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前編*ツアグとサーフィラ*1
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<この物語は、完全な空想により誕生しました。あらゆる意味での事実とは、全く無関係であることを、ご了承下さい。本作品における全責任は、作者の空想に帰します。>
<1>
どこともしれない場所に、無限の広がりを持つ「混沌(こんとん」がある。混沌は、全てを産み出すものであり、全てを呑(の)み込む。また、全ての始まりから終わりまでを知る。
ある時、混沌は「存在」を造ってみた。無数に造り、「存在」は後(あと)からから後(あと)から生まれた。混沌は「存在」を、混沌から生まれ混沌に還(かえ)るものとした。
「存在」の誕生に特別な意味や目的はなかったのだが、混沌は「存在」にいくつか初期設定を施(ほどこ)してみた。
それは、①誕生と同時にエネルギーを持つ。②自立している。③前進する。④アイデンティティ(連続する自己感覚。また、統一された自己感覚。注意:自己感覚は、拡大したり縮小したりする)を持つ。⑤対応力を持つ、だった。
初め「存在」は出現してもうまく形作(かたちづく)られず、すぐに混沌に戻った。が、繰り返されるうち「存在」は己(おのれ)を保(たも)ったままでいられるようになった。もちろん、うまく形作られる「存在」ばかりではなかったが、多くの「存在」が保たれた。
生まれた直後の「存在」は、直線を前進するのみだった。そのうち他の「存在」にぶつかり、道をよけることになった。これにより「存在」は、己(おのれ)以外がいることを知った。「対象」の認識の始まりである。対象にぶつかれば、「存在」はよける。横に行ったり、引き返したりする。それまで、延々と「線」で行動していた「存在」は、「面」で行動するようになった。やがて「存在」は、上や下にも同じように行動できることに気付いた。こうして「奥行(おくゆき)」が現れた。「存在」は、線と面と奥行とを組み合わせ、広い範囲を複雑に行動できるようになった。
このようにして「存在」は誕生し、行動し、消滅して混沌に還(かえ)った。「存在」は飽くことなく無限に、この循環を繰り返した。
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どこともしれない場所に、無限の広がりを持つ「混沌(こんとん」がある。混沌は、全てを産み出すものであり、全てを呑(の)み込む。また、全ての始まりから終わりまでを知る。
ある時、混沌は「存在」を造ってみた。無数に造り、「存在」は後(あと)からから後(あと)から生まれた。混沌は「存在」を、混沌から生まれ混沌に還(かえ)るものとした。
「存在」の誕生に特別な意味や目的はなかったのだが、混沌は「存在」にいくつか初期設定を施(ほどこ)してみた。
それは、①誕生と同時にエネルギーを持つ。②自立している。③前進する。④アイデンティティ(連続する自己感覚。また、統一された自己感覚。注意:自己感覚は、拡大したり縮小したりする)を持つ。⑤対応力を持つ、だった。
初め「存在」は出現してもうまく形作(かたちづく)られず、すぐに混沌に戻った。が、繰り返されるうち「存在」は己(おのれ)を保(たも)ったままでいられるようになった。もちろん、うまく形作られる「存在」ばかりではなかったが、多くの「存在」が保たれた。
生まれた直後の「存在」は、直線を前進するのみだった。そのうち他の「存在」にぶつかり、道をよけることになった。これにより「存在」は、己(おのれ)以外がいることを知った。「対象」の認識の始まりである。対象にぶつかれば、「存在」はよける。横に行ったり、引き返したりする。それまで、延々と「線」で行動していた「存在」は、「面」で行動するようになった。やがて「存在」は、上や下にも同じように行動できることに気付いた。こうして「奥行(おくゆき)」が現れた。「存在」は、線と面と奥行とを組み合わせ、広い範囲を複雑に行動できるようになった。
このようにして「存在」は誕生し、行動し、消滅して混沌に還(かえ)った。「存在」は飽くことなく無限に、この循環を繰り返した。
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