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第四章 精霊
四節 異変
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四節
結局何事もなく朝になり、宿の人が作ってくれた朝食を食べ、村の中を見て回ることにした。見て回ると、「村」と言っている割に面積が広く、寧ろ街と言った方があっているんじゃないかな。村には、まさにRPGっぽい武具屋とか、道具屋だとかもあったり、多分ウンディーネの像と思われるものもあった。・・・まぁ、何事もなく見られたのはいいんだけど・・・。なんか避けられてるような・・・?唯一ちゃんと接してくれたのは屋台とかの店番をしてるおっちゃんだけだった。とりあえず、その屋台のところまで戻って話を聞いてみる。
「お、どうした坊主。また冷やかしか?はははは!」
「いやー、冷やかしじゃない・・・とは言い切れないですけど。ちょっと聞きたいことがありまして。なーんか避けられてるような気がするんですよね~・・・。」
「ああ、それは単に妖精の人間嫌いだろうな。妖精なんてのは昔から人間と真っ向から張り合ってきてたからな、そのせいだろう。」
「おっちゃんはそんなことないんですか?」
「おっちゃんってお前な・・・。はー、俺もそんな年かなぁ。まぁ、俺はもともと人間と妖精のハーフだからな。そんなにしがらみがあるわけじゃないのよ。考え方として。」
「なるほど・・・。」
「いくらアストラ様の連れって言っても人間だとこう、関わりづらいんじゃないか?」
「うーん、そういうもんなんですかねぇ・・・。」
と、思ったけど、よく考えたら学校の英語の教師の外国の先生とか、ここまでではないけど進んで話しかけに行ったりとかはなかったな、って考えたらなんとなく納得した。そんな話をしていると向こうからアリアが駆けてきた。
「はぁ、はぁ。ユーリさん、アストラさんが呼んでます・・・。はぁ。」
「だ、大丈夫か?し、深呼吸深呼吸。吸って~吐いて~吸って~吐いて~。・・・それでどこに行けばいいの?」
「ふぅ・・・。あの、入り江の上の方の家だそうです。」
「おっけ、わかった。・・・飛んでいったほうが早いかな。アリア、乗って。」
「えぇ?」
背中を向けて、片膝をついて乗りやすいように体勢を変える。アリアはおずおずとした感じで乗ってきた。
「おっちゃん、お世話になりました!次はなんか買っていくと思います!」
「おう、買ってけ買ってけ!次は冷やかしすんなよ!」
少しだけ会話すると、昨日飛んだ要領で飛ぶ。昨日実践的に飛んだおかげか、昨日よりもだいぶ挙動が安定しているような気がする。飛んでいくと1分もかからない距離のところに、周りの家とは一目見て違うとわかる、社のような家があった。入り口付近に、アストラさんが待っていて、こちらに手を振っていた。その社の前の少し開けた場所に着地すると、ゆっくりとアリアを背中から下した。
「どこに行ってたんだ?ユーリ。宿に行ってもいないから心配したぞ。」
「いえ、ちょっと観光に。」
「そんな面白いものなんてないはずなんだが・・・。まぁ、いい。とりあえず中に入れ。」
アストラさんに連れられてその社の中に入ると、なんとなく温度が一度くらい下がったような気がした。神聖な場所だから空気が澄んでいるとかそういうことなんだろうか?社の中には、アストラさんの従者と思われる人たちと、奥に祭壇のようなものがあった。その祭壇には例えが悪いかもしれないが、ボーリングの玉サイズの宝珠のようなものが祭られていた。少しくすんだサファイアのような感じの綺麗な石だった。
「これが我々マー族が管理している水の宝珠なんだが・・・。最近これがくすんできてな・・・。これについてウンディーネ様に聞こうと思ったんだが・・・。」
と、その時だった。従者の一人がバタッと倒れたのだ。
「お、おい、どうした!?」
声を掛けている間に一人、また一人と人が倒れていった。
