんけんをすれば必ず半分になる。それなのに“半分くらいにしたい”という表現はおかしいのではないかということだ。仮にじゃんけんをしない人がいた場合、放棄扱いになり、放棄の人も死ぬと仮定するとむしろ半分は余裕で切ることになる。

 それでもそういう表現を使ったということは、この勝負の勝利条件はじゃんけんで勝つか、そもそもじゃんけんをしないということになるのではないか、ということを説明した。



 うん、思い返してみても、やはり気のせいや勘違いとかではなく小説と同じルール説明だ。

 現実的に考えれば……いや、全然現実的ではないけど……可能性の一つとして、トラックに轢かれた時に命は取り留めたが記憶喪失になる。
 そのまま人生を過ごし、なぜか映画撮影に参加してしまったこのタイミングで記憶喪失から戻った、というところか……無理がありすぎる。

 もしくは……いやー本当にありえないことだけど……現実世界で死んでしまいなぜか小説の世界に入り込んでしまった、と考えるのが一番しっくりくる。えーと、いわゆる転生ってやつなのかな?

「うわぁぁああ! やばいやばい! シャレにならんって!」
「キャー!」
「うおっ! こら! 押すな押すな!」

 突如、叫び声とざわめきにより思考が遮られた。慌てて声をした方を振り向くと、赤い噴水のようなものが見えたがすぐにそれが血であると察した。


 そうだ思い出した、じゃんけんで負けた人はまず首輪の内側から刃物が飛び出してきて、それが頸動脈を切り付ける。その後、手首と足首からも同じように刃物が飛び出す。すべての傷は即死にならないように調整されており、激しい出血を伴い、血の海を苦しみながら死んでいくという残酷極まりない仕打ちが待っているのだ。

「おっと、最初の勝負が決したようですね。勝者はこちらのドアを進み、控室で終わるまで休憩していてください」

 進行役の男がそうアナウンスをすると勝者の男は不敵な笑みを浮かべながら堂々とした振る舞いで歩き出した。小説通りならあの男は伏倉朔しくらさくだ。年齢は22歳。最終戦まで生き残り、主人公達と競い合い苦しめながらもあと一歩で優勝できなかった、登場人物内最強という設定だったはずだ。

 小説の描写同様、黒髪で目元が髪の毛で隠れ気味、背が高く細見でミステリアスな雰囲気というところも一致している。

 信じられないけどやはり小説の世界に入り込んだと考えるのが自然だ。となると、主人公達もこの中にいないとおかしな話だ。
 よし、まずは二人を探さなければいけないな。
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