そして今度は村の方から悲鳴が上がった。社から出るとあんな綺麗な、いや綺麗だった村が火の海と化していた。
結局何事もなく朝になり、宿の人が作ってくれた朝食を食べ、村の中を見て回ることにした。見て回ると、「村」と言っている割に面積が広く、寧ろ街と言った方があっているんじゃないかな。村には、まさにRPGっぽい武具屋とか、道具屋だとかもあったり、多分ウンディーネの像と思われるものもあった。・・・まぁ、何事もなく見られたのはいいんだけど・・・。なんか避けられてるような・・・?唯一ちゃんと接してくれたのは屋台とかの店番をしてるおっちゃんだけだった。とりあえず、その屋台のところまで戻って話を聞いてみる。
「お、どうした坊主。また冷やかしか?はははは!」
「いやー、冷やかしじゃない・・・とは言い切れないですけど。ちょっと聞きたいことがありまして。なーんか避けられてるような気がするんですよね~・・・。」
「ああ、それは単に妖精の人間嫌いだろうな。妖精なんてのは昔から人間と真っ向から張り合ってきてたからな、そのせいだろう。」
「おっちゃんはそんなことないんですか?」
「おっちゃんってお前な・・・。はー、俺もそんな年かなぁ。まぁ、俺はもともと人間と妖精のハーフだからな。そんなにしがらみがあるわけじゃないのよ。考え方として。」
「なるほど・・・。」
「いくらアストラ様の連れって言っても人間だとこう、関わりづらいんじゃないか?」
「うーん、そういうもんなんですかねぇ・・・。」
と、思ったけど、よく考えたら学校の英語の教師の外国の先生とか、ここまでではないけど進んで話しかけに行ったりとかはなかったな、って考えたらなんとなく納得した。そんな話をしていると向こうからアリアが駆けてきた。
「はぁ、はぁ。ユーリさん、アストラさんが呼んでます・・・。はぁ。」
「だ、大丈夫か?し、深呼吸深呼吸。吸って~吐いて~吸って~吐いて~。・・・それでどこに行けばいいの?」
「ふぅ・・・。あの、入り江の上の方の家だそうです。」
「おっけ、わかった。・・・飛んでいったほうが早いかな。アリア、乗って。」
「えぇ?」
背中を向けて、片膝をついて乗りやすいように体勢を変える。アリアはおずおずとした感じで乗ってきた。
「おっちゃん、お世話になりました!次はなんか買っていくと思います!」
「おう、買ってけ買ってけ!次は冷やかしすんなよ!」
少しだけ会話すると、昨日飛んだ要領で飛ぶ。昨日実践的に飛んだおかげか、昨日よりもだいぶ挙動が安定しているような気がする。飛んでいくと1分もかからない距離のところに、周りの家とは一目見て違うとわかる、社のような家があった。入り口付近に、アストラさんが待っていて、こちらに手を振っていた。その社の前の少し開けた場所に着地すると、ゆっくりとアリアを背中から下した。
「どこに行ってたんだ?ユーリ。宿に行ってもいないから心配したぞ。」
「いえ、ちょっと観光に。」
「そんな面白いものなんてないはずなんだが・・・。まぁ、いい。とりあえず中に入れ。」
アストラさんに連れられてその社の中に入ると、なんとなく温度が一度くらい下がったような気がした。神聖な場所だから空気が澄んでいるとかそういうことなんだろうか?社の中には、アストラさんの従者と思われる人たちと、奥に祭壇のようなものがあった。その祭壇には例えが悪いかもしれないが、ボーリングの玉サイズの宝珠のようなものが祭られていた。少しくすんだサファイアのような感じの綺麗な石だった。
「これが我々マー族が管理している水の宝珠なんだが・・・。最近これがくすんできてな・・・。これについてウンディーネ様に聞こうと思ったんだが・・・。」
と、その時だった。従者の一人がバタッと倒れたのだ。
「お、おい、どうした!?」
声を掛けている間に一人、また一人と人が倒れていった。
そして今度は村の方から悲鳴が上がった。社から出るとあんな綺麗な、いや綺麗だった村が火の海と化していた。
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